【発達障害・グレーゾーンの子】反抗的な態度や乱暴な言葉には驚きの「他人事メソッド」で

特別支援教育のエキスパートが教える「他人事メソッド」と「ど言葉」がヒートアップしがちな親子関係を救う

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直接の指導や支援会議への参加を通じてこれまで2000人をこえる子どもの支援に関わり、さまざまな特性を持つ子どもたちと過ごしてきた、特別支援教育のエキスパート・小嶋悠紀(こじま ゆうき)先生。

3回にわたってお届けしてきたインタビューも今回で最後。「伝え方」「ほめ方」と教えていただきましたが、今回は少し具体的に、子どもの「気になる行動」が表れたときにどうするか、という点をうかがっていきたいと思います。

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他人事メソッドのすごい効力

──親御さんから「悩んでいる」との声で多く寄せられたのは、「反抗行動」でした。注意をなかなか受け入れられない、「うるさい!」「バカ!」などの乱暴な言葉を発する、などの行動を子どもがとったときは、大人はどんな対応をするのが正解なのでしょうか。

小嶋悠紀先生(以下小嶋先生):大人からの注意や指導がどうしても受け入れられず、「うるさい」「知ってるから!」「わかったから、もういい!」と反抗する子はめずらしくありません。大人の目の前で悪いことをしたのに、「やってない!」と言い張ってしまう子もいます。そんな言動が出てくる背景には、〈悪いのが自分だなどとは、絶対に認めたくない〉という心理(あるいは発達障害の特性でしょうか)がはたらいているように感じます。

子どもが反発しているときに、大人が「大事なことだから!」「見ていたのよ!」と怒って指導しようとしても効果はありませんが、ひとつだけ、大人が伝えたいことを受け入れてもらえるいい方法があります。他人事のようにエピソードを話して聞かせる「他人事メソッド」です。

たとえば私は、隣の子の消しゴムを取ってしまった子を指導したことがあります。その子も自分のしたことを認められず、パニックになりましたが、私は落ち着いてから次のように話して聞かせました。

「先生が前の学校で経験したことなんだけどね。消しゴムを取ってしまった子がなかなか認めなくて、お父さんや校長先生まで出てきて大騒ぎになったんだ。みんなとてもつらい思いをしたんだよ。でもその子は口では言えないから、あとで手紙で謝ったんだ。そうしたらみんな許してくれたんだよ。ま、君には関係ないかもしれないけど……

こんなふうに、「同じようなことをした他人のケース」を語って聞かせるのです。「私が子どものときの話なんだけど……」と、過去のこととして話してもいいし、もちろん、エピソードが事実でなくても構いません。ポイントは、必ず「君には関係ないかもしれないけど……」とつけ加えることです。他人事であっても、話を聞いていくうちに、子どもは〈自分のことを言っているんだ〉と気づき、また反発する気持ちがわき始めます。しかし、最後に大人が「君には関係ないかもしれないけど……」と言語化すると、〝他人事のような感じ〟が強まるので受け入れやすくなるようです。

講師として登壇したセミナーでこの方法を披露すると、必ずと言っていいほど、「本当に効くんですか?」と怪訝な顔をされますが、はっきり言って、これほど効果のある方法はありません。実際、消しゴムを取ってしまった子は、私が聞かせたエピソードを真似るかのように、後日、手紙を書いて謝りに来ました。そのようなケースを、私はほかにもたくさん経験しています。

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