
梶裕貴が『NO.6』の「タブーと思っていたこと」をあさのあつこに質問! 梶が声優人生のターニングポイントが『NO.6』だったと語る理由
作家・あさのあつこ×声優・梶裕貴 『NO.6[ナンバーシックス]再会#1』刊行記念スペシャル対談 後編
2025.05.29
ライター:山口 真央

『バッテリー』のあさのあつこさんが描く『NO.6』は、世間知らずで心優しい紫苑(しおん)と、テロリストで皮肉屋の少年ネズミが織りなす、唯一無二のストーリーです。
ある夜、運命的に出会ったふたりは、互いに強く惹かれあい、偽りの理想都市「NO.6」を崩壊させようと計画しますが──。
シリーズの累計発行部数は150万部を突破。アニメや漫画、舞台などに続々とメディア化されました。
2025年5月28日、続編の『NO.6[ナンバーシックス]再会#1』が、ついに刊行します!
単行本の発売を記念して、作者のあさのあつこさんと、アニメ「NO.6」で主演の紫苑(しおん)役をつとめた声優の梶裕貴さんが、スペシャル対談を決行!
後編では、あさのさんがアニメ『NO.6』を見て感じたことや、梶さんが『NO.6』を声優人生の転機だと語る理由、そして梶さんが14年間、あさのさんに聞いてみたかったことなど、さらにディープなお話を伺いました。
あさの「改めてアニメを観て『梶さんは紫苑だ』と思った」

あさの:じつは『NO.6[ナンバーシックス]再会』を書くにあたって、アニメをもう一度見たんです。
梶:えぇっ! 本当ですか。
あさの:紫苑の声を聞いて、改めて「梶さんは紫苑なんだ」と感じました。
梶:う、嬉しい……。
あさの:梶さんの声には、紫苑の持つ儚さが表現されながらも、その下に得体の知れない「何か」があるというか。いつかすべてを破壊してしまうかもしれないと思わせる、危うさが隠れていますよね。
梶:僕自身、紫苑に少し似ているところがあると思います。紫苑は、みんなに仲良くしてほしい、誰も悲しませたくないといった、揺るぎない自分のなかの「正義」が強くあります。
けれども同時に、その平和を阻害する者がいるならば、それを絶対に許さないという激しさも持っている。しかもネズミが恐ろしく感じるほどの、底知れない激情でもって。
あさの:そうですね。だから『NO.6』のアニメを見ていて、梶さんが演じる紫苑の笑い方や叫び方、ネズミへの告白の仕方が、自分のなかに響いてきました。
梶さんのお声を聞いていると、私が捉えきれていない紫苑の一部が、出てくる気がするというか。あぁ、梶さんは『NO.6』と一体化しているんだなと感じたんです。
梶:めちゃくちゃ光栄です。