1話5分で読めて、楽しく47都道府県が学べる新感覚のミステリー短編集『日本一周ナゾトキ珍道中』(粟生こずえ・著)が好評発売中! この記事では書籍のなかから、千葉県が舞台のお話をご紹介。名探偵キリさんと助手マッキーの前に現れたナゾの女性……彼女の正体は?
マッキー
「千葉県八街(やちまた)市、か……。でさ、キリさん、なんで千葉なわけ?」
スマホをのぞきこんでいたマッキーがバクダンをむさぼり食いながら言う。
キリさん
「逃亡犯ってのは西に逃げる傾向があるんだ。だから逆に、東に向かってみた。」
マッキー
「ふーん。逃亡犯はなんで西に行きたがるの?」
キリさん
「大阪、名古屋、京都、広島とか……福岡とか、西のほうが大都市が多い。人が多けりゃ見つかりにくいからな。ひとまずフェイントで千葉に向かってから先のことを考えようかと……っていうか、マッキー、そのバクダンあんまり食うなよな。」
マッキー
「腹が減ってんだもん。そろそろ飯にしようぜ。」
キリさん
「オレはまだそんなに腹減ってないんだ。」
マッキー
「じゃ、スーパー銭湯行かねぇ? このキャンピングカー、シャワーもトイレもないんだもんな。」
キリさん
「ぜいたく言うなよ。借りられただけでもありがたいってのに。」
マッキー
「そういうキリさんは実家でひとっ風呂浴びて、なんか食ってきたんだろ? おまえはいつも自分さえよきゃあ……。」
マッキーが不意にだまりこんだので、キリさんは気になって助手席を見やる。