昼夜逆転し部屋にこもった娘
学校に行かなくなった娘は、次第に昼夜逆転の生活を送るようになりました。リビングに顔を出すのは夕食前後の1時間ほどだけ。
家族とは会話をかわさず、まるで外の世界と拒絶するようにイヤホンをして、スマホを見たり漫画を読んだり。ときにはソファに寝転がり、ボーッと天井を眺めるだけの日もありました。そんな娘の姿を見た私は、「この子は一生このままなんだろうか」という、なんともいえない不安に押しつぶされそうになりました。
昼夜逆転の生活をただ黙って見ていたわけではありません。朝早く起こしてみたり、夜は早く寝るように仕向けたり、ひととおりやってはみたのですが、うまくいかなかったのです。それどころか、無理に正そうとすればするほど、娘は家族と距離をとろうとしてきました。
せっかく学校を休むことを決めたのに、これじゃ本末転倒かもしれない。そう思った私は、「今は、傷を癒やすための回復期間なんだ」と自分に言い聞かせ、娘の様子を見守ることにしたのです。
唯一のおでかけは、たまにふたりで行くスーパーやコンビニくらい。それほど会話をするわけではなくても、こうやって一緒に過ごせる時間が持てることを、私は幸せだと感じるようになっていました。
女子グループを見るだけで 娘は目を逸らした
そんな生活を半年ほど続けるうちに、娘は少しずつ元気を取り戻し、以前のように私と話す時間も増えていきました。好きなアーティストの話をしたり、夕飯の準備を少し手伝ってくれたり。一時期は目を合わせることすらできなかったのに「今日こんな変な夢を見たんだ~」と、話してくれることも増えていきました。
それでも、以前とまったく同じ状態に戻ったわけではありません。学校や勉強の話になると、スッと娘の表情が変わってしまうのです。少しずつ外出はできるようになっていましたが、同世代の子たちが集まる場へは、なかなか足が向きませんでした。
特にグループで行動している女の子の集団に気づくと、目を逸らしたり、避けようとしたりする。“同年代の集団”への恐怖心だけは、根深く娘の中に居座り続けているようでした。
学校に戻れないまま 娘は中3になっていた
少しずつ家庭内での笑顔が増えてきたとはいえ、そこからすぐに学校へ戻れたわけではありません。その後も登校できないまま時間は過ぎ、気づけば娘は中学3年生になっていました。
学校からのプリントなどを見ても、受験に向けての案内ばかり。外に出れば、塾に通っている同級生の姿を見かけます。親戚から「高校はどうするの?」「このままで大丈夫なの?」と聞かれることもありました。私だって、不安でいっぱい。でも、誰よりも自分の将来を不安に思い、絶望しているのは娘自身なのです。
「私の不安を見せて、これ以上娘に追い打ちをかけてはいけない」。そう自分に強く言い聞かせ、私はできるだけ普通に接しようと努めていました。
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