2021.05.11

島内放送で大集合! 島をあげてお祝いする“新入生7名入学式”と始業式

首都圏から竹富島へ移住! 島暮らしの子育てと学び【02】

寄稿家:片岡由衣

子どもたちは「カイジ浜」にある大きな樹とブランコが大好き。
写真提供:片岡由衣

東京育ちで、結婚後は子ども3人&夫の5人家族で神奈川県に暮らしていたライター・片岡由衣さん。突然、夫の仕事都合で人口約300人の小さな離島・竹富島(沖縄県八重山郡)へ引っ越すことになりました。自然豊かな地での子育てに憧れはあったものの、実際はどんな暮らしが待っていたのでしょうか。
今回は、竹富島の「新学期と入学式」について綴ります。

通学路にバナナが自生する!?

2019年3月、3人の子どもたちと今日から住む竹富島へ降り立ちました。

「とっと(お父さん)~~~!!!!!」
「よく来たね!お疲れ様。」
4ヵ月前に一足早く赴任していた夫が竹富港に迎えに来ていて、子どもたちが駆け寄っていきました。私も久しぶりに家族がそろい、ふっと肩の力が抜けたような感覚です。

家へ向かい、荷物の整理もそこそこに、家族で島内を歩いてみました。通学路を確認しながら学校へ向かうと、サンゴの砂が敷かれた白い道が伸び、赤瓦屋根の家が並んでいます。

「あ、バナナがあるよ!」
バナナが自生しているのを見つけました。花が咲き、そこかしこに蝶が飛び、耳を澄ますと鳥の鳴き声が聞こえます。1枚の絵画のような景色を目の前にして、自分の五感が呼び覚まされるような不思議な気持ちで歩きました。

学校の遊具で遊んでいると、うちの子と同じくらいの子どもたちとそのお母さんがやってきました。さっそく自己紹介を、と大人が挨拶をしている横で、子どもたちはあっという間に一緒に走り回っている!! 長靴にプール帽というオリジナルファッションに身を包んでいた娘は、気づけば裸足になり、まるで生まれたときからこの土地にいたかのように遊んでいます。

通学路に自生するバナナ。島バナナと言って、在来種で希少。
写真提供:片岡由衣

島の子どもたちの「遊ぶ力」の強さに驚き

次はご近所へ挨拶まわりに伺いました。恐竜が好きで、図鑑をよく読んでいるという小2双子の姉弟と、わが家の子どもたちがすっかり意気投合。神奈川出身だというお母さんも「図鑑のMOVEシリーズをよく一緒に見てるよ、あれおもしろいよね! この子も大好きで」とノリノリ。「明日遊ぼう!!」と、翌日さっそく子どもたちだけで家に遊びに来てくれました。

私が引越し荷物の開封を進めていると
「春休み終わったらさー、学校一緒に行こうよ!」
「いいよ~」
「あそこの井戸のところで待ち合わせね!」
と会話が聞こえ、子どもたちの距離が縮むスピードに驚くばかりです。神奈川にいた頃は、友達と約束するときは親同士が連絡をしてから待ち合わせをすることがほとんどでした。子どもたちは家を行き来するようになり、あっという間に世界が広がっていきました。

春休み中に一緒にビーチへ行ったときは「あっちがおもしろいんだよ」と、少し離れた場所へぐんぐん進んでいきます。「これはナマコ。この貝は食べたことあるよ」など、生き物について教えてくれました。ナマコからぴゅーっと白い何かが出てきて「きゃー! 」と大騒ぎ。「さわるとくっつくから気を付けてね」
真剣な表情や、夢中で遊ぶ姿、自然と身についている知識の豊かさに、島の子たちの「遊ぶ力」を感じます。

わが家の3人の子どもたちも、広い庭に大喜び。家で遊んでいたと思ったら庭で水遊びをしていたり、かくれんぼをしたり。私は遊ぶ力は生きる力へつながると考えています。家の中と外の境界線なく、自由に遊びまわれる環境は理想的でした。

