元体操のお兄さん小林よしひさ「小3で観たあの人の映画が人生を変えた」

【WEBげんき連載】わたしが子どもだったころ #3小林よしひさ

ライター:山口 真央

「剣道から学んだ『継続は力なり』の精神」

進路について、父や母に相談することはほとんどありませんでした。体育系の大学に進むことも、体操のお兄さんをやることも、私が「やる」と決めてから報告する感じで。その決断を両親から否定されたこともありませんね。やりたい習い事はやらせてくれましたが、父も母も忙しくしていたので、ある種、放任で育てられましたが、自分で考えて決めるスタイルが私には合っていたと思います。

小学5年生になって、剣道を習うことに決めました。体操教室にも通っていたので、土日は習い事でスケジュールが埋まって、友達と遊べる時間が減ったんです。子どもながらに理解していたつもりだったけど、ときには友達との遊びを優先したいときもあって。ある日、母に「遊びたいから剣道を休んでいい?」と聞いたことがあります。すると母は「自分がやりたくて始めたことなんだから、必ず行きなさい」とキッパリ。不思議と私も反抗することなく、そうだよな、と納得したんです。

努力が実ったのは、小学6年生のとき。通っていた道場の大会で優勝しました。同学年で剣道をしていた友達はみな私より早く習いはじめていたので、最初は遅れをとっていて。休まず練習を続けてきたからこそ、叶った優勝でした。体操のお兄さんを14年続けたことは、この原体験が大きく影響していると思います。
運動会のかけっこで1番にゴールテープを切る、子どものころの小林よしひささん。

「表現者だった亡き父の遺伝子を受け継いで」

初めてお話しすることですが、私が「おかあさんといっしょ」の体操のお兄さんをはじめた年に、父は亡くなりました。父は音楽が好きで、ギターを弾く父の写真が実家には飾られていて。「おかあさんといっしょ」を卒業してから、イベントで歌を歌わせてもらえる機会が多く、そのたび父の顔が頭に浮かびます。私がいま表現者として舞台に立てているのは、父から受け継いだ遺伝子のおかげなのかも。感謝しています。

母はといえば、子どものころから発表会や試合などは必ず来てくれて。「おかあさんといっしょ」ツアーが関東で行われるときにも、必ず足を運んでくれました。だから、私を見ることに関して目が肥えている。最近も、私のイベントに姉夫婦とやってきて「立ち姿に気をつけたほうがいい」とか「今日の歌はよかった」とか言われています(笑)。

今度は、私が子育てする番。娘は4歳(2023年1月現在)になりました。一緒の時間を多くはとれないけれど、父や母のことを思うと、常に隣にいることだけが親子の幸せではないのかもしれない。それよりは、あのときジャッキーの映画を見せてくれた母のように、娘が好きなものを伸ばすサポートをしてあげたいと考えています。娘は自作の歌をつくるくらい、歌うことが好きみたいです。彼女がどんな人生の選択をしていくのか、楽しみですね。
小林よしひさ
1981年6月29日生まれ。埼玉県出身。日本体育大学在学中、運動や筋肉、身体などについて学ぶ。NHK「おかあさんといっしょ」の11代目体操のお兄さんとして14年活動。その後、バラエティ番組でタレントとして活躍するほか、東京造形大学の非常勤講師や東京都こども未来会議委員など、幅広く活動する。​
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やまぐち まお

山口 真央

編集者・ライター

幼児雑誌「げんき」「NHKのおかあさんといっしょ」「おともだち」「たのしい幼稚園」「テレビマガジン」の編集者兼ライター。2018年生まれの男子を育てる母。趣味はドラマとお笑いを観ること。

幼児雑誌「げんき」「NHKのおかあさんといっしょ」「おともだち」「たのしい幼稚園」「テレビマガジン」の編集者兼ライター。2018年生まれの男子を育てる母。趣味はドラマとお笑いを観ること。

げんきへんしゅうぶ

げんき編集部

幼児雑誌「げんき」「NHKのおかあさんといっしょ」「いないいないばあっ!」と、幼児向けの絵本を刊行している講談社げんき編集部のサイトです。1・2・3歳のお子さんがいるパパ・ママを中心に、おもしろくて役に立つ子育てや絵本の情報が満載! Instagram : genki_magazine Twitter : @kodanshagenki LINE : @genki

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