ワンオペ育児 家計管理 中学受験… 夫婦のミゾを深める“すれ違い”の正体! 「本当のパートナーシップ」を3000万PV著者が明かす

電子書籍「実録・私の夫はクズ旦那 本当にあったゾッとする話」発売記念 著者・佐野倫子さん解説 (2/3) 1ページ目に戻る

教育ジャーナリスト:佐野 倫子

教育費を見据えて「家計を整えた」はずが……!?

写真:mapo/イメージマート
すべての画像を見る(全7枚)

【書籍より抜粋】
「産休のタイミングなどを考え、真弓さんから提案して年子で産んだ2人の子どものため、教育資金をきちんと貯めようと導入したお小遣い制。

生活費、子どもにかかわることには同額ずつ出したお財布から、日常にそれぞれかかるお金は6万円ずつのお小遣いから、となったそう。

そのころから、良平さん(夫)が目に見えてイライラしはじめました。そして真弓さん(妻)が、共同の生活費財布からお金を勝手に使っているんじゃないかと疑心暗鬼になり、1円単位でレシートと突き合わせるようになったのです」

将来を見据え、協力してお金の仕組みを作ったはずが、そこから関係が大きく崩れていくケースです。家計を「システム化」することで「安心」したかった妻に対し、夫は「監視されている」と感じてしまったパターンですね。

家計や教育資金の話は、信頼関係のバロメーターです。仕組みだけ整えても、納得や共有がないと逆に不信感の温床になります。“数字の透明性”よりも、“気持ちの透明性”を意識することが大切だと3年間、多くの家庭への取材から学びました。

教育費や家計の管理は、家庭の“運営”の問題であると同時に、夫婦の“信頼”の問題でもあります。ここで対話を怠ると、坂を転がるように関係が悪化してしまうのです。

このご夫妻はなんと、疑心暗鬼になった夫が夜更けに妻の財布に手をかけるまでになってしまいました。その衝撃の結末はぜひ、『実録・私の夫はクズ旦那』をお読みいただければと思います。

育児の偏りが“心の孤立”を生む

次に紹介するのは、出産と育児を機に関係が崩れてしまった夫婦のエピソードです。

写真:graphica/イメージマート

【書籍より抜粋】
「とにかく、夫は都合が悪いときはずっとゲームをしているんです。スマホになってからは動画も加わりました。1人目の産後から、ずっとその調子でしたね。子どもが泣いていてもお構いなし。

私が新生児育児にナーバスになって、『うっかり世話が行き届かなくてこの子が死んでしまったらどうしよう……』と夜中に情緒不安定でシクシク泣いていても、子どもと私の泣き声が耳に入らないようにと耳栓。ご丁寧にアイマスクも。(中略)

熱心にプロポーズしてきた人と同一人物とは思えません。目の前に解決すべき問題があるのに、決して向き合わない。その姿勢に気がついて、背中がひやっとしました」

育児の負担がどちらかに極端に偏るのは本当に危険です。思いやりのない行動は、相手の尊厳を深く傷つけます。当事者意識をもって育児に関わること。そしてパートナーの精神状態に目を向けることが、家族を守る最大の防御線ですね。私も出産を経験して、そのときの母親の精神状態は、一見恵まれた状況だとしてもやはりハードなものだと感じました。

取材を通して実感したのは、“我慢しすぎず、気持ちを伝える工夫”の重要性です。相手が気づかないことを責めるより、「助けてほしい」と素直に言葉にする勇気を持つこと。夫婦は同じ家に住んでいても、沈黙すれば「他人」になってしまうのです……。

「ここより下はナシ」──中学受験で露呈する教育観の溝

27 件