【戦国プリンセス博士ちゃんママ】子どもの「好き」を伸ばす母親の“ある決断” 会社を手放し娘と旅に出たシングルマザーが語る「子育てで大切にしていること」

#2 “戦国プリンセス博士ちゃん”に学ぶ「好きなことの育み方」【母・奈穂さん編】 (3/3) 1ページ目に戻る

「会社に愛着はありましたが、代表の代わりはいても娘の母親は私しかいないので、娘との時間が一番大切でした」と、迷いはあまりなかったそうです。自身の体調も良くなかったことから、天音さんのためにも身体を大事にしようとの思いもありました。

その後は、小学校入学を機に仕事を再開しつつも、子どもとの時間や自分の健康を第一に、仕事量を調整してやりくりするライフスタイルを送っています。

「仕事ばっかりの人生から娘優先の生活に変わりましたが、意外と仕事はまわり、生活できるんだなと気づきました。

娘が楽しみを見つけて学ぶ姿も糧(かて)になり、それまでとはまた違う私自身の楽しみにもなって。得られたものは大きかったですね」

また、12年弱の経営で学んだ“人とのご縁やつながりを大切にする姿勢”は、子育てでも生かされ、天音さんにも受け継がれています。

自分の“好き”を楽しみながら 娘の“好き”に伴走

歴史や城が大好きな天音さんに対し、「私は趣味嗜好が9割は彼女と違います」と笑う奈穂さん。それでも、違うからこそ行動を共にすることでお互いの世界が広がっていると感じています。

歴史の探究や活動で全国を飛び回る天音さんをサポートしつつも「私は温泉が好きなので、娘に温泉がないと車は出さないよと言ったりして(笑)。

すると、彼女が旅先の温泉をリサーチしてくれたり、お酒好きな私に、こんなのもあるよ、と教えてくれたり。自然とお互いの好きなことにも詳しくなっていますね」

旅先で母・奈穂さん(左)と天音さん(右)。  写真提供:諸星天音
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「娘が小さいときには、私が落語好きなので洗脳しようと、寝る前に落語を聞かせていた時期もありましたが、子守歌と化してしまっただけでした(笑)」

そんなこともあり、子育てのポリシーとして『変な期待はしない』と意識し、こらえたそうです。それでも「とにかくいろいろ経験はさせる、可能な限りやりたいことをやらせる」と心がけたといいます。

託して託して 人と関わり成長していく

「子育ては一人でやるなんて絶対無理。私は本当に周囲の方ありきで回っています。病気になったときも周りに頼って何とかなっています」

実際、奈穂さんは天音さんの幼少期から、両親や友人など、彼女を見守ってくれるさまざまな人に、子育てを“託して”きたといいます。今もそのスタイルは変わらず、天音さんの探究や活動を通じて知り合った人とのネットワークから、随所に天音さんを見守ってくれる大人が存在します。

「今週末もお城の大師匠に天音の面倒を見ていただいてました。『今、こうしているので●時には帰ります』と連絡をくれたり、ありがたいです。

これまで天音を見てくれるいろんな方々に託して成長させてもらっています。いろんな人と関わり、いろんな人のいいところを教えてもらって学ばせてもらう。そうして、私から天音は巣立っていく。それが理想です」

こう話す奈穂さんは、「知識も考え方も私と1対1だとつい押し付けちゃうし、いろんな方にかわいがってもらえるレールに乗せてみようかな、と思ったんです。つながってくださる全ての方に、本当に感謝を伝えたいです」と笑顔で語りました。

最後に、奈穂さんと天音さんにこれから親子で一緒にやってみたいことをたずねると、

奈穂さん:「20歳になったら一緒にお酒が飲みたい」

天音さん:「車の運転をしてママをどこかへ連れていきたい」

と答えてくれた二人。今後も二人の旅は続きます。

諸星天音さん(右)と母・奈穂さん(左)。取材中も親子の仲の良さが伝わってきた。  写真:原田美咲

第3回では、天音さんから「親子で行きたい城3選」を紹介してもらいます。

取材・文/原田美咲

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もろほし あまね

諸星 天音

Amane Morohoshi
戦国プリンス博士ちゃん

2009年生まれ。小4から戦国時代の城や歴史に情熱を注ぐ。城の石垣は特に大好き。その豊富な知識から小5でバラエティ番組『サンドウィッチマン&芦田愛菜の博士ちゃん』(テレビ朝日系)に“戦国プリンセス博士ちゃん”として紹介され、たびたび出演。 学業と並行しながら、全国各地の歴史イベントでトークや講演を行っている。歴史のほか、「防災」「石」などのテーマでも探究を続ける。防災検定1級で防災教育推進アドバイザー、ジュニア防災検定・防災検定アンバサダー、戦国北条フェスティバルフェロー、戦国魂アンバサダー。

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2009年生まれ。小4から戦国時代の城や歴史に情熱を注ぐ。城の石垣は特に大好き。その豊富な知識から小5でバラエティ番組『サンドウィッチマン&芦田愛菜の博士ちゃん』(テレビ朝日系)に“戦国プリンセス博士ちゃん”として紹介され、たびたび出演。 学業と並行しながら、全国各地の歴史イベントでトークや講演を行っている。歴史のほか、「防災」「石」などのテーマでも探究を続ける。防災検定1級で防災教育推進アドバイザー、ジュニア防災検定・防災検定アンバサダー、戦国北条フェスティバルフェロー、戦国魂アンバサダー。

はらだ みさき

原田 美咲

Misaki Harada
フリーライター

地域情報紙の記者を経て、2025 年からフリーライターに。これまでは地域の取り組みや活躍する子どもたち、選手への取材・インタビュー等を中心に、広いテーマで執筆。趣味は段ボール工作。

地域情報紙の記者を経て、2025 年からフリーライターに。これまでは地域の取り組みや活躍する子どもたち、選手への取材・インタビュー等を中心に、広いテーマで執筆。趣味は段ボール工作。