ランドセルの無償配布やサブスクは家計を救うのか!? 2024年度ラン活最新サービス

最旬! ラン活2024 #5~自治体配布&サブスク編~  

遠藤 るりこ

富山県立山町はモンベルの通学用バックパックを無償配布。2021年7月、立山町・舟橋貴之町長とモンベル代表・辰野勇氏が発表した。  写真提供:モンベル
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物価高騰がどんどん進む昨今、ランドセルの値段も年々高くなっています。

一般社団法人日本鞄協会ランドセル工業会の調査(※1)によると、ランドセルの平均購入金額は56,425円。ランドセルの購入金額帯は、65,000円以上が30%を超える結果に。この金額は、約20年前に比べて20,000円もアップしたというデータもあります。

ランドセル購入は、家計にとって負担が大きくのしかかるものなのです。

そんななか、新入生に向けてランドセルの無償配布を行っている自治体があります。茨城県日立市では昭和50年から特注ランドセルの無償配布。さらに近年は他の自治体でも広がりを見せています。

今回は、2023年度から無償配布をスタートした富山県立山町と山口県防府市に、その経緯やどんなランドセル(通学用リュック)を配っているのか、親子の反響も合わせて伺いました。

さらに2023年2月から老舗鞄卸売業が、ランドセルのサブスクをスタート。もはや「ランドセルを買う」という常識さえ覆す、新しい視点のサービスについて取材しました。

※全5回の5回目(#1#2#3#4を読む)

保護者の経済的負担を減らすサポートを

第1回(#1)でビッグニュースとして取り上げた、モンベルの通学用バックパック「わんパック」を無償配布したのが、富山県立山町です。

「色など選択の幅が広がるとともに高額になっていくランドセルですが、『負担を軽減したい』という町長の思いから、通学用リュックサックの無償配布をすることに決めました」(立山町教育委員会学校教育係・上田さん)

モンベルに依頼した通学用リュックサックのデザインや仕様について、立山町として重要視したことについては、こう話します。

「まずは、耐久性に優れていること。タブレットなど重量があるものにも耐えられることと、6年間使用可能なことを重視しました。さらに、日常的に学用品を持ち運ぶものとして、収納性、防水性も高いものを望みました。

身体的負担を軽減するためには、本体の重量も大事ですよね。色については、男女どちらが使っても違和感のないように考慮して選びました」(立山町・上田さん)

モンベルの「わんパック」を見た子どもや親からの反応は、とても良かったと言います。

「子どもたちからは、『すごく軽い』、『青色もかっこいい』、『なんでも入りそう』など喜びの声が寄せられました。保護者からはやはり、『家計が助かる』といった声がありました。

また、他県にお住まいの方から『うちの子は肩が弱いので、ランドセルよりも軽量な、その通学用リュックサックを検討している』といった問い合わせもありました」(立山町・上田さん)

立山町で無償配布した「わんパック」は、「TATEYAMA TOWN」のロゴ入り。2023年4月中旬から、町内の洋品店での限定販売も開始予定です。無償配布には該当しない在校生や、児童以外の方も購入が可能になります。

「無償配布の公表以前に準備されていた方や、やはり従来のものを使いたい方もいらっしゃると考えられたため、使用を強要しておりません。

日常はランドセルを使われる方も、遠足や立山登山などの校外行事の際には、こちらをリュックサックとして使用いただくこともできると考えています。

この事業により、すべての新入学児童とその保護者が、憂いや不安なく入学式を迎え、楽しく学校に通える一助になれば幸いです」(立山町・上田さん)

モンベル×富山県立山町との取り組みを知り、全国自治体から「わんパック」への問い合わせが増加。山形県村山市、長野県駒ヶ根市でも自治体による無償配布が始まっている。  写真提供:モンベル

市オリジナルで開発 子どもの投票も

山口県防府市でも、独自の子ども・子育て支援「ほうふっ子応援パッケージ」の一環として、新入学児童用かばんの無償配布を始めています。

「独自の新入学児童用かばん開発の検討開始したのは2021年。子どもたちの身体的負担の軽減と、保護者の経済的負担軽減の2軸で考え、『安全・安心・コンパクト』をコンセプトとして、審査委員会において仕様を検討しました」(防府市教育委員会学校教育課学務係・金子和子さん)

もっとも大変だったのは色や仕様を決定していく過程。子どもの身体に合わせたサイズ調整、反射材などによる安全面への配慮、快適性、タブレット端末の収納、アフターサービスの整備などを整えて、デザインが決定しました。

「かばん背面は市の花(サルビア)をイメージしたワインレッドの生地に、防府の市章が刺繡されています」(防府市・金子さん)

防府市がユニークなのは、色の選定方法についてです。

「配色については、市内児童へアンケート投票を実施。結果、ベージュ1色を採用しております」(防府市・金子さん)

子どもたちが使いやすく身体に負担の少ない設計に、防府市らしさを加えたデザイン。  写真提供:防府市
登下校時にかかわらず校外活動などでも使用することも想定。子どもたちに投票してもらったことで、より身近に感じられるものが完成したのでは。  写真提供:防府市

2022年9~12月には各小学校で開催する就学時健康診断での展示を行い、2023年1月から各小学校での仮入学において配付をスタートしました。

「実際に新しい通学かばんを手に取った親子からは『通学距離が長いので、軽いカバンで登校できるので安心』といった声や『テレビのニュースで見たよりもしっかりした生地で驚いた』など嬉しいお声をいただきました」(防府市・金子さん)

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