
“子育て支援”が受けられない! 【闘病ママ】の子育てに「申請・無理解・制限」の“高すぎる壁”
第2回「闘病ママの子育て」~届かない子育て支援編~
2025.09.29
一般社団法人「てくてくぴあねっと」代表:うえやま みか
ファミサポは人不足で利用できない
1歳のころから慢性的な関節痛がある持病、リウマチを抱えながら、2児(9歳・5歳/2025年9月現在)の子育てに励むうえやまさん。会社員の夫は出張がちで多忙なため、ほぼワンオペ状態、まわりに頼れる身内もいません。
そうなると頼りにしたいのが国や自治体の「子育て支援制度」です。さまざまな子育て支援制度がありますが、実際に使えるものはほんの一握りだとうえやまさんは話します。
「私の場合、この10年で実際に使えた子育て支援は、区のファミリー・サポート・センター事業(以下「ファミサポ」)、一時預かり保育、保育園、この3つだけでした」(うえやまさん・以下同)
子育てが始まり、うえやまさんがまず検討したのが、産前産後に使える「育児支援ヘルパー」事業でした。
「所得に応じた金額内で授乳やおむつ替え、沐浴、家事などをしてくれるのでぜひ利用したかったのですが、さまざまな書類を揃えたうえでの郵送が必要。
そのときの私は関節痛がひどくペンを持つことすらもつらい状態で、寝不足も続いていたため、外出も必要な手続きは大きな負担になりました」
身体面だけでなく、心理的な面でも頼りづらかったと打ち明けます。
「“家庭訪問のために部屋をきれいに掃除しないといけない”などと考えてしまい、心理的にハードルを感じてしまいました。また、当時の私は“そもそも、子育てをすると大変な状況になるということは産む前から分かっていたことでしょう?”と世間にも思われている気がして、“自分ががんばらなくては”と思い込んでいました。
今振り返ると、そんなふうに考える必要はなかったんですが、当時はそんな思いにとらわれていたんです」
結局、“だったら家で自分のペースでゆっくりやろう”と断念。「自宅にいながら手続きできるオンライン申請であれば、使えていたと思います」と話します。
次に、長男の保育園のお迎えを頼もうと、ファミサポの利用を試みましたが──。
「当時(2016年)、私の住む東京都中央区のファミサポは、利用希望者に対してサポートしてくれる支援者の会員数が絶対的に不足していて、なかなか利用できませんでした。
次男の出産時には産前産後の優先枠でようやく長男の送迎サポートを受けることができましたが、コロナ禍で途中から利用できなくなりました」
通院のための「一時預かり保育」は予約のために行列
区の一時預かり保育サービスも、利用申請そのものが困難だったと続けます。
「私が抱えているリウマチは、月に1回、大きな総合病院で診てもらう必要があります。けれど子ども連れで病院へ行くのは、病気でつらい他の患者さんへの影響や、院内の感染症対策の観点からも難しいのです。
そこで利用したのが、区の一時預かり保育です。今でこそオンラインで予約できますが、当時(2016年)は月に1回、定められた日に窓口で並んで予約するシステムでした。
事前に写真や書類を持参して登録し、翌月の予約開始日の情報を得たら、その日の受け付け開始時刻に合わせて朝早く出かけ、子どもを抱えて順番待ちをします。でも、自分の順番が回ってきたときには希望日の予約が埋まっていることも。
乳幼児を抱え立って並ぶこと自体、体に負担がかかるからと配慮を要請しましたが、『原則、皆さん並んで待っていただいているので』の一点張りでした」
保育園からは「寝てるなら16時に迎えに来て」
保育園は、自治体によって異なるものの、保護者の就労以外にも病気や心身の障害があるなど、さまざまな理由で利用が認められています。うえやまさんは、長男の産後は働いていなかったため、病気療養で利用申請しました。しかし──。
「ほかの闘病ママさんも同じ経験をしたと後から聞きましたが、私は区から18時半までの利用を認められているにもかかわらず、当時の園長の判断で『あなたは働いていなくて家にいるだけなんだから、育休中の扱いと同じ16時のお迎えでいいですよね』という趣旨のことを言われたことがあります。
医師からは、体への負担を考え保育園の送迎は控えるようにと言われていたので、仕事帰りの夫に迎えに行ってもらいたく、当時の園長先生に保育利用時間を何度も相談をしましたが状況は変わらず。
次第に足の痛みが強くなり、次男の妊娠・出産も重なって、どうにも私だけでの送り迎えが難しくなったところで再度アプローチ。区の保育課にも間に入っていただき、ようやく利用時間が規定どおりになり、夫と分担して保育園の送迎が叶いました」
