2021.05.18

人気FPが指摘! 子どもの「買って」に応えるとマネーリテラシーの芽を摘む

節約アドバイザー・丸山晴美の「小学校までに身につけさせたい! お金に強い子になる教え」第1回

寄稿家:丸山晴美

お金の教育は「2〜3歳からスタートできる」と節約アドバイザーの丸山晴美さんは語る。
写真:アフロ

「わが子には、どうかお金に困らない子に育ってほしい」――。これは、すべての親に共通する思いでしょう。そのためには、良い大学を出て大手企業に就職すればいい。これがよく言われてきた考えでしたが、今は先の見えない時代。

「大切なのは、幼いころからお金に関する知識や考え方をしっかり身につけていくこと」。こう話すのは、節約アドバイザーの丸山晴美さん。丸山さんは、現在小学校6年生の一人息子が保育園児のころからマネー教育を施してきました。その結果、今ではお小遣いの管理もしっかり行える優秀な“節約エリート”に育っているとのこと。

はたして、どのようにして育ててきたのでしょうか。丸山さんの体験談を交えて、コクリコ読者のパパママは、いつ頃からどのようにマネーリテラシーを教えたらよいのか、お話いただきます。

「これ買って!」にどう応えるかが第一関門!

個人差はありますが、お金の教育は2~3歳のころから少しずつ始めた方がいいと考えています。このころはいわゆる「イヤイヤ期」の絶頂期。自我とともに、「お金とは?」という意識が芽生えてくるころです。その芽をいかに摘まず、伸ばしていくか。そして、5~6歳のころから日常の中であの手この手でマネーリテラシーを教え込んでいくことで、「消費・貯蓄・投資」ができる「お金に強い人間」に育っていくのです。

では、「お金に対する意識」は、どんなシーンで芽生えてくるのでしょうか。それは、お買い物のとき。

たとえば、スーパーマーケットなどの商業施設で「あれ買って!」「これもほしい!」とおねだりされること、ありますよね。実はこのときこそ、マネーリテラシーを育てる最初のビッグチャンスであり関門です! ここで買い与えるか、「これこれこういう理由で、今日はダメ」といって親なりの理由を諭し、我慢させるか。この対応次第で今後が大きく変わってくるのです。

公共の場で泣きわめかれると、つい折れて買い与えてしまうパパやママは多いですよね。よくわかります。仕事帰りで疲れているし、周囲の視線も気になる。“修羅場を切り抜けるためなら100円くらい”と、カートに放り込んでしまえばラクだし話が早い。ですが、私に言わせれば、それは地獄の始まりなのです。

一度買い与えると“習慣”としてインプットされる

かくいう私も、こんなことがありました。

息子がまだ保育園の未満児(2歳児クラス)だったころ。通っていた保育園は、自宅から数駅先の、コンビニが入ったビル内にありました。入園当初、まだ“地獄”を知らなかった私は、お迎えの後、その足でコンビニに立ち寄り、うっかり子どもにお菓子を買い与えてしまいました。今思えばそれが運のツキ。その瞬間、「ママがお迎えに来たら、下のコンビニに行って、お菓子を買ってもらえる♪」という行動パターンが、彼の中にしっかりとインプットされてしまったんです。

以来、お迎えのたびに、コンビニでお菓子を買うことを激しくリクエストされるはめに……。いくら「今日は行かないよ」と、諭しても大都会の真ん中で「行く行く行く!」と泣き叫ぶ。その号泣は電車に乗っても延々続くので、やむなく途中下車して歩いて帰った日もありました。仕事で疲れ果てているのに、子どもは泣き続けるわ、長距離歩き続けるわで、本当に地獄でしたね。

身についた“ムダづかいの行動パターン”を断ち切るには

ここで学び、決意したのが、早いうちに「ムダづかいの行動パターン」を断ち切ること。その一つが、子どもとはコンビニやスーパー等のお店に行かない習慣です。生活必需品はネットスーパーや食材宅配を活用する。お肉などが届いたら、下味をつけて冷凍しておく。そうすることで、平日は帰園途中にお店に寄らなくても、帰ってから焼いて汁物を作って、炊いて小分け冷蔵しておいたご飯をレンジでチンするだけで終わりです。疲れているときほど、お店には絶対寄りません。

