【発達障害・発達特性のある子】に家庭ができること 「療育の専門家」が教える我が子の幸せとは 

#10 子どもの幸せのために家庭でできること〔言語聴覚士/社会福祉士:原哲也先生からの回答〕

一般社団法人WAKUWAKU PROJECT JAPAN代表・言語聴覚士・社会福祉士:原 哲也

写真:アフロ(イメージ写真)
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発達障害や発達特性のあるお子さんの保護者の方からのご相談に、言語聴覚士・社会福祉士であり、発達障害のお子さんの療育とご家族の支援に長く携わってきた原哲也先生がお答えします。

お子さんとの生活が楽しくなり、保護者の方の負担が軽くなるような実践的なアドバイスをお伝えしていきます。第10回は、発達特性のあるお子さんに家庭でできることについてのご相談です。

【質問】発達障害の特性のある子どもに対して、家庭で気をつけることやできることを教えてください。

【発達障害・発達特性のある子のお悩みに専門家が回答】これまでの回を読む
第1回 発達障害かどうか気になります
第2回 2歳ですが言葉が遅く心配
第3回 偏食がひどくて困っています
第4回 子どもが真夜中まで起きている
第5回 「こだわり行動」とは? 種類・原因・対応
第6回 医療機関を受診する目安
第7回 トイレトレーニング
第8回 着替えを嫌がります
第9回 癇癪の原因と対策

幸せとは何か

この保護者の方は、なぜ「家庭で気をつけることやできることを知りたい」と思われたのでしょうか。

私はそれは「我が子に幸せになってほしい」「そのために親としてできることをしたい」と思っているから、だと思います。子どもに幸せになってほしい。それはすべての親の願いでしょう。しかし、改めて「幸せ」とは何か、「幸せになる」とはいったいどうなることなのか、と問われると、これに明確に答えるのはむずかしい。

私は、療育の仕事に就いてからずっと自分が関わる子どもと家族に幸せになってほしいと考えてきました。ですから、めざすべき「幸せ」とはどういうものなのかをはっきりさせたくて、書籍や論文を読み漁りました。その中で出会ったのが、慶應義塾大学大学院の前野隆司先生の「幸福学」です。

その後、幸運にも前野先生の知遇を得、先生に拙著の解説を書いていただいたのですが、その中で前野先生は、幸せな人とは、「多様な仲間とともに、前向きに、自分らしく、わくわくしながら、やりたいことに チャレンジしているひと」と書いておられます。これは、私のイメージする「幸せ」にとてもマッチするものでした。以来私は、私の中で、これを幸せの定義として、関わる子どもと家族がこうなれるように応援しようとしてきました。

子どもを「幸せな人」に育てるために家族ができることは何か?

では、発達障害の特性のある子どもが「幸せな人」になるためには、保護者はどうしたらいいのでしょうか。すなわち、「発達障害の特性のある子どもに対して、家庭で気をつけることやできること」は何なのでしょうか。

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