
「机の下の足型」は氷山の一角! 全国の小学校にひっぱりだこの教師が飛び込み授業で目を疑った教室とは?
#1 不登校から学習意欲の低下まで 原因と解決策を探る (4/4) 1ページ目に戻る
2026.04.10
「どうして菊池学級の成績が伸びたのか」
私がとるアプローチはたったひとつと言えます。
「教室内のコミュニケーション」
学年のスタートには学級目標を決めます。具体的には「一年後に言われたい言葉、言われたくない言葉」などといったテーマで話し合ったり、ホームルームではその日の日直のいいところをクラスメイト一人ひとりがほめたり、とおたがいをわかり合うことにより教室は子どもたち一人ひとりの居場所になっていきます。
子どもたちが教室に溶け込めば、教室全体の学力も伸びます。かつて私は市の教育センター長から、「どうして菊池学級の成績が伸びたのか」と理由を聞かれたものです。
私は全国で行っている飛び込み授業でも、子どもが変わる様を目にし続けています。一コマずつの授業が多いですが、「ひとつのテーマについて話し合う」「教室を自由に動き回って、クラスメイトと話し合う」などといった授業方法を通じて、教室の雰囲気が変わることが何度もありました。
このコミュニケーション科の設立が、日本の教育現場での根本的な状況改善につながるとも考えています。
いまの日本の教育現場では、対症療法ばかりが考えられています。学力が下がった、いじめや不登校が増えている。そういった問題が起きた末に、あと追いで対策を考えることがくり返されているのです。全国学力テストを復活させたり、いじめや不登校に関して法整備を行ったり、全国的なアンケート調査を実施したりと。
前述した「足型」や「給食の準備時間中のプリント」は、まさに学力テストの点数を上げるための対症療法でした。
この対症療法が主体となっている背景には、3つの側面があると私は分析しています。
ひとつは教育行政によるもの。学力テストの結果への重圧から、現場の先生が教育委員会や管理職の指示に従わざるを得ない状況となっています。
もうひとつは教員の不足です。約10年で離職者数が約3倍となり、1校あたりに必要な教員数は増加しているのに、なり手の数は年々減っています。そうなると教員自身が日常業務に追われ、型にはまっていくでしょう。
さらにあげるなら、3つ目としてパソコンやタブレットを使うICT教育の導入で現場の教師が混乱しています。
しかし、そこを責めてばかりいても、子どもが壊れていっている根本的な問題は解決しません。また対症療法のくり返しとなるでしょう。
重ねて申し上げますが、教室の子どもたちにコミュニケーション力がつけば、個人(クラスメイト)の尊厳を尊重し、教室を公共の場と捉えられるようになり、結果的には豊かな人間性と創造性が備わっていきます。やがては学級崩壊やいじめの問題に対しても、時に学力低下の問題に対しても、問題の根本を改善する予防策になりうるのです。
全3回の1回目
2回目を読む※4月11日よりリンク有効
3回目を読む※4月12日よりリンク有効
◆今回ご紹介の書籍はこちら
『足型をはめられた子どもたち』
NHK「プロフェッショナル 仕事の流儀」、日本テレビ系列「世界一受けたい授業」などで、崩壊した教室を立て直す授業が紹介され大反響を呼んだ、菊池省三先生のコミュニケーション教育。子どもの生きる力を伸ばすメソッドへの支持は拡がり、講演や研修会は年間250回に及んでいます。
いま、教師の指導者として全国の小学校に招かれ、10年のあいだに行った飛び込み授業(示範授業)は3000時間超。各地の教室をもっともよく知る教育者です。そこで出合ったのが「机の下の足型」に代表される子どもを「型にはめる教育」。
本書では、公立小学校の現状を知っていただき、その解決策として荒れた子どもたちを変えてきた菊池先生のコミュニケーション教育を紹介。保護者のみなさんにとっても、子育てについての認識が180度変わる「ほめ方」や「叱り方」「語彙の増やし方」「考える力のつけ方」など、子どもを社会に送り出すために、家庭でできる実践法をお伝えします。

































菊地 省三
1959年、愛媛県生まれ。山口大学教育学部卒業。 2014年度まで北九州市立小学校の教諭を務めた後、教育実践研究家として活動を始める。全国の国公立小学校に招かれ、2026年時点で3000時間以上、飛び込み授業(示範授業)を行っている。教育実践研究サークル「菊池道場」主宰。8つの自治体の教育アドバイザーを務める。講演は年250回に上る。 著書に、『新装版 授業がうまい教師のすごいコミュニケーション術』(学陽書房)、『学級崩壊立て直し請負人 大人と子どもで取り組む「言葉」教育革命』(新潮社)など、共著に『菊池先生の「ことばシャワー」の奇跡 生きる力がつく授業』(講談社)などがある。 NHK「プロフェッショナル 仕事の流儀」や日本テレビ系列「世界一受けたい授業」、ドキュメンタリー映画「挑む」シリーズなど多数出演。
1959年、愛媛県生まれ。山口大学教育学部卒業。 2014年度まで北九州市立小学校の教諭を務めた後、教育実践研究家として活動を始める。全国の国公立小学校に招かれ、2026年時点で3000時間以上、飛び込み授業(示範授業)を行っている。教育実践研究サークル「菊池道場」主宰。8つの自治体の教育アドバイザーを務める。講演は年250回に上る。 著書に、『新装版 授業がうまい教師のすごいコミュニケーション術』(学陽書房)、『学級崩壊立て直し請負人 大人と子どもで取り組む「言葉」教育革命』(新潮社)など、共著に『菊池先生の「ことばシャワー」の奇跡 生きる力がつく授業』(講談社)などがある。 NHK「プロフェッショナル 仕事の流儀」や日本テレビ系列「世界一受けたい授業」、ドキュメンタリー映画「挑む」シリーズなど多数出演。