「ソラタとヒナタ」絵本化の裏側〈後編〉紙版画だからこその絶妙な「質感と色味」で描く、優しくて、美しい世界観

絵本『ソラタとヒナタ はじめてのたんじょうび』

イラストレーター・版画家:くま あやこ

写真提供:くまあやこ

かんのゆうこさんの童話シリーズ「ソラタとヒナタ」が、2026年5月27日に絵本『ソラタとヒナタ はじめてのたんじょうび』となって発売されました。絵本誕生のきっかけは、童話シリーズの挿絵担当のくまあやこさんがSNSで作中のキャラクターの誕生日を祝い続けてきたこと。

本記事では、前後編で制作エピソードの数々をお届け。後編では、実際の制作時の写真とともに「紙版画」での制作についてお話しいただきました。

前編はこちらから

\Amazon・楽天ブックスで早速チェック!/
『ソラタとヒナタ はじめてのたんじょうび』

いよいよ、原画の制作へ!

ラフをかんのさんや編集者のFさんにご覧いただいたあと、原画の制作にとりかかります。原画はまず紙版画の一版多色刷りで刷ったあとに、絵の具で着彩していく流れになります。

*紙版画
紙を版にして、インクをのせた版を紙に写す版画の方法。

*一版多色刷り
1枚の版に、複数のインクをのせて刷る方法。

絵本『ソラタとヒナタ はじめてのたんじょうび』

紙版画ってどうやって作るの?

紙版画で絵をつくる工程をご紹介したいと思います。使用する道具は、ドライポイント用紙(牛乳パックのように表面がツルツルとした厚紙)、ニードル(えんぴつの先が針になっているもの)、銅版画インク、インクベラ、パレット、寒冷紗(かんれいしゃ)、版画紙(水に浸したもの)などです。

くまあやこさんが実際に使用している道具(左:ルーペ、中央:ニードル、右:インクベラ・銅版画インク・寒冷紗)写真提供:くまあやこ

紙版画の工程

①ラフ画を反転コピーして、カーボン紙(私は鉛筆で塗って作った自家製のものを使ってます)でドライポイント用紙に絵を写します。

*カーボン紙
片面にインクが塗られた薄い紙。インクがついていない側からなぞって、絵を別の紙に写す。くまあやこさんは、自作したものを使用。

*ドライポイント用紙
牛乳パックのように表面がツルツルとした厚紙。版を彫る紙。

*ドライポイント
版材にニードルで直接線を刻んで、インクを詰めて刷る凹版(おうはん)技法。

ラフ画を反転して、カーボン紙でドライポイント用紙に絵を写す。写真提供:くまあやこ

②下絵を写したドライポイント用紙に、ニードルで彫りながら絵を描いていきます。面で表現したい部分は表面のコーティングした紙をはがします。

*ニードル
えんぴつの先が針になっているもの。版を彫るための道具。

彫った版にインクを詰めていく

前へ

1/4

次へ

72 件