
【中学受験】合否不安を乗り越える! 親が「今できること」に集中するコツ
理論物理学教授・波場直之先生の「科学的に考える中学受験」#3 (3/3) 1ページ目に戻る
2026.10.18
大阪公立大学教授:波場 直之
科学の視点! 合否ではなく「自分たちで動かせるもの」を見る
科学では、ある現象を考えるとき、どの条件を変えられるのか、そして、その結果として何が起こるのかを分けて考えます。
変えられる条件は、子ども自身が今日どう勉強するか、何時間眠るか、そして先ほど挙げた親の関わりです。
こうした条件は、ある程度、自分たちで変えることができます。
では、「合格するか、不合格になるか」はどうでしょうか。合否は、自分たちで変えられる条件だけで決まるわけではありません。当日の天気や急な体調の変化、交通の状況、ほかの受験生の出来、問題との相性、たまたまそばにいた人など、自分ではどうにもならない数多くの要素が複雑に関わり、偶然も重なって、最後に現れる結果だからです。
だからこそ今日、自分たちで変えられることに集中し、変えられないことは平静な心で受け入れる。それが、受験で親子にできることなのだと思います。
次の一歩にエネルギーを使う! 「戦略的な平静」のススメ
研究でも、何年もかけて積み重ねてきた理論が、新しい観測データによって「間違っていた」とわかることがあります。
そんなとき、私は「これまでの時間は全部無駄だった」と考え続けるのではなく、「では、このデータを説明できる新しい理論を考えよう」と切り替えます。物理学では、どんなに美しい理論でも、実験や観測のデータと合わなければ、その理論は捨てるしかないからです。
受験でも、終わった試験や、そこでしてしまったミスは、なかったことにはできません。
でも、次に何をするかは変えられます。
もし結果が思うようなものでなかったとしても、それによってお子さんの価値まで変わるわけではありません。変えられないものは受け入れ、変えられるものに力を使う。そして、その二つを見分ける。
それは投げ出すことではなく、次の一歩にエネルギーを使うための「戦略的な平静」だと私は考えています。
さて、今日、自分の手で動かせるものは何でしょうか。私はこの話を終えたので、とりあえずおいしいお茶を淹れるという「確実に変えられること」から始めようと思います。
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受験では、思いどおりにならないこともあります。だからこそ、直接は動かせない結果にとらわれるのではなく、「今、自分にできること」に目を向けることが大切です。3回にわたって、記憶の残し方、他人との比較、そして結果との向き合い方を、科学や物理学の視点から考えてきました。親子で受験に向き合うときの、小さなヒントになれば幸いです。
文/波場直之
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波場 直之
大阪公立大学大学院理学研究科教授。 長野県松本市出身。大阪大学理学部卒業、名古屋大学大学院理学研究科物理学専攻博士後期課程修了。博士(理学)。 専門は素粒子物理学、素粒子論的宇宙論。スタンフォード大学とエルゼビア社が引用指標に基づいて発表する「世界で最も影響力のある科学者トップ2%」2025年版・2026年版に2年連続で選出。 主な著書に『会話で楽しむ宇宙物理学』(オーム社)、『私たちが視ている世界は現実か』(化学同人)、『素粒子の研究で宇宙がみえてくる:波場センセイのとっておき50話』(丸善出版)、子ども向け絵本『量子力学体験ツアー』(小峰書店)など。
大阪公立大学大学院理学研究科教授。 長野県松本市出身。大阪大学理学部卒業、名古屋大学大学院理学研究科物理学専攻博士後期課程修了。博士(理学)。 専門は素粒子物理学、素粒子論的宇宙論。スタンフォード大学とエルゼビア社が引用指標に基づいて発表する「世界で最も影響力のある科学者トップ2%」2025年版・2026年版に2年連続で選出。 主な著書に『会話で楽しむ宇宙物理学』(オーム社)、『私たちが視ている世界は現実か』(化学同人)、『素粒子の研究で宇宙がみえてくる:波場センセイのとっておき50話』(丸善出版)、子ども向け絵本『量子力学体験ツアー』(小峰書店)など。