
【中学受験】社会が6年の直前期に追い上げ可能な「具体的理由」 注目の「中受専門塾」代表が解説表が語る
「ジーニアス」松本亘正先生に聞く社会の勉強法 #3 ~6年生の勉強方法~
2025.05.08
中学:松本 亘正

──なるほど、中学受験で鍵になるのは配点も高く成績を上げるために時間を要する算数であるとはよく言われることですが、いわゆるラストスパートの最後の詰め込みタイムが社会は冬期講習よりも後。
それは、「短期記憶の勝負」という最後の飛び道具と考えて、結局それまでは極端な勉強に偏らないほうがベターですね。
松本先生:はい、そう考えます。もちろん秋から理科社会の時間が増えてくるのは確かです。
夏は、算数:国語:理科:社会を2:1:1:1で勉強していたのが、本番に近づくにつれて等分になり、本当の直前期は得意不得意や仕上がり具合によって変わっていくでしょう。でもたとえ得意科目でも放置してOKということはありません。粘り強く4科目取り組むことが大切です。
また、6年生になって志望校が固まってきたとき、知識系の難問がでるのか、記述系の難問が出るのかということを知れば、勉強内容は変わってきます。
──では、イメージができるようにそれぞれ代表的な学校を教えていただけますか?
松本先生:知識系の最上位は聖光学院や開成、桜蔭などです。最近では本郷もこのゾーンに近づいてきました。
思考・記述系最上位は麻布、武蔵、駒場東邦などです。女子学院は知識系、スピード勝負のイメージがありますが、社会は思考系です。
早慶はおおまかにいえば知識系、共立や大妻などの女子校は基礎知識をきちんと身につければ十分対応することができると思います。
親御さんは過去問を6年生前半で確認しておきましょう。わからなければ塾に相談すれば傾向を教えてくれるはずですから、頭に入れたうえで勉強を進めてください。夏休みあたりからは特に意識して、志望校に沿った勉強を始めましょう。

志望校が固まったあとの社会の勉強量は?
──志望校が固まったあと、社会の過去問はどのくらいやるべきでしょうか?
松本先生:例えば、麻布などの傾向が長年変わらない学校は、過去問を5年ではなく、10年以上さかのぼってやるのも作戦のひとつです。
一方で、標準的な学校は、トレンドや時事も変わりますので3~5年分取り組むことでOKだと思います。
ちなみに過去問を取り組みだすのは、9月以降が目安。あまり早くやっても、まだ知識が定着していないと不正解のほうが多くなり、子どももがっかりしてしまいますからね。
12歳の受験ですから、モチベーション、やる気がとても大切です。
大人はつい、「難しい問題に慣れたほうがいい」「少しでも多く過去問を解いたほうがいい」「間違えた問題だけを集めて効率よくやらせたい」などと考えますが、それが正しいとは限りません。子どもがモチベーションを高く持てるかという視点を忘れないようにしてください。
──時事問題に関してはいかがでしょう? 秋になると、その年の重大ニュースを集めた本が各塾から出ますが、それが結構なボリュームで……。直前期に投入するのに苦労した経験があります。
松本先生:実際に入試では出ない、もしくは出ても数問なので、あまりたくさんの時間を割くのは得策ではりません。気に入った時事問題の本を選んだら、読み物のように隙間時間に読んでおく。
それよりおすすめなのは、新6年生の春夏から1日10分程度、毎日テレビでニュースを見ることです。2025年だと万国博覧会、キャッシュレス決済、ミニマムアクセス。そんな用語が自然に頭に入ると思います。
時事問題は、そこまで深い知識を求められることは稀で、たいていはキーワードと背景を知っていれば書けますし、選択できます。そういう意識でカバーしていけば大丈夫ですよ。
───◆──◆───
焦りがちな6年生の伴走ですが、改めて土台を固めて、一歩一歩進んでいくこと。そして子どもが少しでも前向きに最終学年を完走できるように、保護者の方はサポートを心掛けていきたいですね。松本先生、ありがとうございました。
撮影/日下部真紀
取材・文/佐野倫子
ジーニアス松本先生の社会の連載は全3回



佐野 倫子
東京生まれ、早稲田大学卒。英国ロンドン大学ロイヤルホロウェイ留学。航空業界・出版社勤務を経て、作家・教育ジャーナリストに。2025年4月から東京大学大学院情報学環教育部在学中。 講談社mi-mollet、漫画雑誌Kiss(原作)、ダイヤモンド・オンライン、幻冬舎ゴールドオンライン、東京カレンダーWEB、月刊[エアステージ]などで小説・コラムを多数執筆。2人の男の子の母。 主な著書:『天現寺ウォーズ』、『中学受験ウォーズ 君と私が選んだ未来』(イカロス出版)、『知られざる空港のプロフェッショナル』(交通新聞社)。 Instagram @michikosano57 X @michikosano57
東京生まれ、早稲田大学卒。英国ロンドン大学ロイヤルホロウェイ留学。航空業界・出版社勤務を経て、作家・教育ジャーナリストに。2025年4月から東京大学大学院情報学環教育部在学中。 講談社mi-mollet、漫画雑誌Kiss(原作)、ダイヤモンド・オンライン、幻冬舎ゴールドオンライン、東京カレンダーWEB、月刊[エアステージ]などで小説・コラムを多数執筆。2人の男の子の母。 主な著書:『天現寺ウォーズ』、『中学受験ウォーズ 君と私が選んだ未来』(イカロス出版)、『知られざる空港のプロフェッショナル』(交通新聞社)。 Instagram @michikosano57 X @michikosano57
松本 亘正
中学受験専門塾「ジーニアス」代表。 1982年、福岡県生まれ。慶應義塾大学総合政策学部卒業。ラ・サール中学高校を卒業後、慶應義塾大学在学中の2004年に中学受験専門塾「ジーニアス」を開校。 東京、神奈川に8校舎を展開し、首都圏の中学を中心に高い合格実績を誇っている。ドラマ『二月の勝者』監修。 「伸びない子はひとりもいない」をモットーに、少人数制で家族のように一人ひとりに寄り添う指導を徹底、毎年超難関校に合格者を輩出している。 主な著書に『超難関中学のもっとおもしろすぎる入試問題』(平凡社)、『合格する国語の授業 物語文感情語編/ 説明文・論説文よく出るテーマ編/物語文入門編/説明文・論説文入門編』『合格する地理の授業 日本の産業編』『合格する歴史の授業』『改訂版 合格する地理の授業 47都道府県編』(実務教育出版)など。 中学専門塾 ジーニアス https://labo-g.net/
中学受験専門塾「ジーニアス」代表。 1982年、福岡県生まれ。慶應義塾大学総合政策学部卒業。ラ・サール中学高校を卒業後、慶應義塾大学在学中の2004年に中学受験専門塾「ジーニアス」を開校。 東京、神奈川に8校舎を展開し、首都圏の中学を中心に高い合格実績を誇っている。ドラマ『二月の勝者』監修。 「伸びない子はひとりもいない」をモットーに、少人数制で家族のように一人ひとりに寄り添う指導を徹底、毎年超難関校に合格者を輩出している。 主な著書に『超難関中学のもっとおもしろすぎる入試問題』(平凡社)、『合格する国語の授業 物語文感情語編/ 説明文・論説文よく出るテーマ編/物語文入門編/説明文・論説文入門編』『合格する地理の授業 日本の産業編』『合格する歴史の授業』『改訂版 合格する地理の授業 47都道府県編』(実務教育出版)など。 中学専門塾 ジーニアス https://labo-g.net/