過酷!「子どもの入院付き添い」 小児病棟に保育士などを配置しやすくする仕組み ついにスタート!

キープ・ママ・スマイリング理事長・光原ゆき氏に聞く「子どもの入院付き添いの実態」 #3 ~これからの付き添い入院~

認定NPO法人キープ・ママ・スマイリング理事長:光原 ゆき

家族にしかできない心のケアもある

さらに、8月には日本小児科学会が公式に「子どもと家族が共にいること」を権利としたうえで、「治療的観点からも有益」であり、「付き添いの有無を選べることが望ましい」という見解を出しました。これも、非常によろこばしいことです。なぜなら、私たちは付き添い入院が大変だからといって、付き添いをなくして欲しいと訴えているわけではないからです。

病気で体調が悪い子どもにとって、ママやパパが側にいて背中をさすったり、手を握ったりしているだけで、どれだけ心強いかしれません。どれほどの名医や優秀な看護師だって代わることができない、家族にしかできない心のケアはあるはずです。私たちは、親が付き添うことは、子どもの回復や成長や発達にとってとても重要なことだと考えています。

写真:アフロ
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しかし、だからといって一緒にいる親が眠れない、食べられない、ほんの少しの休息さえ取れない中で耐えているというのもおかしな話です。付き添いの親の健康だって同じくらい大事ですし、家で待っているきょうだいだって親と過ごす権利があるはずだからです。

だからこそ、付き添いをなくすというのではなく、子どもと家族の状況に合わせて付き添うか付き添わないかを選べること。付き添う時は、親が健康を損なわず、経済的な不安も少なく、安心して付き添えること。もし付き添えない場合も、安心して医療者に任せられ、親子がいつでも触れ合える、そんな環境をみんなで作っていきたいと思うのです。

───◆───◆───

今、小児医療は本当に厳しい状況になっています。ただでさえ医療の中でも採算が合わない分野にもかかわらず、子どもの数は減っているため患者数も減少していきます。すでに、地域によっては小児科病棟を閉鎖して、外来診療だけにしようという動きも出始めています。

このままだと「子どもの患者は、重症になったら隣の県の病院へ行ってください」などと言われることにだってなりかねません。地域の小児医療の灯火を消さないためにも、キープ・ママ・スマイリングのような子どもを真ん中に置いた活動を応援していきたいと思います。

取材・文/横井かずえ

【参考資料】
・認定NPO法人キープ・ママ・スマイリング「入院中の子どもに付き添う家族の生活実態調査2022」

厚生労働省保険局医療課「令和6年度診療報酬改定」p.93

子どもの入院付き添い連載は全3回。
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みつはら ゆき

光原 ゆき

Yuki Mitsuhara
認定NPO法人キープ・ママ・スマイリング理事長

認定NPO法人キープ・ママ・スマイリング理事長 1996年一橋大学卒業後、株式会社リクルートへ入社。メディアプロデュース、人事、ダイバーシティ推進業務に従事。先天性疾患を持つ娘を出産後、育児休暇中に亡くした経験から、2014年11月に現団体の設立、理事長に就任。 病児と家族の応援の輪を広げるため、企業や学校、イベントなどで講演も多数行っている。 東京大学医療政策人材養成講座(HSP)3期生、キャリアカウンセラー、認定ファンドレイザー。 キープ・ママ・スマイリング https://momsmile.jp/

認定NPO法人キープ・ママ・スマイリング理事長 1996年一橋大学卒業後、株式会社リクルートへ入社。メディアプロデュース、人事、ダイバーシティ推進業務に従事。先天性疾患を持つ娘を出産後、育児休暇中に亡くした経験から、2014年11月に現団体の設立、理事長に就任。 病児と家族の応援の輪を広げるため、企業や学校、イベントなどで講演も多数行っている。 東京大学医療政策人材養成講座(HSP)3期生、キャリアカウンセラー、認定ファンドレイザー。 キープ・ママ・スマイリング https://momsmile.jp/

よこい かずえ

横井 かずえ

Kazue Yokoi
医療ライター

医薬専門新聞『薬事日報社』で記者として13年間、医療現場や厚生労働省、日本医師会などを取材して歩く。2013年に独立。 現在は、フリーランスの医療ライターとして医師・看護師向け雑誌やウェブサイトから、一般向け健康記事まで、幅広く執筆。取材してきた医師、看護師、薬剤師は500人以上に上る。 共著:『在宅死のすすめ方 完全版 終末期医療の専門家22人に聞いてわかった痛くない、後悔しない最期』(世界文化社) URL:  https://iryowriter.com/ Twitter:@yokoik2

医薬専門新聞『薬事日報社』で記者として13年間、医療現場や厚生労働省、日本医師会などを取材して歩く。2013年に独立。 現在は、フリーランスの医療ライターとして医師・看護師向け雑誌やウェブサイトから、一般向け健康記事まで、幅広く執筆。取材してきた医師、看護師、薬剤師は500人以上に上る。 共著:『在宅死のすすめ方 完全版 終末期医療の専門家22人に聞いてわかった痛くない、後悔しない最期』(世界文化社) URL:  https://iryowriter.com/ Twitter:@yokoik2