出会って数日の友達と「アイヤル浜」で石投げをして仲良しに(左)。広々とした自宅の庭にはブランコをつけることもできた(右)。
写真提供:片岡由衣

思わず涙ぐんでしまった感動の入学式と始業式

春休みが終わり、次男がいよいよ1年生。入学に気を取られていましたが、まずは3年生になる長男の始業式です。同級生は長男を入れて3名で、3・4年生で1つのクラスになる複式学級です。始業式の日はすぐに帰ってくるのかな、と思っていたら、初日から6時間! 汗をたくさんかきながら、笑顔で帰ってきました。3年生になり、初めて理科と社会があること、総合でパソコンを扱うことが楽しみだと興奮気味に話す姿に、うれしくなります。

島へ来て新鮮なもののひとつが、島内放送です。入学式のお知らせが島全体に流れて、地域の方々が入学式に集まるのです。入学式の日、体育館に入ると、新入生の保護者だけでなく、在校生の保護者、地域の方々が駆けつけ、見守っていました。新入生として入場する次男やお友達の姿、皆さんの拍手やにこやかな表情を見て、早くも涙ぐむ私。

小中併置校の入学式なので、入学生には4名の中学生もいました。中学生の生徒会長や、校歌伴奏などを新鮮な気持ちで眺めます。立派に話す姿に感心しました。私が小学生の頃、中学生はものすごく大人で遠い世界に感じたけれど、第一子の長男にとってよい刺激がありそうで楽しみです。

入学式が終わると、先生方や小中学生がわきあいあいとした雰囲気でテキパキと会場を片づけていました。人数が少ないからこそ、自分事ととらえられ一人一人がよく動くのかもしれません。前日に初めて登校した長男も、自然と一緒に片づけに参加しているのが見えます。

教室に入ると、上級生が描いてくれた次男の似顔絵が貼ってありました。ああ、なんてあたたかい入学式なんだろう。胸がいっぱいになりました。

子どもたちはあっという間に島の暮らしに馴染んだ一方で、私はまだ戸惑いもありました。それでも3歳の娘と一緒に歩いていると、「どこの方?」「ああ、ここをお兄ちゃんがよく通るよ」などと声をかけてもらえる。会話をすることで、少しずつ慣れていきました。

島の暮らしでは、静けさと夜の暗さが都会とはまったく違い、五感が鋭くなるように感じます。鳥の鳴き声がにぎやかなほどで、歩いていると花の香りがふっと漂います。夜になり、空を見上げるとオリオン座をはじめ、プラネタリウムさながらの星々。「カサカサ、ゴソゴソ、ホーホー」自然の音がよく聞こえるのです。

子どもたちは毎日外に中に走り回っています。「ただいまー! 」「おじゃましま〜す! 」学校から帰ってきたと思ったら友達も一緒。島で暮らしたことのある方から「いつの間にか家にいる子どもの数が増える」と聞いていたので、「こういうことか!」と思いながら、子どもたちの元気な声が、毎日響いています。

上級生が描いてくれた、次男の似顔絵(左)。竹富島民がふるって集まる入学式(右)。
写真提供:片岡由衣

島暮らしから学んだこと

・島の子どもたちは遊び上手! 遊びながら知識も身につけている

・子どもの順応性は目を見張るものがある

・行事のときは自分事としてテキパキ動く

・先生や地域の方に見守られ子どもたちはのびのび過ごしている

入学式の日にパシャリ。子どもたちは島の暮らしがすぐに大好きに。
写真提供:片岡由衣

寄稿家紹介

片岡由衣 かたおかゆい

かたおかゆい ライター。東京都出身、竹富島在住。東京学芸大学卒業後、リゾート運営会社にて広報やイベント企画に携わる。3人子育ての発信を続けるうちにライターへ。積み木オタクで、おもちゃや絵本に囲まれた児童館のような家で暮らしています。いつも片付かないのが悩み。朝日新聞社「おしごとはくぶつかん」や小学館「kufura」など、メディアや企業サイトで取材記事やコラムを執筆中。
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