
【中学受験】合否不安を乗り越える! 親が「今できること」に集中するコツ
理論物理学教授・波場直之先生の「科学的に考える中学受験」#3 (2/3) 1ページ目に戻る
2026.10.18
大阪公立大学教授:波場 直之
【親のメンタル】「変えられないもの」より「変えられるもの」に目を向ける
アメリカの神学者ラインホルド・ニーバーの言葉として知られる次のような祈りがあります。
「神よ、変えることのできないものを受け入れる平静さを、変えることのできるものを変える勇気を、そして、その二つを見分ける知恵を、私にお与えください」
私は、これは受験にも当てはまると思っています。
心理学にも、これに関わる「統制の所在」という考え方があります。自分の人生に起きることを、どの程度自分でコントロールできると捉えるか、という考え方です。
「自分で状況をコントロールできている」という感覚が、ストレスを和らげる場合があることは研究でも報告されています。
反対に、結果や他人の評価など、「自分では直接変えられないもの」を考えていると、不安が大きくなってしまうこともあります。
だからこそ、「今、自分にできることは何か」に意識を集中する。それが大切なのだと思うのです。
科学者の思考法! 「動かせるもの」を見分けて環境を整える
私は、ニーバーの言葉のなかでも、特に「見分ける」という部分が大切だと思っています。科学者も研究するときには、「自分が変えられるもの」と「変えられないもの」を分けて考えます。
例えば天文学者は、星そのものを動かすことは当然できません。変えられるのは、「望遠鏡をどちらに向けるか」「いつ観測するか」「どれくらいの時間観測するか」といったことです。
「動かせない星を何とかしよう」とするのではなく、自分で操作できる条件を丁寧に整えていく。その積み重ねによって、宇宙の姿を明らかにしてきました。
受験も同じです。
もちろん、親にできることは、たくさんあるでしょう。「どの塾に通わせるか」「食事や睡眠をどう整えるか」「どんな言葉をかけるか」など。こうした親のかかわりは、合否にも影響すると思います。
ただ、どれだけ手を尽くしても、「合否」そのものを親が直接決めることはできません。親が動かせるのは、結果に至るまでの条件です。
こう書くと、「結局は諦めるしかないのか」と思われるかもしれません。でも、「諦める」という言葉は、もともと「明らかにする」という意味の言葉でした。
合否そのものは直接動かせないという事実を明らかにして、状況を把握する。そのうえで、自分の手で動かせるものに力を集中する。それが、「諦める」の本来の意味に近い向き合い方なのだと思います。































