3歳までは母親がしっかり子育てすべき? 根強い「三歳児神話」をコラムニストがぶった切り
コラムニスト・石原壮一郎の「昭和~令和」ものがたり【02】 「今も聞こえる“三歳児神話”の脅し」
2023.07.26
コラムニスト:石原 壮一郎
神話がしぶとく残る理由は?
3歳までの育て方が子どもの成長に大きな影響を与えるのは、きっと間違いありません。ただ、母親が子どもの世話を独占するだけが「子どもにとって望ましい環境」ではないはず。
保育園でほかの子どもや保育士さんと過ごすことで、プラスの影響を受けることも多いでしょう。3歳までに十分な愛情を受ける大切さもよく語られますが、与えるのは母親だけじゃなく、父親などほかの人でも大丈夫という研究結果もあります。
つまりは、母親が世話をしても、早くから保育園に通わせても「どっちでもOK」ということ。
「習いごとは3歳までに始めるべし」という「三歳児神話」もあります。親としてはそう聞くとあせってしまいますが、数ある「神話」のひとつに過ぎません。
それぞれの家庭の状況や考え方に合ったスタイルで、一生懸命に子どもと向き合っていれば、それが「正解」です。選んだ道に自信を持ちましょう。
子育てにはたくさんの不安がつきもの。さまざまな神話は、そんな心のスキに付け込んで安心感や自信らしきものを与えてくれます。
「三歳児神話」がしぶとく残っているのは、たぶん「ちゃんとした親である根拠がほしい」とか「自分のかつての子育てを肯定したい」とか「違うスタイルの子育てをしている人を見下したい」といった理由から。いずれも、あまりホメられた動機ではありません。
子どもを保育園に通わせている親がいちばんやってはいけないのは、「三歳児神話」を半端に気にしておびえること。自信を持って保育園に通わせてくれないと、子どもは親の罪悪感を察して保育園ライフを満喫できません。
この先、子どもが困った傾向を見せた場面で、子どもをしっかり理解しようとする前に、「私が3歳まで見ていなかったから……」ということで片づけてしまうかも。子どもにとってはいい迷惑です。
【令和のパパママに贈る言葉】
子育ては3歳までの時期も、そこから先も大事です。ママの関わり方もパパの関わり方も、同じぐらい大事です。「3歳」を意識して、ママがプレッシャーを感じすぎたり、パパの当事者意識が薄くなったりしたら本末転倒。神話に頼らず、自分たち親子でオリジナルの物語を作っていってください。
石原 壮一郎
コラムニスト。1963年三重県生まれ。月刊誌の編集者を経て、1993年に『大人養成講座』でデビュー。以来、数多くの著作や各種メディアでの発信を通して、大人としてのコミュニケーションのあり方や、その重要性と素晴らしさと実践的な知恵を日本に根付かせている。女児(2019年生まれ)の現役ジイジ。 おもな著書に『大人力検定』『コミュマスター養成ドリル』『大人の超ネットマナー講座』『昭和だョ!全員集合』『大人の言葉の選び方』など。故郷の名物を応援する「伊勢うどん大使」「松阪市ブランド大使」も務める。ホンネをやわらげる言い換えフレーズ652本を集めた『【超実用】好感度UPの言い方・伝え方』も大好評。 林家木久扇がバカの素晴らしさを伝える『バカのすすめ』(ダイヤモンド社)では構成を担当。2023年1月には、さまざまな角度のモヤモヤがスッとラクになる108もの提言を記した著書『無理をしない快感 「ラクにしてOK」のキーワード108』(KADOKAWA)が発売。 2023年5月発売の最新刊『失礼な一言』(新潮新書)では、日常会話からメール、LINE、SNSまで、さまざまな局面で知っておきたい言葉のレッドラインを石原壮一郎氏がレクチャー。 写真:いしはらなつか
コラムニスト。1963年三重県生まれ。月刊誌の編集者を経て、1993年に『大人養成講座』でデビュー。以来、数多くの著作や各種メディアでの発信を通して、大人としてのコミュニケーションのあり方や、その重要性と素晴らしさと実践的な知恵を日本に根付かせている。女児(2019年生まれ)の現役ジイジ。 おもな著書に『大人力検定』『コミュマスター養成ドリル』『大人の超ネットマナー講座』『昭和だョ!全員集合』『大人の言葉の選び方』など。故郷の名物を応援する「伊勢うどん大使」「松阪市ブランド大使」も務める。ホンネをやわらげる言い換えフレーズ652本を集めた『【超実用】好感度UPの言い方・伝え方』も大好評。 林家木久扇がバカの素晴らしさを伝える『バカのすすめ』(ダイヤモンド社)では構成を担当。2023年1月には、さまざまな角度のモヤモヤがスッとラクになる108もの提言を記した著書『無理をしない快感 「ラクにしてOK」のキーワード108』(KADOKAWA)が発売。 2023年5月発売の最新刊『失礼な一言』(新潮新書)では、日常会話からメール、LINE、SNSまで、さまざまな局面で知っておきたい言葉のレッドラインを石原壮一郎氏がレクチャー。 写真:いしはらなつか