【古生物学者調査記】アメリカの世界的化石産地で3億年前の化石探し

【ちょっとマニアな古生物のふしぎ】古生物学者・相場大佑先生が見つけた古生物のふしぎ (3/3) 1ページ目に戻る

古生物学者:相場 大佑

「凍らせて溶かす」方法で岩石を割る

帰国後、研究所でコンクリーションの中の化石を探す作業を始めました。岩石の中の化石を取り出すとき、いつもは小さなハンマーやエアチゼルを使用して少しずつ岩石を崩していきますが、今回は別の方法です。

研究員から教わった方法は、凍らせるのと溶かすのを繰り返して岩石を割るというものです。まずコンクリーションをタッパーに水と一緒に入れて数日置き、それを冷凍庫に入れる。数日後に冷凍庫から出して常温で溶かす。これを何度も繰り返すのだと言います。水は凍ると体積が増えるため、岩石の中にあるごく小さな隙間に染み込んだ水が膨張することにより隙間が少しずつ広がり、最後に岩石が割れるというわけです。特に岩石が化石を含んでいる場合には、岩石の他の箇所と比べて相対的に脆くなっている岩石と化石の境界部分で割れることがある、とのことです。

そのような方法で岩石中の化石を探したことがなかったので、凍らせて溶かすだけで本当に硬いコンクリーションが割れるのかな?と思いながらも実際に試してみると、カチカチのコンクリーションが回数を重ねるにつれて割れていきました。
コンクリーションをタッパーに入れて水に浸します。
タッパーごと冷凍庫に入れます。
カチカチに凍りました。
解凍すると、コンクリーションが割れていました。
10個ほどコンクリーションを割ってみましたが、割れた面に謎のシミのようなものが見えるものがいくつかあるものの、何かしらの生物であることがはっきりわかるような化石はなかなか出てきません。少し根気が必要そうです。

メゾンクリーク化石産地からは、私が研究しているアンモナイトはほとんど見つからないようですが、ごくまれに発見されることがあるみたいです(フィールド自然史博物館の収蔵庫には、数個のみ保管されていました)。タリーモンスターの体の輪郭の残り方を見ると、この産地のアンモナイトならもしかしたら本体の化石が残っているかもしれません。持ち帰ったコンクリーションのどれかに素敵な化石が入っていることを期待しながら、作業を少しずつ続けていきたいと思います。
引用部分を除く画像・文/相場大佑
※必要な許可を取得し、現地の法令を遵守した上で立ち入りおよび採集を行っています。化石産地に関する個別のご質問にはお答えすることができません。
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相場 大佑
あいば だいすけ

相場 大佑

Daisuke Aiba
古生物学者

深田地質研究所 主査研究員。1989年 東京都生まれ。2017年 横浜国立大学大学院博士課程修了、博士(学術)。三笠市立博物館 研究員を経て、2023年より現所属。専門は古生物学(特にアンモナイト)。北海道から見つかった白亜紀の異常巻きアンモナイトの新種を、これまでに3種発表したほか、アンモナイトの生物としての姿に迫るべく、性別や生活史などについても研究を進めている。 また、巡回展『ポケモン化石博物館』を企画し、総合監修を務める。

深田地質研究所 主査研究員。1989年 東京都生まれ。2017年 横浜国立大学大学院博士課程修了、博士(学術)。三笠市立博物館 研究員を経て、2023年より現所属。専門は古生物学(特にアンモナイト)。北海道から見つかった白亜紀の異常巻きアンモナイトの新種を、これまでに3種発表したほか、アンモナイトの生物としての姿に迫るべく、性別や生活史などについても研究を進めている。 また、巡回展『ポケモン化石博物館』を企画し、総合監修を務める。