水瀬いのり「学校内では若干の寂しさや異端さを感じていました」

【大人気連載復活】わたしが子どもだったころSeason2:Vol5.水瀬いのりさん (2/3) 1ページ目に戻る

ライター:山本 奈緒子

万人にウケるより数人の心に爪痕を残そう、と思った

オーディション参加者の中で、私はまだ幼かったので技術的決め手に欠ける、と分かっていました。だから無難にパフォーマンスするより笑われても良いから全力で好きを伝えよう!と決めたんです。というわけで、他の人たちが美しい弾き語りとかをしている中、私は一人8役を演じたんです。

次々と、ころころテンションが変わっていって、めちゃくちゃヤバい子どもに見えたと思います。実際、「何だこれは!?」という感じで審査員の方たちにはクスクス笑われました。でも、たくさんの人に共感してもらうことより、数人の心に強烈に引っかかるほうが大事だ、と思ったんですよね。もしそれで失敗しても、その勇気は絶対に次につながると思いましたし!

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この経験から私が伝えたいのは、目先の結果ではなく、長い目でみて後悔のない選択をしてほしい、ということです。全力を出し切ったけどダメだった、はOK。それは絶対、自分の中に経験として積み重なっていきますから。グランプリは獲ったものの、デビューしてからは私も上手くいかない時間が長かったんです。でも常に「この頑張りが根付いていつか花開く」と信じてやってきました。

子どものころに培ったイマジネーション力が今生きている

今はおかげ様で、声優・アーティストとして忙しい毎日を送らせてもらっています。子どものころを振り返って、じゃあ何が今の状況につながったのかなと考えると、イマジネーション力かな、と思います。

私はもともと一人でいろいろな想像をするのが好きで。子ども時代は団地住まいで、無機質なエレベーターを上り下りするだけの日々だったんですけど、いつのころからか、エレベーターの階数ボタンの数字を見て、人の顔を想像するようになって。たとえば「5」のデザインが、某タレントさんの顔に見えてきたり。これを誰かに言うと、「ちょっと言っている意味がよく分からない」とまったく共感されないんですけど(笑)、そういう自分だけの感性って、声優の仕事を始めると大きな武器になるんです。

声優は、何もない録音ブースの中で、キャラクターの感情を想像して演じなければなりません。たとえば悲しい演技をするとき、“悲しい”にもいろいろあるじゃないですか。静かに悲しんでいるのか、胸が張り裂けそうなのか、とか。実際、演技のオーダーもフワッとしていることが多いんです。「ちょっとトガりある感じで」とか。そんなとき、さっと自分の中で腑に落ちるイメージを生み出せる瞬発力って、すごく大事で。

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