おうち英語で「国産バイリンガル」&塾なしで「東大合格」の育児法 乳幼児編

バイリンガル育児の第一人者〔お金・学歴・海外経験なし〕伝説の“3ナイ主婦”タエさんに学ぶ①

小和野 薫子

バイリンガル? 両親のどちらかが英語が話せるんでしょう? 塾なしで東大? 両親ともに高学歴なんでしょう?
いや、違うんです。これは、一般的な家庭のお母さん、タエさんの成功体験のお話です。
全部は真似できないかもしれませんが、お金をかけなくても子どもを賢くするヒントが満載です。
英語だけでなく、東大合格まで導いた算数の学習法など全3回で公開です。


タエさんとは?

1969年生まれ。大阪府出身。高校卒(美術科)。子育て時代は、大阪一ポジティブな専業主婦(自称)。たまにパート。現在は、ベビーパーク英語育児部門統括責任者をつとめる。日常生活で英語を話す機会も必要もなし。英語は嫌いではなかったけれど、とにかく勉強をしなかったので、高校時代にはテストで3点をとってしまったほど英語ができない。「とにかく賢い子に育てたい」「英語が話せたら将来の可能性が広がるかもしれない」との考えから、日本語の理解が深まってきた3歳直前に英語育児をスタート。

国産バイリンガルを育てあげた原動力「賢い子にしてあげたい! 」

国産バイリンガル育児の第一人者、タエさんの著書『お金・学歴・海外経験 3ナイ主婦が息子を小6で英検1級に合格させた話』(朝日新聞出版)は2014年に刊行されました。そして現在売られている本の帯には、「東大推薦入試に合格!」とあります。
 
調べてみると(この1冊の人気は絶大で、いまだにタエさんは取材を受けているし、ネットにはファンも多数)、息子さんは小学6年生で英検1級に合格後、私立中高一貫校に特待生として入学。6年間学費は免除され、高校3年生のときには国際物理オリンピックの日本代表となって銀メダルを獲り、塾に通わないまま、東大の推薦入試に合格したといいます。

乳幼児期から始まるバイリンガル育児とは? 
イメージ写真:maruco/イメージマート​
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伝説の“3ナイ主婦”タエさんとはどんな人か

タエさんが著書で自身を“3ナイ主婦”と呼ぶのは、一家がごくごく一般的な家庭だと考えるからです。お金も(当時の年収約500万円)、学歴も(タエさんは高卒)、海外経験もなかったけれど、息子さんはバイリンガルになり、さらに塾に通わず東大生になりました。

それは全く、一般的ではない事実。
幼児期に第2言語を勉強させると母国語が疎かになるなんていう意見もありますが、幼児期に英語を習得して、そして、最高学府、東京大学に入学した子どもがいるわけです。日本語どころか、英語以外の教科もできる子どもが育っているんです。

タエさんの息子さんは、生まれつき賢い子なのでしょう。語学のセンスもきっとあったんだろうな。子育て中で、バイリンガル育児がうまくいっていない私は、正直そう思わずにはいられないけれど、でも、著書を読むと成功の秘訣が少しわかるような気がしました。それは細かいメソッドではありません。

すごいのは息子さんではなく、タエさんだ!と。
タエさんって一体、何者……!? なぜ、そこまでがんばれたの?
国産バイリンガル育児をするすべての親が注目する伝説のお母さん、タエさんにお話をうかがいました。

バイリンガルのみならず、東大合格まで導いたお母さん力とは? イメージ写真:iStock

生まれてくる子の可能性を私のせいで減らさないように

現在、タエさんはベビーパークという幼児教室の英語育児部門の統括責任者。本を出版したことで、声をかけられ、幼児教育の考え方が自分と似ていたので務めることにしたそうです。

