6月21日はミッフィーの誕生日! ディック・ブルーナが込めた4つの秘密
ミッフィーが愛され続ける理由は作者ディック・ブルーナの「こだわり」にあった
2022.06.21
なぜ時代が変わっても、ミッフィーはたくさんの子どもから支持され続けるのでしょうか。作者のディック・ブルーナさんが遺したインタビューブック「ミッフィーからの贈り物 ブルーナさんがはじめて語る人生と作品のひみつ」(講談社)から、ミッフィーの人気の秘密を紐解いていきましょう。
いつもあう目線の秘密
「うれしいときにも悲しいときにも目をそらすことなく、読者の子どもたちと正直に対峙していたいという気持ちのあらわれなのです。(中略)ぼくの絵本にとって、安心感はとても重要です。そして読者に対してはいつも正直でありたいと考えています。」
どんなときも変わらず、絵本のなかで子どもたちを待つミッフィーは、「うれしいときも悲しいときも」たくさんの人の心に寄り添ってきたことでしょう。ミッフィーの目線には、子どもの心を正直に受けとめる力が備わっているのです。
独特な鼻と口元の秘密
子どもの頃から、家のまわりにいた野生のうさぎと遊んでいたブルーナさん。うさぎをよく観察して、鼻と口をシンプルな線で表現しようと試みました。
ある部分ではどこまでも子どもに寄り添い、またある部分では、自分の意志をとことん貫いたブルーナさん。迎合せずに「いいもの」にこだわる姿勢が、多くの人の心をつかむ理由なのかもしれません。
限られた色の秘密
そこから、象やねずみを描くためのグレー、くまのボリスやいぬのスナッフィーを描くための茶色が徐々に加わっていったのです。
ブルーナさんはひとつひとつの色を、多大な時間をかけて選び出しました。最終的に選ばれた6色は「ブルーナカラー」と呼ばれ、この厳選された6色のみで表現するスタイルが確立されました。
ミッフィーの絵本が洗練されていると感じるのは、単色で塗られた場合だけでなく、隣り合ったときの相互関係までをも計算し尽くされた色がつかわれているからだと言えるでしょう。
シンプルな形の秘密
「動物を描くなら、まず動物園で正確なスケッチをとります。その後、アトリエにもどって、スケッチをもとに、くる日もくる日も形からむだなものをギリギリまで削ぎ落としていくのです。」
「シンプルで明快な線で描かれた作品は美しく、力強いものです。ものが持つ本質が際だっているということです。」
ブルーナさんの想い通り、この「本質」が表現されていたからこそ、ミッフィーの絵本は多くの人の心を掴んできたのでしょう。ミッフィーの絵本に登場するイラスト1つ1つは、ブルーナさんの情熱の結晶とも言えるのです。
ミッフィーはブルーナさんの愛とセンスのかたまりである
背景を知ると、より一層、ミッフィーのことが愛おしく感じられますね。あらためて、お誕生日おめでとう、ミッフィー! これからもその可愛さで私たちの心を癒し、多くの子どもたちの笑顔を生み出していってくださいね。
山口 真央
幼児雑誌「げんき」「NHKのおかあさんといっしょ」「おともだち」「たのしい幼稚園」「テレビマガジン」の編集者兼ライター。2018年生まれの男子を育てる母。趣味はドラマとお笑いを観ること。
幼児雑誌「げんき」「NHKのおかあさんといっしょ」「おともだち」「たのしい幼稚園」「テレビマガジン」の編集者兼ライター。2018年生まれの男子を育てる母。趣味はドラマとお笑いを観ること。