
“家のホコリ”にはクルミや卵成分があった!? 子どもの食物アレルギー予防に大切な「肌荒れ」と「少量摂取」[医師監修]
家の環境とアレルギー #1 国立成育医療研究センター 山本貴和子先生に聞く【食物アレルギー予防編】 (2/3) 1ページ目に戻る
2026.08.26
国立成育医療研究センター・アレルギーセンター医師:山本 貴和子
──山本先生は長年、子どもたちのアレルギーの診療にあたりながら、小児アレルギーの調査や研究をされています。まずは、ナッツアレルギーについて教えてください。なぜ近年、急増しているのでしょうか?
山本貴和子先生(以下、山本先生):ナッツは、卵や乳など他のアレルギーと違い、0.008gという微量でも蕁麻疹(じんましん)や粘膜の腫れなどのアレルギー症状が出るケースがあります。
また、命に関わるような重篤な症状が出るアナフィラキシー(急激に発症し、複数の臓器に全身性のアレルギー症状が現れ、生命を脅かし得る過敏反応)を引き起こしやすいのも特徴です。
そのリスクから、2023年にクルミが、2026年にはカシューナッツが、包装された加工食品で表示が義務付けられる「特定原材料」に指定され、同4月にピスタチオも表示を推奨する「特定原材料に準ずるもの」になりました。
昨今、給食でナッツ類は使用しない自治体が増えていますが、レストランや市販品では、隠し味に使われていたり、ドレッシングに入っていることもあるため、注意が必要です。
ナッツ類のアレルギーが増えている背景には、おつまみや健康食ブームでナッツ類の消費量が増えていることが指摘されています。
──そもそも、なぜ食物アレルギーを発症するのでしょうか。
山本先生:本来、食べ物は口から食べることで体が「安全なもの」と学習していきます。一方で、アトピー性皮膚炎や湿疹などによって皮膚のバリア機能が低下していると、食べ物のアレルゲン(アレルギー反応を引き起こす原因となる物質)が皮膚から体内に入り込み、体がそれを「異物」と認識してしまうことがあります。
すると、その後にその食べ物を口から食べた際に、アレルギー症状が起こるようになります。この仕組みは「二重抗原曝露(ばくろ)仮説」と呼ばれ、今では食物アレルギーを語るうえで、土台となる理論になっています。
そのため、皮膚からアレルゲンが侵入するのを防ぎながら、離乳食の時期に食べ物を少しずつ口から摂取していくことが、食物アレルギー予防の基本的な考え方です。
いろいろな食材を初めて食べる乳児期は、予防の観点からも非常に大切な時期なのです。
──2023年発表の研究では、家庭内のホコリ中に含まれるクルミアレルゲンを調査されました。
山本先生:お話ししたとおり、食物アレルギーは皮膚から侵入して発症につながることが分かっています。加えて、ナッツ類に関しては呼吸器からアレルゲンを吸い込むことで発症する可能性もゼロではありません。
こうしたことから、生活環境のなかのアレルゲンを探ろうと、もともとホコリの中の卵アレルゲンを調査したのが先でした。
すると、調査対象とした約90家庭すべての子ども用寝具から卵アレルゲンが検出されました。100%です。これは家族の誰かが摂っていた卵が混じったと考えられます。ダニのアレルゲンよりも高濃度で検出されたのです。
──えっ! では、私たちの布団には食べ物のアレルゲンがたくさんあったのですね!?
山本先生:この研究がもととなり、株式会社ダスキンと共同でホコリの中のクルミアレルゲンの調査もしました。
45家庭を調査対象としたところ、約3分の1の家庭のリビングや子どものベッドのホコリからクルミアレルゲンが出ました。また、クルミの消費量が多い家庭では、多くの量が見つかる傾向も分かりました。
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──子ども自身が食べなくても、家で大人がナッツを食べていたら、簡単に発症につながるかもしれないのですね。では、ナッツを食べたことがない子どもがいる家庭は、大人もナッツを食べないほうが良いのでしょうか。
山本先生:私は、我慢しないで食べてよいと思っています。家庭内で食べていなくても、外でアレルゲンにさらされる可能性もありますから。
──では、どうやって予防をすればよいのですか?


































