「日本一のタコ博士」が語るタコの心臓の秘密! タコの心臓は全部で3つある!? そのおどろきの理由

「日本一のタコ博士」が教える「タコ入門」(2)

池田 譲

心臓の動きを助ける「鰓心臓」とは?

人間は呼吸するとき、胸にある左右の肺に空気をためます。

肺呼吸と言います。タコには肺がありません。それならどうやって呼吸をするかというと、鰓(えら)に空気を取り込んで呼吸します。水の中にも空気、正確には酸素が溶け込んでいるので、それを鰓に取り込むのです。

魚も鰓で呼吸しますね。それと同じです。

イラスト:まいまい堂

タコの鰓は左右ひとつずつ、合計ふたつあります。この鰓の付け根にも心臓があり、鰓心臓という名前がついています。鰓と同じく鰓心臓もふたつあります。

ふつう、心臓は筋肉でできています。全身に血液を送るために筋肉の力が必要なのです。タコの心臓も筋肉でできています。

これに対し、鰓心臓は筋肉ではなく、見た目も本当の心臓とは違います。でも、鰓心臓は鰓に血液を送り出す役目を担っています。本当の心臓だけでは心もとないので、鰓にも小さなポンプを用意して心臓を助けているのです。

つまり、鰓心臓は補助ポンプです。本当の心臓のひとつと鰓心臓ふたつが力を合わせ、タコの体に血液を送り続けます。ドックン、ドックン。3つの心臓は今日も血液を送ります。

『タコのなぞ 「海の賢者」のひみつ88』は大好評発売中!

日本一のタコ博士として知られる琉球大学の池田譲さんが、88個の「タコのなぞ」をQ&A形式で徹底解説! 生態、習性、文化的役割など、いまだ多くの部分が謎のベールに包まれているタコの秘密に迫ります。イラストや図版も満載。子どもから大人まで楽しく読むことができます。

●タコには心臓が3つ、脳が9つある!?
●タコのうでは、じつは折り曲げる場所が決まっている?
●タコは力持ちだけど、「重さの違い」はよくわからない?
●陸上を走るタコもいる?
●貝殻をもっているタコもいる?
●タコとイカの吸盤はぜんぜん別物?
●タコにも右利きと左利きがある?
●タコは「光の種類」が見分けられる?
●タコも夢を見ている……かも?
●タコはカモメを食べることもある?
●タコの死因は2つしかない?
●「地獄の吸血イカ」とよばれるタコがいる?
●ネコにタコを食べさせちゃダメ?
●タコは真水に入れると死んでしまう?

など。

17 件
いけだ ゆずる

池田 譲

IKEDA Yuzuru
琉球大学理学部教授

1964年、大阪生まれ。北海道大学大学院を修了して博士号(水産学)を取得。その後、スタンフォード大学、京都大学、理化学研究所などを経て現職へ。イカとタコの知性、社会性、コミュニケーション、飼育法などを研究。『タコのなぞ 海の賢者のひみつ88』(講談社)、『イカの心を探る』(NHKブックス)、『タコの知性』(朝日新書)など著書多数。小学生時代のあだ名はイケ。

1964年、大阪生まれ。北海道大学大学院を修了して博士号(水産学)を取得。その後、スタンフォード大学、京都大学、理化学研究所などを経て現職へ。イカとタコの知性、社会性、コミュニケーション、飼育法などを研究。『タコのなぞ 海の賢者のひみつ88』(講談社)、『イカの心を探る』(NHKブックス)、『タコの知性』(朝日新書)など著書多数。小学生時代のあだ名はイケ。