「子どもを教えるのではなくて、親子教室だから、お母さんに直接育児のノウハウを教えられる点がいいなと思いました」

英語塾や受験塾ではなく、幼児教育にたずさわっていることからも、やはりタエさん流に国産バイリンガルを育てあげるポイントは、“どう教えるか”ではなく“どう育てるか”にありそうです。

出発点は息子さんがお腹にいる時の「とにかく賢い子に育てたい」という願い

――なぜ“賢さ”にこだわったのでしょうか。

「動機は特になにもないけれど……。みなさんそう思うんじゃないですか? 賢い方が得なんじゃないかな〜と。

誰もが、多かれ少なかれ絵本を読み聞かせするのも、賢い子を育てたいと思うからだと思っていました。

東大にいって医者になってほしい、とか思ったわけではありませんよ。賢い方が、人生を広く選択できるんじゃないかと。よく、息子とテレビを観ながら「漫才師になるんやったら、お母ちゃんが相方やったるで」なんて言っていたんですけど、とにかく子どもの可能性を最大限に伸ばすサポートがしてあげたかったんです。俺は漫才師になる気はない、って断られましたけどね。

子どもって生まれたときは無限の可能性を持っているんだから、それが私のせいで減らないように。とはいえ、うちの夫婦の子なので、すごく高い能力を持っているわけはないだろう……と思ったら、余計にその中でも最大限に伸ばしてあげたいなと思ったんです」

――タエさんご自身がすごく勉強家だったのでしょうか。

「全く違います。自分自身が賢くなりたいと思ったことはないんですよね。英語も、そういえば専業主婦のころあまりに暇で、4月にNHK英語講座のテキストを買ったことがありました。でも、その英語の勉強も続きませんでした」

――英語を話せたらいいだろうなと思う、きっかけや目標はありましたか。

「いや、全くないんです。なんとなく英語ってできた方がいいんだろうな、なんか良さげだよな、って思っただけなんです。
英語は、わが家の親戚も、周りの誰も話せないです。英語育児をしている人は当時からネットの世界にはいましたが、目標にしたことはなかったですね。英語育児で既に有名なブロガーの方もいらっしゃいましたが、結局みんな家庭の事情が違うと思って。みんな両親のどちらかが英語ができたり、外国人でした」

早く人間にしなければ! とオムツを替えまくる日々

賢い子を育てる親は、オムツ替えから違う!? イメージ写真:アフロ

――賢い子を育てると決めて、どんなことに取り組まれましたか。

「生まれてすぐは、とにかくオムツを替えまくっていました。お尻が濡れていない状態が当たり前と学習させたかったんです。なぜそう思ったのか……。ただ、お尻にトイレがついている状態はよくない。人間としてよくない。早く人間にしなければ! 猿と人間の違いなんて、パンツを履いているか履いていないか、なんじゃないかと。今となっては、私って変なこと言っているなと自分でも思うんですけどね」

――それは新しい……。早期にはじめるトイレトレーニングともまた違う、人と比べてはじめたわけではない、タエさん自身で考えた育児が、産後すぐからスタートしていたんですね。息子さんをはじめから赤ちゃん扱いしていない印象です。

「そうかもしれませんね。返事はないけど、「今日はお父さんいないから、ご飯どうする〜?」なんて当たり前のように1日中話しかけていました。「猫がいるね〜」とか「桜が咲いたね!」とか「今日の晩御飯は何がいいかな」とか。

そして例えば、おやつに赤ちゃんせんべいを与えるにしても、必ず半分に割って、「どっちが大きいかな〜、どっちが欲しい?」と問いかけていました」

――赤ちゃん扱いはしていないけど、赤ちゃんだから気をつけたこともあるそうです。

「抱き癖がつくから抱っこは最小限に、なんて話が当時からありましたが、私は抱き癖上等で、泣いたらすぐに抱っこしました。赤ちゃんが泣くのは、意思を伝えるためですから。泣く→抱っこという流れは、人生で最初のコミュニケーションだと思っています」

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