
「ペットボトルが開けられない」は危険なサイン? 人気家庭教師を襲った難病ギラン・バレー症候群 授業もドタキャン 発症からICUに入るまでのリアルな症状と経過
俳優・家庭教師 小堀正博さんのギラン・バレー症候群闘病記 ~前編~ (2/4) 1ページ目に戻る
2025.10.17
俳優・家庭教師:小堀 正博
「ペットボトルが開けられない」風邪だと思っていた異変の正体
2024年3月10日。少しずつ寒さが遠のいてきていたその日、一人の男性の運命が大きく変わりました。俳優・家庭教師の小堀正博さんは、10万人に1人、更にその中でも数%しか陥らない最重度のギラン・バレー症候群という病に見舞われます。
ギラン・バレー症候群とは、末梢神経(脳と脊髄以外の神経)が障害されることによって、体の脱力、しびれ、痛みなどが現れる病気です。

「今思えば、発症の2週間くらい前から体調を崩していました。倒れる4日前に東京で仕事をしたときも、少しだけ声がおかしくて『あれ? 小堀さん、花粉症になったんですか?』なんて聞かれていたんです。
でも、寝込むほどではなく、いつもなら数日で治る軽い風邪のような感覚でいたのですが……」(小堀さん)
アメリカ生まれ関西育ちの小堀さんは、運動好きな野球少年でした。中学受験をして、関西学院中学部に入学。同高等部を経て、関西学院大学法学部卒業。
また、2006年から本格的に俳優としてのキャリアをスタートし、NHKの朝の連続テレビ小説などに出演するほか、在学中から始めた塾講師を経て、現在はフリーランスの家庭教師としても活動。
役者と家庭教師の二足の草鞋を履いて、「仕事柄、体調管理には十分に気をつけていた」と話す小堀さん。これまで大きな病気や怪我の経験もなく、病院にかかることもほとんどなかったと言います。
「救急搬送された3月10日は、朝起きたら38度まで熱が出ていました。少し寝たら治るだろうと横になり、昼ごはんを食べようと起きたら、ペットボトルの蓋が開けられないほどに握力が落ちていた。
もう一度、夕方に目が覚めて、トイレに行こうとしたら立ち上がることもできなくて……。這うようにして移動して、『これはただ事じゃない、救急車を呼ばないと!』と思いました」(小堀さん)

熱は高かったものの、「意識はしっかりあった」と話す小堀さん。
ただ、身体に力が入らず、もう一人では立ち上がることができない状態までになっていました。