昆虫研究家が実感…!「30年前の東京にはいなかった」昆虫たちとは?

【ちょっとマニアな生きもののふしぎ】昆虫研究家・伊藤弥寿彦先生が見つけた生きもののふしぎ

昆虫研究家:伊藤 弥寿彦

(この記事は2023年12月MOVEメルマガより転載したものです)

決して自然が豊かな場所とはいえない東京都区内に住んでもう30年くらいになります。最近つくづく思うのは「家の近くで出会う昆虫が30年前にはいなかったものばかりだなぁ」ということです。

1.ヨツモンカメノコハムシ

体長9ミリほど。体の一部が半透明で、彫刻のような模様のある格好いいハムシです。
1984年に発行された「原色日本甲虫図鑑Ⅳ」には、ヨツモンカメノコハムシの分布は、琉球(沖縄本島以南)となっています。私が高校1年生のとき(1978年)に初めて沖縄へ昆虫採集に行ったとき、与那国島でこの虫を見つけて大感激したことを覚えています。

それが1999年に九州の長崎県、2002年に鹿児島県、2008年に宮崎県で発見され、2009年には本州の静岡県、さらに2016年に神奈川県で初めて記録されました。ものすごい勢いで北上しているのです。

そして近年、ついに私の家の近所でも発見してしまいました。ヨツモンカメノコハムシは、サツマイモやアサガオの葉を食べます。アサガオは都会の町中でもよく栽培されていますから、それを食草にすることが分布が広がったひとつの理由ではあるでしょう。
神奈川県鎌倉の名物「鳩サブレー」を買いに行ったら、お店の前に穴だらけのアサガオがあって、ちゃんとヨツモンカメノコハムシが交尾していました。
車も人通りも多い場所ですが道行く人は誰も気が付きません。自然度が高いということはこのハムシには関係なさそうです。

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2.クズクビボソハムシ

ここ3年ほどで私の家の近くで急速に数を増やしているのが、クズの葉を専門に食べるクズクビボソハムシです。このハムシは、ほんの10年前までは全くいませんでした。実は、なんと2016年に日本、それも東京(目黒区と港区)で初めて見つかった昆虫なのです。

でも「新種」というわけではなく元々、中国と台湾に分布している種類で、何らかのかたちで日本に来てしまったらしいのですが、詳しいことはわかっていません。私が品川区で見つけたのは2019年。それも自宅の前の空き地に生えていたクズからでした。クズはどこにでも生える植物なので、東京を中心にしてどんどん分布を広げているようです。それにしてもその葉の食べっぷりは芸術的です。
写真にはクズの葉に1匹だけ違う種類の甲虫がついています。わかりますか?
この黒い甲虫はクズノチビタマムシという小さなタマムシで、日本の在来種です。外来種のハムシの勢いに在来種のタマムシが押されてしまっているように見えますね。
美しい見た目の昆虫たちは一体どこから?

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