子どもの発達の見守り方　「今できること」を見つける親の心がけ

これまで本田先生らに伺ってきた「年齢にとらわれず、今伸びかけていることを大切にする」「『他の子どもたちと違うこと』を受け入れて無理に変えようとしない」といった考え方は、アプリ「TOIRO」の「解説記事」で詳しく確認することができます。

解説記事では、「子育てについて」「ことば」「生活」「興味」「感情」「対人関係」の６つのカテゴリーに分けて、考え方のポイントを分かりやすく解説。本田先生らが伝えたいことの勘所が詰まっているので、一度は読んでおきたい記事です。

「年齢よりも、いま伸びかけていることを大切にするという考え方は、僕らが専門とする発達心理学では基本なんですが、世間ではこういったことはあまり言われないですよね。迷ったり、行き詰まったときに、立ち戻れるような場所として、解説記事を作っています」（本田先生）

「どうしてうちの子はできないんだろう」と思ったときに、最初から「できる」を目指して教えこもうとせずに、「次は何ができるかな」と視点を一つ落として考えてみる。

すぐに実践することは難しいかもしれませんが、時間をかけていろいろなことを試しながら、焦らず見直していくことが大切とわかりました。

とくに発達障害の特性がある子どもの場合は、そうすることで、「不登校や不安、うつなどの『二次障害』を防ぐことにもつながる」と本田先生は語ります。この「二次障害」は、発達障害の人たちが抱える生きづらさの背景に深く関わっているといいます。

次回は、自分の特性と合わない環境の影響などによって起こる過剰適応や二次障害など、発達障害から派生するさまざまな問題について取り上げます。

本田 秀夫（ほんだ・ひでお）
信州大学医学部子どものこころの発達医学教室教授・同附属病院子どものこころ診療部部長。精神科医。医学博士。30年以上、発達障害の専門医として発達障害の早期発見、早期介入から成人期の支援まで、各ライフステージにわたる臨床経験をもつ。

清水亜矢子（しみず・あやこ）
信州大学医学部子どものこころの発達医学教室特任助教。小児科医師。専門は小児神経。丸子中央病院、信州上田医療センターの小児科にて発達障害診療に従事している。

永春幸子（ながはる・さちこ）
信州大学医学部子どものこころの発達医学教室特任助教。小児科医師。専門は小児神経。専業主婦から信州大学医学部に入学し、40代で小児科医に。総合病院で小児科一般診療を経験後、現職。

取材・文／稲葉美映子