
【いきもの超ワールド展】国立科学博物館×ダーウィンが来た!の見どころを図鑑執筆者が徹底解説
大自然超体感シアターから巨大骨格標本まで!MOVE「ダーウィンが来た! 地球まるごと生きもの図鑑」執筆の柴田佳秀が教える必見ポイント&自由研究のヒント (2/3) 1ページ目に戻る
2026.08.05
科学ジャーナリスト:柴田 佳秀
想像よりも巨大だった! オオナマケモノの展示
続いて紹介したいのは、Chapter 3「いきものの挑戦『サイズ』適応術」にある、オオナマケモノの一種、ピラミオドンテリウムのレプリカ復元骨格です。
ナマケモノと聞いて、木の枝にのんびりぶら下がる姿を思い浮かべた方は、そのイメージをいったんしまってください。ピラミオドンテリウムは、700~800万年前の地層から発掘されたオオナマケモノで、大きな個体は体長4m、体重1.8トンにも達したといいます。この巨体ですから、暮らしの舞台は木の上ではなく地上でした。さすがに体重1.8トンともなると、木の上でのんびり、というわけにはいかないでしょうね。
ナマケモノと聞いて、木の枝にのんびりぶら下がる姿を思い浮かべた方は、そのイメージをいったんしまってください。ピラミオドンテリウムは、700~800万年前の地層から発掘されたオオナマケモノで、大きな個体は体長4m、体重1.8トンにも達したといいます。この巨体ですから、暮らしの舞台は木の上ではなく地上でした。さすがに体重1.8トンともなると、木の上でのんびり、というわけにはいかないでしょうね。
オオナマケモノの一種・ピラミオドンテリウムのレプリカ復元骨格。背後のモニターには、史上最大の動物、シロナガスクジラが泳ぎます。
驚くのは、その大きさだけではありません。本展の監修者である国立科学博物館の對比地孝亘先生(生命史研究部 進化古生物研究グループ 研究主幹)が、この展示のためにアルゼンチンの発掘現場へ赴き、実際に掘り出してきたものだそうです。この化石は属名までは判明していますが、種はまだ同定されていないため、学名は Pyramiodontherium sp. と表示されています。これは今まさに研究が現在進行形であることを表しています。
骨が地中からどのような状態で見つかったのかを再現した展示。この展示のためにアルゼンチンの発掘現場へ赴いた監修者の對比地先生(右)が、発掘時の様子を説明してくださいました。その様子は第2会場で映像でも見ることができます。
そして、オオナマケモノは、チャールズ・ダーウィンとも深い縁があります。ダーウィンはビーグル号の航海中、南米でメガテリウムなど複数のオオナマケモノ類の化石を採集しました。これらの化石は、絶滅した巨大動物と現在の南米に棲む動物との関係を考え、後に進化の考えを深めていく材料の一つになったのです。そう考えると、「ダーウィンが来た!」の特別展でオオナマケモノが主役級の扱いを受けているのも納得です。
巨大な骨格ばかり見上げていると見落としそうですが、右下にも注目してください。そこに展示されているのは、中米から南米の森に暮らすノドチャミユビナマケモノの骨格標本です。
巨大な骨格ばかり見上げていると見落としそうですが、右下にも注目してください。そこに展示されているのは、中米から南米の森に暮らすノドチャミユビナマケモノの骨格標本です。
現代のナマケモノであるノドチャミユビナマケモノの骨格標本。
じつは、ここにフタユビナマケモノではなく、ミユビナマケモノが置かれていることにも意味がありそうです。近年の研究によると、ミユビナマケモノは、このピラミオドンテリウムが属するメガテリウム科を含む系統の現生メンバーです。一方、よく似たフタユビナマケモノは別の系統に属します。つまり、これは単なる“大きいナマケモノと小さいナマケモノ”の比較ではなく、同じ大きな系統に属する絶滅種と現生種の比較でもあるのです。巨大なほうに目を奪われますが、この展示は右下まで見てこそ、おもしろさがわかります。
ピラミオドンテリウムの下顎化石。臼歯状の歯だけが並び、エナメル質がないというナマケモノ類の特徴が見られます。
骨格を見たら、図鑑で「肉づけ」!
ここで開いていただきたいのが、私が執筆した『ダーウィンが来た! 地球まるごと生きもの図鑑』です。この図鑑では、ピラミオドンテリウムの近縁で、最大級のオオナマケモノであるメガテリウム・アメリカヌムを取り上げています。ちなみに、この想像図を監修してくださったのも對比地先生です。
会場で巨大な骨格を観察したあとに図鑑を開けば、それが生きていたときの姿を思い描くことができます。展示と図鑑を組み合わせることで、文字どおり「骨に肉がつく」というわけです。図鑑は、特別展の予習だけでなく、会場で抱いた疑問や驚きをさらに広げる副読本としても活用できます。
会場で巨大な骨格を観察したあとに図鑑を開けば、それが生きていたときの姿を思い描くことができます。展示と図鑑を組み合わせることで、文字どおり「骨に肉がつく」というわけです。図鑑は、特別展の予習だけでなく、会場で抱いた疑問や驚きをさらに広げる副読本としても活用できます。
『ダーウィンが来た! 地球まるごと生きもの図鑑』で紹介している、最大級のオオナマケモノ、メガテリウム・アメリカヌム。このページも、本展を監修した對比地孝亘先生に監修していただきました。

小さすぎる! チビトガリネズミ
哺乳類には巨大化したものがいる一方で、反対に小型化したものもいます。その代表例として展示されているのが、体長わずか5cm、体重2gしかない、世界最小級の哺乳類チビトガリネズミです。
あまりの小ささに、思わず驚きの声が出てしまいます。小さくなることで、大型の捕食者が入り込めない草むらや落ち葉の隙間を移動し、安全に食べものを探すことができるそうです。この動物にとっては、小さくなることがメリットになったのですね。
あまりの小ささに、思わず驚きの声が出てしまいます。小さくなることで、大型の捕食者が入り込めない草むらや落ち葉の隙間を移動し、安全に食べものを探すことができるそうです。この動物にとっては、小さくなることがメリットになったのですね。
ガラスドーム内のチビトガリネズミの標本と、上のモニターで上映されるチビトガリネズミの亜種トウキョウトガリネズミの映像。標本は思わず「どこ?」と探してしまうほど小さいので、目を凝らしてご覧ください。
『ダーウィンが来た! 地球まるごと生きもの図鑑』では、チビトガリネズミの亜種・トウキョウトガリネズミがミヤマカラスアゲハに襲いかかるものの、逃げられてしまう場面を紹介しています。
チョウと並んだ姿を見ると、この動物がいかに小さいかが一目瞭然。体重2gという数字だけでなく、身近な生きものと比べることで、その小ささを実感できます。チョウを襲う哺乳類というより、チョウに立ち向かう小さな珍獣といった迫力です。
チョウと並んだ姿を見ると、この動物がいかに小さいかが一目瞭然。体重2gという数字だけでなく、身近な生きものと比べることで、その小ささを実感できます。チョウを襲う哺乳類というより、チョウに立ち向かう小さな珍獣といった迫力です。
『ダーウィンが来た! 地球まるごと生きもの図鑑』に掲載した、ミヤマカラスアゲハに襲いかかるトウキョウトガリネズミ(右下)。残念ながら逃げられてしまいましたが、チョウと比べると、その小ささがよくわかります。













