アダムとエバは本当は何を食べたのか? 誰かに話したくなる〈目からウロコのキリスト教〉

『Wonder! 目からウロコのキリスト教』

関西学院中学部宗教主事:福島 旭

写真:アフロ

「キリスト教」と聞くと、何を思い浮かべますか? 実はクリスマスやカレンダーなど、私たちの日常はキリスト教由来の文化であふれています。そんな教えが記された世界最大のベストセラー『聖書』は、「いつ、どこから読んでもいい」多彩なジャンルを網羅した本。

関西学院中学部で聖書科を担当する「ポン先生」こと福島旭先生によれば、キリスト教を知ると、見慣れた世界がガラリと変わって見えると言います。この記事では、福島先生の著書『Wonder! 目からウロコのキリスト教』の一部を抜粋し、日常や文化を形づくったキリスト教の驚きのエピソードや歴史を紐解いていきます。

今回は、「アダムとエバが食べた果実の真実」についてお伝えします。

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禁断の果実は何だったのか

アダムとエバが食べたのはリンゴではなかった?!

神に創造された最初の人類、アダムとその妻エバ。

ふたりは神から「善悪の知識の木からは、取って食べてはいけない。取って食べると必ず死ぬことになる」(『創世記』2章17節)と言われ、それを忠実に守っていました。

ところが、蛇がエバに「死ぬことはない。それを食べると目が開け、神のように善悪を知る者となることを、神は知っているのだ」とだまして安心させます。

その木の実がとても美しく、美味しそうに見えたため、エバとアダムはその木の実を食べてしまいました。(『創世記』3章)

ふたりが「善悪の知識の木」の実を食べたことで人間に罪がもたらされ、その罪は「原罪」と呼ばれるようになりました。

アダムが木の実を食べてのどに詰まらせてできたのが「のどぼとけ」だという伝説から、「のどぼとけ」は英語で“Adam’s apple”と表記されます。

また、多くの宗教絵画のアダムとエバの場面でリンゴが描かれていますし、ジョン・ミルトンの叙事詩『失楽園』(1667年)には「リンゴ」と明記されています。

ただ、聖書では「木の実」だけで、リンゴとは書かれていません。

『箴言』25章のソロモンが言ったとされる言葉に「金のリンゴ」が出てきますが、聖書の舞台である紀元前のパレスチナではリンゴの栽培は困難だったようです。

イラスト:一ノ瀬 かおる

では、リンゴでなければ、アダムとエバが食べた木の実は何だったのでしょうか?

ふたりが葉っぱを腰に巻いたイチジク説、ブドウ説、トマト説、ミカン説、カリン説、アンズ説──など、様々な説がありますが、いずれも確定には至っていません。

私は、黄色に熟して香りがよいアンズを推したいところですね。

「原罪」のきっかけとなった蛇とエバの会話には興味深い点があります。

エバは蛇に「取って食べてはいけない、触れてもいけない、死んではいけないからと、神は言われたのです」(『創世記』3章3節)と話しました。

おわかりでしょうか?エバは神が言っていない「触れてもいけない」という言葉を付け加え、「必ず死ぬことになる」を「死んではいけないから」に変えています。

アダムからの伝聞だったせいかもしれませんが、神の言葉を曖昧に覚え、自分の解釈を勝手に付け加える──私たちの日常のトラブルもそんなふうに「言葉」によって引き起こされるのだ、と戒めるエピソードでもあるのです。

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福島 旭(著)  谷口 雅美(著)  一ノ瀬 かおる(イラスト)

発売日:2026/02/19

価格:定価:本体1650円(税別)

福島 旭
ふくしま あきら

福島 旭

Akira Fukushima
関西学院中学部宗教主事

京都市出身。関西学院大学大学院修了後、島根、広島で牧師および幼稚園園長を務め、現在は関西学院中学部宗教主事・人権教育主任・教諭、関西学院会館宗教主事、関西学院大学講師。冠句作家。保護司。琉球音楽ユニット“Sari Sari Moon” のギター& ボーカル担当。著書『GOODNEWS ~新約聖書』、『EXODUS ~旧約聖書』( 共に新教出版社) 他。

京都市出身。関西学院大学大学院修了後、島根、広島で牧師および幼稚園園長を務め、現在は関西学院中学部宗教主事・人権教育主任・教諭、関西学院会館宗教主事、関西学院大学講師。冠句作家。保護司。琉球音楽ユニット“Sari Sari Moon” のギター& ボーカル担当。著書『GOODNEWS ~新約聖書』、『EXODUS ~旧約聖書』( 共に新教出版社) 他。

谷口 雅美
たにぐち まさみ

谷口 雅美

Masami Taniguchi
作家

兵庫県尼崎市出身、神戸女学院大学卒業。第44 回創作ラジオドラマ大賞と第58 回講談社児童文学新人賞でそれぞれ佳作に入選。著書は『大坂オナラ草紙』『私立五芒高校 恋する幽霊部員たち』『わたしのカレーな夏休み』『殿、恐れながらブラックでござる』(全て講談社)など。戯曲やラジオドラマの脚本も執筆。

兵庫県尼崎市出身、神戸女学院大学卒業。第44 回創作ラジオドラマ大賞と第58 回講談社児童文学新人賞でそれぞれ佳作に入選。著書は『大坂オナラ草紙』『私立五芒高校 恋する幽霊部員たち』『わたしのカレーな夏休み』『殿、恐れながらブラックでござる』(全て講談社)など。戯曲やラジオドラマの脚本も執筆。