過酷!「子どもの入院付き添い」 小児病棟に保育士などを配置しやすくする仕組み ついにスタート!
キープ・ママ・スマイリング理事長・光原ゆき氏に聞く「子どもの入院付き添いの実態」 #3 ~これからの付き添い入院~
2024.12.18
認定NPO法人キープ・ママ・スマイリング理事長:光原 ゆき
入院付き添いの半数が自分も体調不良に
背景には、ママやパパが付き添い入院で過酷な生活を強いられている実態があります。私たちが実施した付き添い入院の実態調査でも、十分に食事や睡眠、休息が取れず、体調を崩すママやパパが多くいることが明らかになっていました。
例えば、付き添い入院している人のうち、約70%の人は3食食べることができていましたが、約25%は2食しか食べておらず、なかには一日1食の人が4.3%もいました。
3食食べない理由は、「食べる時間がない」「病院内で食べ物が手に入りにくい」が多くなっていましたが、「病室が飲食禁止のうえ、子どものそばを離れることができない」などの理由もありました。
夜間も子どもの世話や看護で眠れない日々
さらに、夜間に子どもの世話や看護をすることがあった人は9割以上、熟睡できなかった人は8割を超えていました。
そしてこのような過酷な生活で、約半数が付き添い入院中に体調を崩していました。
このリアルなママやパパの声を聞いて、このまま放っておくことはできないと強く感じました。 また、問題の根底には、保護者が看護業務を代わりに行わなければならないほど、小児医療の現場が過酷であるという現状があります。ですから、この点も含めて付き添い家族の実態を把握し、要望書を取りまとめて厚生労働省やこども家庭庁などに改善を訴えていったのです。
要望書には、「付き添い入院の実態と課題について病院側の調査を行うこと」「付き添いがどうあるべきかを関わるステイクホルダーが集まり話し合う検討会を開いてほしいこと」「付き添い家族の食事・睡眠・見守りについて改善してほしいこと」の3点を盛り込みました。
すると、私たちが想像もしていなかったようなスピードで国は要望を真摯に受け止め、対応してくれました。3つ目の要望に対して、診療報酬の中に保育士や看護助手の配置が認められるようになり、希望して付き添う家族への食事と睡眠の配慮についても手当が盛り込まれました。
もちろん、これは私たちの力ではありません。子どもの付き添い入院でつらい立場に置かれてきた、全国のママやパパが膨大な数のアンケート項目にも関わらず、忙しい中で回答し、フリーコメントを克明に記してくれた。その思いの力以外のなにものでもないのです。