<筋肉に酸素をたくわえることができる!?>
マッコウクジラの全身の筋肉には、ミオグロビンというタンパク質が多くふくまれています。
このタンパク質は、血液中のヘモグロビンから受け取った酸素をたくわえておくことができます。
水面で取りこんだ酸素をたくわえて、体のすみずみに行き渡らせることで、長い間息つぎしないでもぐりつづけられるのです。
<もぐるためのくふう>
また、はっきりとはわかっていませんが、マッコウクジラの頭につまっている「脳油」という油が潜水に役立っているという説もあります。
脳油はマッコウクジラの体温下では液体ですが、冷やすと固まります。
もぐる前に体内に海水を取り入れて、脳油を冷やし固めて密度を大きくし、それを重りにしてもぐるのかもしれないと言われています。
<なぞだらけの潜水上手のクジラ>
潜水上手なクジラはほかにもいます。
アカボウクジラ科のなかまです。
ほとんどの種がおもに陸地から遠くはなれた海にすんでいるため、観察例が少なくくわしい生態はわかっていません。
マッコウクジラの潜水は長くても90分ほどですが、アカボウクジラはなんと138分間、水深2982mまでもぐったという記録があります。
これほど深くもぐるには高い圧力に耐えるための特殊な体の構造が必要なはずですが、アカボウクジラがどのようにして深海への潜水に適応しているのかはまだわかっていません。