「真夏のぎょうざ祭り」とは、いったいなんのことでしょう?
全国の書店を対象に行われたイベントで、2023年8月31日(8・31=や・さ・い=野菜の日)に刊行された絵本『ぎょうざが いなくなり さがしています』を、今年の8月末までの1年間でもっとも多く“出荷”した(=売り上げた)書店に対し、絵本の作者の玉田美知子さんがつくった特製のトロフィーが贈られるというものです。
あえて「現在4位」と掲示した
しかし、それだけでは、お客さんの買う動機につながらないと判断した武藤幸志店長がとった作戦は、7月の段階で「売上げが、現在4位であること」をあえて絵本のそばに掲示することでした。
「“ぎょうざの聖地”の書店でありながら、ぎょうざの絵本の売上げは現在4位……という事実をお客様と共有したわけです。絶対に1位を獲りたいと、今年の夏は、“ぎょうざの街の本屋さん”のプライドを賭け、店のスタッフが一丸となりました」
立地が呼びこんだお客さん
パセオは、いわゆる駅ビルです。
夏休み中、ぎょうざを食べるために宇都宮を訪れた観光客は、帰るときに確実に駅を使います。
電車の時間まで駅で時間をつぶそうと書店に立ち寄ると、先ほど食べたばかりのぎょうざがキャラクターになって、自由自在に動き回る絵本が並んでいる……。
そんなふうにして手に取るお客さんが多かったと武藤店長は振り返ります。
「欧米からいらっしゃった観光客の方々も、表紙の絵を見て面白いと思ったのか、けっこう買っていただきました。
それ以外にも、小さいお子さんの祖父母であろうご高齢の方が、宇都宮に帰省していた孫にプレゼントするというケースも目立ちました。この賞は、ぎょうざと宇都宮を愛するみなさまと勝ち得た賞なのです!」(武藤店長)
PR団体も太鼓判を押す“ぎょうざ愛”
「それも当然のこと! この絵本には、“ぎょうざ愛”が詰まっていますから」
こう断言するのは、「宇都宮餃子祭り」を主催するほか、常日頃から宇都宮餃子のPRに取り組む「協同組合 宇都宮餃子会」の鈴木章弘専務理事です。
「玉田さんは絵本を描くだけではなく、絵本の中に出てくるぎょうざのキャラクターを紙粘土でつくっていらっしゃるんですが、その作り方が、本物のぎょうざを作る手順と同じなんです。絵本ばかりじゃなく、そうしたこだわりにも、彼女からにじみ出る“ぎょうざ愛”を感じてしまいます」
まだこの絵本を読んでいないあなた、
「宇都宮餃子祭り」に行く前に絵本を読んで“ぎょうざ愛”を高めるのもよし。祭りでぎょうざに舌鼓を打った後、絵本で余韻を味わうのもよし。
どちらにいたしますか?
玉田 美知子
1977年生まれ、神奈川県在住。多摩美術大学立体デザイン専攻卒業。 第21回ピンポイント絵本コンペ入選、第42回講談社絵本新人賞佳作受賞。 2022年、第43回講談社絵本新人賞を受賞。 2024年、第15回ようちえん絵本大賞受賞、第8回未来屋えほん大賞受賞、第15回リブロ絵本大賞入賞。コーヒー豆のサブスクリプションサービスを運営。
1977年生まれ、神奈川県在住。多摩美術大学立体デザイン専攻卒業。 第21回ピンポイント絵本コンペ入選、第42回講談社絵本新人賞佳作受賞。 2022年、第43回講談社絵本新人賞を受賞。 2024年、第15回ようちえん絵本大賞受賞、第8回未来屋えほん大賞受賞、第15回リブロ絵本大賞入賞。コーヒー豆のサブスクリプションサービスを運営。