子どもが「発達障害」?と感じたら  『リエゾン』監修の児童精神科医が「3つの特徴」を解説

児童精神科医・三木崇弘先生が語る「発達障害の子どもと保護者への支援」 #1 「発達障害」の特徴を見る3つのポイントと相談先

児童精神科医:三木 崇弘

子どもの発達で気になったとき、何をポイントとしてみればいいのでしょうか?  写真:アフロ

多動やこだわりなど、日々子どもと接するなかで「うちの子、もしかしたら発達障害かも?」と思ったことがあるお母さんやお父さんもいるのではないでしょうか。

なかには、気づきがあったとしても、保護者としてどのように行動をしたらよいのかわからず、子どもの将来について漠然とした不安を持たれている方もいるかと思います。

そこで、現在も連載中の人気漫画『リエゾン』の監修者であり、児童精神科医・三木崇弘先生に、発達障害の子どもと保護者への支援についてお話しいただきました。

1回目は、子どもの発達に不安を感じたときの相談先や、相談をする意義についてです。

(全3回の1回目)

三木崇弘(みき・たかひろ)
児童精神科医。国立成育医療研究センターこころの診療部で6年間勤務の後、2019年フリーランスに。以降、クリニック専門外来、公立小学校スクールカウンセラー、児童相談所、保健所、児童養護施設などで活動。2023年4月より地元・姫路へ戻り、児童精神科医として多忙な日々を送る。「モーニング」連載中の漫画『リエゾン─こどものこころ診療所─』監修。

発達障害とは

僕は児童精神科医という職業柄、今までいろいろなお子さんを診てきました。特に最近は、さまざまな場所で「発達障害」という言葉を、本当によく耳にするようになりました。

毎日の生活のふとした瞬間から、「うちの子、そうなのかも?」と、子どもの「発達障害」が気になっている保護者の方もいるかと思います。

まずは発達障害について、説明しますね。

発達障害とは、自閉スペクトラム症(ASD)、注意欠如・多動症(ADHD)、限局性学習症(SLD/学習障害ともいう)の大きく3つに分けられます。

ものすごく簡単に説明すると、自閉スペクトラム症は、こだわりや感覚過敏があり、社会性やコミュニケーションに困難があります。注意欠如・多動症は、落ち着きのなさや衝動的な行動、不注意さが主な症状です。限局性学習症は「文字・文章を書くこと」「計算すること」など、特定の領域だけがうまくできない状態をいいます。

気づく最初のきっかけとしては、乳幼児健診のときに、保健師さんから「この月齢でできることが、まだできていない」と言われたり、保育園や幼稚園などで、他のお子さんの様子を見聞きした場合に気づかれたりすることが多いですね。

しかし「この症状があれば発達障害だ」という決定的なものはありません。発達障害であるかどうかは、子どもの現在の状態や、成育歴を総合的に見て判断します。

3つのポイント

発達障害の特徴を見るポイントとして、3点あげてみます。

1つ目は「発達の遅れ・ばらつき」です。
「発語が少ない」「目が合わない」など、その月齢の発達よりも明らかに遅れているときは、発達障害の可能性が考えられます。また、遅れているだけではなく、発達の度合いにばらつきがある場合も要注意です。

2つ目は「育てにくさ」です。
0歳から「カンが強い」「置くと泣く」「反り返り方がすごい」などがはっきりしているお子さんがなかにはいます。ただ、第1子の子育てだと「赤ちゃんってこんなものかも?」と思うお母さん、お父さんもいらっしゃるので、こういった場合は第2子が生まれて「全然違う」と気づくケースもあります。

3つ目は「遊び方」です。
これは、発達障害の子どもは、独特の遊び方をするからです。例えば、定型発達の子どもはミニカーを手に持って走らせて遊ぶことが多いですが、発達障害の特性のある子は、ひたすらタイヤを回し続けたり、ミニカーを並べて正面からじっと見ていたりすることがあります。

ほかにも、スーパーで迷子になっても泣かずにケロッとしているケースや、保育園や幼稚園ではすごくきちっとしていて先生のお手伝いもテキパキとするような子が、家に帰るとずっとイライラしているような「過剰適応」しているケースもあります。

小学校に入ってからだと「授業中じっと座っていられない」「友達の気持ちがわからない」「友達との距離感がつかめずにトラブルになる」などが発見のきっかけになったり、「小1の夏休み直前になってもひらがな・カタカナがスラスラ読めない」「宿題に何時間もかかる」「何十回も文字を書き直す」という特徴で気づかれることもあります。

気になったときの相談先は?

次に、子どもに気になる症状があった場合、「誰に相談すればいいのか」をお話ししますね。

乳幼児の場合なら、まずは乳幼児健診の機会に医師や保健師、あるいは通っている保育園や幼稚園の先生に相談するといいでしょう。

地域によって制度はさまざまですが、子育て支援センターや保健所・保健センター、児童発達支援センターなどでも相談できることが多いです。一度地元の自治体を調べてみてください。

就学している場合は、学校です。担任・学年主任・養護教諭・副校長・校長など、保護者の方が「信頼できる」と思える先生に遠慮なく聞いてみてください。学校を通して、教育相談やスクールカウンセラーなど、教育関係の相談機関を利用する方法もあります。

どこに相談するにしても、まずはお母さんやお父さんが安心して相談できるところ、足を運びやすいところに相談するのがいいと思います。

とはいえ、一度相談してみて「ちょっと合わないな」と思ったときは、遠慮せずに医療機関や児童発達支援センターへ行ってみてください。

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