
トカゲを捕まえるのに試行錯誤!それは今にもつながる経験です
──「目的地に最短ルートで到着したい」というのは子どものころからだったんですね。子ども時代のひろゆきさんはトカゲに夢中だったこともよくお話しされています。
ひろゆきさん:正確にはトカゲではなく、カナヘビですけどね。僕が子ども時代を過ごした東京都北区赤羽に、トカゲはほとんどいないので……。
そのカナヘビ、トカゲを捕まえるのが中学校に入るころまでの僕のブームでした。ただやみくもに捕まえようとしても捕まえられないので、捕まえるためにトカゲの行動パターンを調べたり、向かう場所に先回りしたりしなければいけない。
トカゲは変温動物なので、常に活動に適した温度の場所へと移動しているのですが、朝はだいたい10時くらいまで、太陽で温められる場所にいることが多いのです。さらに人通りがあるところには出てこないので、そういう時間帯による傾向や条件、知識を組み合わせて、トカゲがいそうなポイント、かつ人があまり通らない場所を定期的に巡回する……そんなことをやっているうちに1日が終わっていました(笑)。
──トカゲを捕まえるために頭と足を使っていたのですね。それで「思ったとおり、ここにいた!」となるのでしょうか。
ひろゆきさん:まぁそうですね。さらに言えば、トカゲを探すときは、目ではなくて耳で探すんです。今でもたまに「あ、いる」と感じることがあるのですが、小動物が動くときの「音」があるんですね。普通の人は「風の音だ、木の葉の音だ」と言ったりするのですが、それとは少し違うんですよ。
例えば木の葉が風で揺れる場合は、多くの葉がいっせいに揺れるんだけど、茂みの中にトカゲとか鳥とか、小さな生きものがいる場合は、ちょっと違う音がする。生き物は人間がそばにいると基本的に「動かない」という選択をするのですが、そんな音が聞こえたときは、絶対に近くにはいるんですよ。
そうなるとお互い我慢比べで、僕も20分とか30分とかそこでじっとしています。すると向こうが「もう大丈夫かな」って出てくことがある。そうなったら「やった!」という、そんなことをずっとしていましたね。

──目的地までは走るけれど、そこではじっと待つんですね。
ひろゆきさん:そうですね。生き物は目を合わせると逃げるので、目を合わせずに、相手が警戒をといたときに少しずつ近づく、それを繰り返していると野良猫や野良犬も近づきやすくなります。
一方、鳥や昆虫を捕まえるときは、正面から手を出したほうがいい。なぜかというと、ほとんどの動物は後退りも、横に移動することもできないから。鳩にしても、後ろからだと絶対に捕まえられないのですが、前からなら捕まえられる。
つまり、なんだろうな、おそらくトカゲを捕まえるために自分なりに考えたり、実践したりと試行錯誤してきた経験、そこで知識やスキルが身についていくという経験が、大人になったときに自分がやりたいことを「どうしたら実現できるか」を考える役に立っていると思うんです。子ども時代にそれを思い切りやれたことは、良かったんじゃないかと思いますね。