
【10歳の壁】『整形したい』と言い出した子どもに親は何を伝えるべき?ルッキズム時代の想定問答
『つまり、それがルッキズム ~23の事例と解説~』著者インタビュー (3/4) 1ページ目に戻る
2026.07.01
ライター:小川 聖子
褒めるときに「理由(形容詞)」はいらない
──親から「かわいいよ」と大切に育てられていても、学校で誰かから酷い言葉を言われてショックを受けて帰ってきたとき、親はどう寄り添えばいいのでしょうか。
前川:私自身、幼少期は両親に褒められて育ったタイプだと思います。当時は海外で暮らしていましたが、親は「背が高くて羨ましい!」「顔もかわいい」というふうに常に私を肯定してくれていました。
でも小学校のときに日本に帰国して、周囲から容姿をディスられたり、いじめに遭ったりしたとき、親の言葉が信じられなくなってしまって。「かわいいって言ってたのウソじゃん」と、何が本当かわからなくなってしまった。
今思えば、親は100パーセント善意で言ってくれていましたし、いじめてきた子たちにも強い悪意があったわけではなく、ふとした一言だったのだと分かります。ただ、当時の私は過剰に気にするタイプだったこともあって、深く傷ついてしまいました。
今になって思うのは、親からのポジティブな言葉は本当にありがたいものだけれど、「背が高い」「肌が白い」などといった、形容詞は褒め言葉にはいらないのかもな、と。
──「理由つきの褒め言葉」が、かえって呪縛になってしまうことがあるのですね。
前川:そうだと思います。理由をつけて褒めると、その条件から外れたときに「自分には価値がない」と思ってしまう。だから親が子どもに手渡すべきなのは、「○○だからかわいい」ではなく、「理由はないけれど、あなたの存在そのものが大好きだ」という圧倒的な安心感。
ただ、そうやって育てられてきても、子どもが外で傷ついてしまうこともありますし、そのときは周りの大人がいくら「そんなことないよ、素敵だよ」と言い続けても、その言葉はなかなか響きません。
私自身を振り返っても、結局は自分が納得しない限り、救われることはないんです。
ただ、その長い戦いの中で、親や周囲が条件なしに自分を肯定し続けてくれた記憶は後々、自分で自分を救うための「大きな後押し」にはなります。だから、伝え続けてあげてほしいです。
ウィルソン:本当にそうですね。親が自信を持たせる方法としては、努力を誉めたり、小さくても達成したことを褒めていく、などといったやり方もあると思いますが、これも行き過ぎると「できた」「できない」で評価が変わるものになってしまう。
だから、それらとは全く別のところで、「できなくても、どんな姿であっても、あなたの価値は1ミリも変わらないし、私があなたを大好きなことは変わらない」というメッセージを、言葉にして何度も伝えてあげることが、家庭を安全基地にする土台になっていくのかなと思います。
「量産型」も一つの経験。大切なのは「健康」と「内的動機」
──子どもが「かわいくなりたい」とおしゃれに興味を持ち始めたとき、親としてはどう向き合えばいいでしょうか。例えば、小学校でのびのびしていた子が、中学に入った途端にみんなと同じ「量産型」のファッションやメイクになり、個性が消えてしまうように見えて寂しさを覚える親御さんもいます。
ウィルソン:私は、それなら一回「量産型」になってみたらいい、と思います(笑)。それも子どもにとっては、自分の好みや「かわいい」を探す大切なプロセスになるのではないでしょうか。
ただ、周りに合わせるために我慢している(外的要因)のか、それとも「みんなと一緒にいることで安心したい」という自分の幸せのため(内的要因)なのかは、大人でも切り分けるのが難しいですよね。
大切なのは、それを否定することではなく、子ども自身が「これって本当に自分が好きでやってることのかな?」と問い続けられる環境を、親子で作ることだと思います。
前川:ただ気軽にいったん「量産型」を目指すのは、体型や顔の造形だと話は別かなと思います。ファッションやヘアスタイルは、いろいろ試して失敗して、初めて「これが一番落ち着くな」という場所に着地するもの。
パンクが好きでも、ふんわり系が好きでも、本人が好きなら何でもいいんです。 ただ、ファッションと違って、「ダイエット」や「美容整形」に関しては「いったんやってみたら?」では済まないリスクがあります。
「キレイになりたい」という向上心は素晴らしいし、私も自分磨きが大好きですが、大前提として「心身の健康を害していないか」は、親がしっかり見守る必要があります。特に10代の体は、無理なダイエットをしても若さで動けてしまうし、体重が減る快感に依存してしまいがちです。
でも、生理が止まったり、心を病んでしまったりしてからでは遅い。体型を変えること自体は悪ではないけれど、健やかであることの優先順位を下げてはいけません。なので、体型への変化に関しては、いったん目指すのではなく、目指す前に考えてほしいです。


































