「中学校で開花」「家庭と学校は両輪」主体性を信じた教員と保護者が語るリアルな声〔ある公立小学校教員の驚きの実践〕

現役教員に聞く 子どもが主体的になるヒント#4 保護者座談会編

「主体的な子ども」は学校と家庭の信頼関係がキモ

──学校と家庭の「両輪」を回すためには、先生と保護者がお互いを理解することが重要です。ただ、現状ではとてもハードルが高いと感じます。どうしたら信頼関係が築けるでしょうか。

門脇:「正解」はないし、大窪先生がいれば必ず同じような学年になるわけでもないから、常に話し合える関係が大切だと思います。

──保護者としては、先生との距離感は悩ましいです。たとえば、宿題が多いと感じても、それを伝えるのはなかなか難しい。

小野寺:これは下の子(小4)の話ですが、先日の面談で、スポーツを頑張っているので宿題ができない日があるけれど、親としてはそれでいいと思っていることを伝えました。ドリル的な宿題よりも余白と休息が必要な日もあるという考え方を、最後は先生も受け入れてくれました。考えが完全に一致していなくても、話すうちにお互いがわかるし、信頼関係は築けます。伝え方に工夫は必要になりますが。

門脇:担任と話すことも大切だけど、子どもと先生の相性もあります。学年のほかの先生ともゆるくつながれたら、さらに安心です。

小野寺:当時は、そういう「学年全体で関わる機会」がありました。ちょうど大窪先生が担任になった年に、数年前に廃止された親子のレクリエーション企画を保護者主導で復活させようとしていて。先生側からすると「忙しいし関わりたくない」が本音だと思うんですけど、大窪先生はすごく協力的で、積極的に動いてくれました。

内山:PTAではなくやりたい人がやる「自主企画」で、カレーを作ってみんなで食べるとか、水鉄砲合戦とかもありました。

小野寺:親も子どもも一緒に楽しめる機会があると、普段の学校生活のちょっとしたすれ違いが全部、整うんです。単に一緒に遊ぶだけですが、保護者と先生がつながるきっかけにもなる。そうすると、お互いに頼みごとをするハードルが低くなって、子どもにとっていいことばかりです。

学校と家庭の連携については、特に盛り上がりました。  写真:川崎ちづる
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大窪:教員としても、楽しくやっているとその先に保護者とのつながりができて、自分の授業や子どもへの関わりを理解してもらいやすくなる。それでうまく回ることって、実はたくさんあります。

小野寺:今、先生方は本当に忙しくて難しいけど、イベントがあれば、学校を介さず保護者同士で解決できることも増えるんです。だから、少しでも一緒にできたら……と思います。

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