2021.02.03

第41回講談社絵本新人賞受賞  渡辺陽子の制作日記 第4回「原画の彩色」

著者:渡辺 陽子

※この記事は、講談社絵本通信(2020年7月)掲載の記事を再構成したものです。
 

こんにちは、『にんじゃいぬタロー』の、渡辺陽子です。今回は、原画の彩色(色塗り)について書かせていただきます。

2月中旬、ラフの最終チェックを終えて、いよいよ本文の彩色へ進みました。4月末を期限と決め、彩色、彩色、とにかく彩色の日々です。この時期、担当Kさんへのメールには「悩みながらも楽しく描いております」と繰り返し記していました。

彩色ということで、『にんじゃいぬタロー』の原画の描き方について触れたいと思います。画材は、主に学童用の水彩絵具(F水彩、マット水彩)と、色々なメーカーの水彩色鉛筆を使っています。

色鉛筆には色見本を貼ってあります。

紙はシリウス(丈夫で安価) 四つ切 特厚口で、B4の木製パネルに水張りしています。(水張りは手間ですが、紙が波打たない事と、何度も加筆するので破損の心配が少ない事が、おおざっぱな私にはあっています。)そこに、下絵のラフを、カーボン紙のような物(片面だけ鉛筆で塗りつぶした新聞紙)で、本書きの紙に写して、色塗りをしています。「にんじゃいぬタロー」では、絵具を何度も何度も塗り重ねて、希望の色に近づけて行く方法をとっています。

彩色で特に悩んだのは、背景の色です。応募時は暗闇のシーンが多かったのですが、今回は昼間のシーンが増えた事と、暗闇のシーンも1見開きで2場面を表現するように替えた所があり、かなり悩みました。試しに、小さいサイズで色を付けて全ページ壁に貼って、全体的な色の流れをみたり、本のようにめくって、前後の色の関係をみたりしながら、試行錯誤を重ねて決めていきました。

彩色がだいたい終わった原画は、壁に掛け遠くから見て、確認する事を繰り返しました。

壁に掛けた原画

4月30日、そうして、やっと、やっと、本文の彩色が終わりました! ゴールデンウイーク中だったので、担当Kさんへはお休みが開けてからメールで画像を送りました。なんとか、本文を描き終えて本当にホッとしました。まだこの後、表紙(表裏)、見返し(表裏)、物を数点 描いて行くのですが、それはまた次回、書かせていただきます。

そして、現在はというと、1回目の色校が終わった所です。通常、色校は講談社でさせていただくようなのですが、現在の状況を考慮して、原画を一旦こちらに戻していただいて、打ち合わせはZOOMで行いました。

次回の制作日記は8月末頃、校閲、装丁、印刷について、書かせていただきます。
不安な状況が続いておりますが、どうぞ、みなさま、くれぐれもお身体大切にお過ごしください。

こちらができあがった絵本。

ある日、ケンタのうちに、ふろしきをせおったあやしい犬がやってきた。その犬は、一生おつかえする、とのさまをさがしているというが……。第41回講談社絵本新人賞受賞作!


『にんじゃいぬタロー』作:渡辺陽子 講談社

著者紹介

渡辺 陽子 わたなべようこ

第41回講談社絵本新人賞を受賞。はじめての作品となる『にんじゃいぬタロー』を刊行。神奈川県在住。