「中学校で開花」「家庭と学校は両輪」主体性を信じた教員と保護者が語るリアルな声〔ある公立小学校教員の驚きの実践〕
現役教員に聞く 子どもが主体的になるヒント#4 保護者座談会編
2024.12.11
PTAではない「みんなが楽しい」活動を
──確かに、先生と保護者がイベントなどで関わることができれば、信頼関係ができるかもしれません。一方で、共働き世帯が増え、保護者も先生同様に時間がなく忙しい状況です。PTAを解散する学校なども出ています。
小野寺:従来型のPTA的によくある「決まったことに奉仕する」内容だと難しい。無理にやらされる環境では、人は集まらない。でも、「得意なことで関わってください」なら、やりたい人も増えるという実感があります。
門脇:「みんな楽しい」が大事です。その場に集まった人が「やってみたい!」と思うことならなんでもいい。これまでのやり方は一度忘れて、まずは親自身が楽しめる状態を作ることが必要な気がします。
内山:目に見えて「子どものため」になる活動だと、やる気が出る人も多いです。海外では、お祭りの売り上げが子どもたちの修学旅行費に加算される国もあります。バンド演奏で投げ銭をもらう、何かを作って売るなど、さまざまな方法で協力しています。
大窪:保護者と教員の関係性ができれば、変わっていくことも多いと思います。現状は、「子どものため」という思いは共通しているのに、ボタンを掛け違えてしまっている。保護者が教室にくると教員は監視されていると感じたり、反対に学校から連絡があると保護者は子どもに対して注意を受けるんじゃないかと恐れてしまったり。そこを解きほぐしていくことが大切なんだと、改めて感じました。お互いに「そんなことを考えていたんだ」と知る機会を、もっと作っていきたいですね。
大窪先生の実践や保護者の方のお話からは、「子どもはそもそも主体的な存在」で、大人がそれを邪魔しない環境さえ整えれば、積極的に自ら行動することが伝わってきます。
保護者は子どもを心配するあまり、先回りして口や手を出したくなりますが、それが子どもの主体的な行動の妨げになっていないかよく考える必要があるでしょう。主体性は「育てる」ではなく、気づいたら「出ている」もの。それを肝に銘じ、子どもと一緒に楽しみながら日々を過ごしていきたいものです。
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【大窪昌哉(おおくぼまさや) プロフィール】
大学卒業後、一般企業の経理部に7年間勤務し、小学校の先生になるため30歳で退職。通信大学で小学校の教員免許を取得して、逗子市内の小学校にて教員人生をスタート。2024年度から葉山町立上山口小学校に勤務。子どもたちと学びを楽しみ、みんながいきいきとした素敵な時間や場を共創するために、さまざまな学びの場へ参加している。
取材・文 川崎ちづる
【現役教員に聞く 子どもが主体的になるヒント】の連載は、全4回。
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※公開日までリンク無効
川崎 ちづる
ライター。東京都内で2人の子育て中(2014年生まれ、2019年生まれ)。環境や地域活性化関連の業務に長く携わり、その後ライターへ転身。経験を活かし、環境教育や各種オルタナティブ関連の記事などを執筆している。WEBコラムの他、環境系企業や教育機関などのPR記事も担当。
ライター。東京都内で2人の子育て中(2014年生まれ、2019年生まれ)。環境や地域活性化関連の業務に長く携わり、その後ライターへ転身。経験を活かし、環境教育や各種オルタナティブ関連の記事などを執筆している。WEBコラムの他、環境系企業や教育機関などのPR記事も担当。
大窪 昌哉
大学卒業後、一般企業の経理部に7年間勤務し、小学校の先生になるため30歳で退職。通信大学で小学校の教員免許を取得して、逗子市内の小学校にて教員人生をスタート。2024年度から葉山町立上山口小学校に勤務。子どもたちと学びを楽しみ、みんながいきいきとした素敵な時間や場を共創するために、さまざまな学びの場へ参加している。 ※写真:竹花康
大学卒業後、一般企業の経理部に7年間勤務し、小学校の先生になるため30歳で退職。通信大学で小学校の教員免許を取得して、逗子市内の小学校にて教員人生をスタート。2024年度から葉山町立上山口小学校に勤務。子どもたちと学びを楽しみ、みんながいきいきとした素敵な時間や場を共創するために、さまざまな学びの場へ参加している。 ※写真:竹花康