
【発達障害でもグレーゾーンでもなし 頭はいいけど不登校】かんしゃく持ちの子どもとその親に発達行動小児科学の専門家がアドバイスしたこと
我が子の困った行動が大きく変わる 親の考え方と接し方 #2
2025.08.22

「~しちゃダメ!」がもたらす最悪の事態
子どもが困った行動をした際、大人は「~しちゃダメ!」や「やめなさい!」と声を張り上げてしまうことがあります。
子育てにおいて、「𠮟る」という行為にリスクが伴うことは知られていますが、子どもの特性によっては、禁止すると困った行動がさらに増えたり、パニックになることさえあります。
「たとえば、こだわりが強い子は『~しちゃダメ!』というと、この先はどうすればいいのかわからなくなり、動けなくなったりします。自閉スペクトラム症(ASD)やそのグレーゾーンの子どもの場合は、なおさらです。
また、自分の決めたルールや順序がある場合は、こだわりとは違うことを伝えるとパニックを起こすこともあります。
物事を柔軟にとらえて自分で選ぶことができない子には、『~しちゃダメ!』という言葉ではなく、『こうすればいいよ』と代わりに何をすればいいのか、肯定的な言い方で伝えるといいでしょう」(宮尾先生)
落ち着きがなく衝動的な子なら𠮟るよりも褒めポイントを作るといい
「特性としては、衝動的な行動をしがちな、注意欠如/多動・衝動性障害(ADHD)もあります。こちらも𠮟ることは避け、自分をコントロールすることが苦手なのですから適切・適当な行動を教えて、実践したら褒めてあげるといいでしょう。
たとえば、食べてはダメなものをすぐに口にしたり、冷蔵庫を開けて勝手に他人の食べ物を食べてしまうのであれば、事前に『食べていいー?』と、声に出して親に聞くことを子どもに教えます。
子どもがちゃんと親御さんに許可を求めてきたなら、『教えてくれてありがとう』と伝えて行動を褒めてあげましょう。
褒めポイントを作ると次も同じように子どもは行動するので、困った事態から抜け出すことができます」(宮尾先生)
他の物事でも、褒めポイントを作って子どもから何かしらのアクションが事前にあれば、困った事態を予防することができます。
また、褒められて身につけたさまざまな対処法を起点に、子どもは別の出来事に直面した際にも、同じようなケースとして対処法を探っていくはずです。
とっさに理解はできなくても、物事を他方から考える姿勢は、子どもが社会に出たときにとても役立ちます。
次回は、国語や作文は苦手だけれど、算数は得意といった学力に差がある子への接し方や考え方などを紹介します。
取材・文/梶原知恵
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◆宮尾 益知(みやお ますとも)
どんぐり発達クリニック名誉院長、医学博士
徳島大学医学部卒業。東京大学医学部小児科、自治医科大学小児科学教室、ハーバード大学神経科、国立成育医療研究センターこころの診療部発達心理科などを経て、2014年にどんぐり発達クリニックを開院。専門は発達行動小児科学、小児精神神経学、神経生理学。
『発達障害・グレーゾーンのあの人の行動が変わる言い方・接し方事典』『発達障害と人間関係 カサンドラ症候群にならないために』(いずれも講談社刊)など、著書・監修書は多数。
【我が子の困った行動が大きく変わる 親の考え方と接し方】の連載は、全3回。
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※公開日までリンク無効

梶原 知恵
大学で児童文学を学ぶ。出版・広告・WEB制作の総合編集プロダクション、金融経済メディア、外資系IT企業のパートナー会社勤務を経て現在に。そのなかで書籍、雑誌、企業誌、フリーペーパー、Webコンテンツといった、さまざまな媒体を経験する。 現在は育児・教育からエンタメ、医療、料理、冠婚葬祭、金融、ITシステム情報まで、各媒体の企画・編集・執筆をワンストップで手がけている。趣味は観劇。特技は長唄。着付け師でもある。
大学で児童文学を学ぶ。出版・広告・WEB制作の総合編集プロダクション、金融経済メディア、外資系IT企業のパートナー会社勤務を経て現在に。そのなかで書籍、雑誌、企業誌、フリーペーパー、Webコンテンツといった、さまざまな媒体を経験する。 現在は育児・教育からエンタメ、医療、料理、冠婚葬祭、金融、ITシステム情報まで、各媒体の企画・編集・執筆をワンストップで手がけている。趣味は観劇。特技は長唄。着付け師でもある。
宮尾 益知
徳島大学医学部卒業。東京大学医学部小児科、自治医科大学小児科学教室、ハーバード大学神経科、国立成育医療研究センターこころの診療部発達心理科などを経て、2014年にどんぐり発達クリニックを開院。専門は発達行動小児科学、小児精神神経学、神経生理学。 『発達障害・グレーゾーンのあの人の行動が変わる言い方・接し方事典』『発達障害と人間関係 カサンドラ症候群にならないために』(いずれも講談社刊)など、著書・監修書は多数。
徳島大学医学部卒業。東京大学医学部小児科、自治医科大学小児科学教室、ハーバード大学神経科、国立成育医療研究センターこころの診療部発達心理科などを経て、2014年にどんぐり発達クリニックを開院。専門は発達行動小児科学、小児精神神経学、神経生理学。 『発達障害・グレーゾーンのあの人の行動が変わる言い方・接し方事典』『発達障害と人間関係 カサンドラ症候群にならないために』(いずれも講談社刊)など、著書・監修書は多数。