親自身も空腹で疲れた中で行くと、余計なものを買ってしまうから。そうやってポンポン、カートに商品を入れている親の後ろ姿が、子どもの目にしっかり焼き付けられ、それが子どもの中でムダづかいの種となり、芽となり、習慣へと育っていってしまうのです。

ただ、どうしても子どもとお店に立ち寄らなければならない場面もあるでしょう。そんなときはお店に行く前に、「これからここに行くけれど、今日はこれを買うから、買えないよ」「あなたのためには買いません」ということを毅然とした態度で伝えること。

まあ、それでも手ごわいのが、魔の2歳児ですよね。あるママのお子さんは、「お菓子を買ってもらうために、お店の商品棚にある未会計のお菓子をぺろっとなめた」なんて強行突破に。ただ、そのママは「してはいけないこと」だと教えつつ、買わされたお菓子は絶対に本人に食べさせませんでした。結果、そのお子さんはそれがよくないことだと理解し、悪い意味での“成功体験”がインプットされずに済みました。
 そこまで厳しくしなくても…と思われるかも知れませんが、これは一種の悪知恵です。悪いことで何かが得られるといった思考回路は、早めに断ち切る方が後々の子どものためだと思っています。

「おやつ作ってみない?」この一言から息子のマネーリテラシーが開眼

話を私の体験談に戻します。号泣する2歳児に断固として買い与えず、二人で歩いて帰ったあの晩から、彼の「保育園の帰りはコンビニに寄ってお菓子を買ってもらう」とインプットされたパターンが、どう変化していったのか。お話しますね。

ある日、子どもがまたお菓子をほしがったとき、すかさずこう提案しました。

「じゃあ、うちでグミを作らない?」

実はグミって、家で作れるんです。100円均一ショップで小さなシリコン製の型を買ってきて、ジュースとゼラチンと砂糖を入れてレンジでチン。それを型にはめて、冷蔵庫で冷やして固めるだけで、出来上がり。約1時間でできます。

「買うより、作る方がこんなにたくさんのグミが食べられるんだね。それに、作るのって、楽しいよね!」

ニコニコしてこういうと、彼も納得。スプーンですくってグミの型に入れる作業が新鮮で楽しかったようで、喜んでいました。ここで、彼の中に、「作った方がいろんな意味でお得」という気付きが得られ、インプットされたんです。

以来、わが家ではグミづくりがちょっとしたブームになり、たまに一緒にスーパーマーケットに行くことがあっても、あまりおねだりされないようになりました。

市販のグミを買うのは簡単です。100円くらいで買えますし、子どもも喜びます。だけど、そうすると、「ほしい物は買って満たす」という偏った行動パターンがインプットされ、マネーリテラシーが育ちません。

買う前に、「手作りできないか」を考えて、「こういうのが作れるよ」と、ちょっと提案してみる。そして、楽しく作る。こうして早いうちに“タネ蒔き”をすることで、子どもの中で、購入以外の選択肢や、創意工夫の意識が芽生えます。親はその芽を大事に、楽しみながら育てていってほしい。こういった日々の積み重ねがマネーリテラシーを高めることにつながっていきます。

何でも新鮮に感じる幼児期ならば、まだまだ軌道修正ができます。むしろ、今こそ正念場。早いうちにムダづかいの根を断ち切り、タネまきを。チャンスは日常に転がっています。


構成/桜田容子

寄稿家紹介

丸山晴美 まるやまはるみ

1974年、新潟県生まれ。東京でフリーターをしていた21歳のときに「家を買おう!」と思い立ち、会社員となり、頭金を貯め始める。それから5年後、コンビニエンスストアで店長をしていた26歳のときにマンションを購入。少ない収入で一人暮らしをしながら貯蓄してきた経験をいかし、2001年に節約アドバイザーになる。同年、ファイナンシャル・プランナー(AFP)に合格。その後もお金にまつわる心理を学ぶために認定心理士の資格を取るなど、日々お金周りの勉強を欠かさない。プライベートでは、2016年からシングルマザーに。著書は『節約家計ノート2021』(東京新聞)など節約や貯蓄、マネー全般に関するテーマが多数。近著は、『かんたん申請で「月5万円」もらえる! シングルママの「お金に困らない」本』(徳間書店)。2021年6月現在、オンラインコミュニティサロン「女性のための夢を叶える!お金の教室」(有料)を開催中。申し込み窓口 https://music-book.jp/salon/detail/65