お弁当の呪縛から離れた経営者ママが実践した「コーチング子育て」って?

【コーチング子育て】子どもの個性を見抜き、教えずに導く方法 #1

SoZo株式会社 代表取締役:あつみ ゆりか

子育ては約20年間の長い道のりです。親に求められるスキルも、赤ちゃん期、幼少期、中学受験期、中学~大学受験期……と各フェーズで変わってきます。

しかし、親が身に付けるべきスキルについての教育は世の中にほとんどありません。子ども向けの教育機関は山ほどあるのに、親は独学をいつの時代も求められているのです。

私は会社経営のほか、数社のコンサルをしている3人のママです。子どもたちが小さかったころは大企業の管理職だった時期もありました。現場やマネジメントに奔走し、仕事はかなり忙しかったですし、この少子化時代において子どもが3人というのは多いほうでしょう。

そんな中、私は「お弁当の呪縛」から自らを解き放ち、「コーチング子育て」を実践してきました。

「お弁当の呪縛」と聞くと、少し大げさに感じるかもしれません。しかし、人気芸能人やモデルなど、いい母親のロールモデルとなる著名人のインスタやブログで毎日のように投稿されるのは“映える”お弁当の写真。芸能人のニュース記事でも、朝日と競うような「早起き」と作品としての「お弁当」が話題になり、絶賛のコメントが心に突き刺さってくるときってありませんか?

「お弁当を素敵に作れる母親=良い母親」なのではないか?という強迫観念にかられて、時間さえあればレシピ動画やレシピ本ばかり見ていたり……。自分の時間が少なくなり、公私ともに余裕がなくなってしまう一因がこの「お弁当の呪縛」なんです。

美味しいお弁当づくりに注力する一方で、別の問題には蓋をするママ友たちを多く見てきました。その問題とは、子どもとのコミュニケーションです。

3人のママで会社経営者のあつみゆりか氏

「思春期・反抗期のコミュニケーション不足」に蓋をしていませんか?

多くの子どもの場合、中1くらいから親の言葉が届かなくなっていきます。例えば、中高一貫校を受験し合格した家庭。親子で1つの目的を達成し、入学後は燃え尽き症候群のようになってしまうケースも少なくありません。

同じレベルの子が集えば成績は下になる確率も高くなるのは必然で、それに焦った母親が「もっと勉強しなさい」と頭ごなしに声がけをしてしまう。

しかし子どもは「何のために?」「合格するまで頑張ったじゃん」とムッとする。そうしたことの積み重ねで摩擦が生じるのです。そして「思春期だから」「反抗期だから」という言葉で親自身が思考停止してしまい、家庭でのコミュニケーションもどんどん減っていってしまう。

私はこうした「思春期・反抗期のコミュニケーション不足」が「お弁当の呪縛」に拍車をかけているのでは?と思えてなりません。「気合を入れてお弁当を作ることで、回り道でも親の愛情が子どもに伝わるだろう」と考える。結果、短期的なコミュニケーション不足という課題には目を向けなくなってしまうのです。

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