絶滅の危機! キタシロサイを守れ!

生きものの謎に迫る!「生きものコラム」

「キタシロサイ」
世界中にたった6頭しか生存していなかった絶滅危惧種(ぜつめつきぐしゅ)のキタシロサイの1頭が2014年12月14日に死亡しました。

アメリカのカリフォルニア州サンディエゴ動物園で飼育されていた推定年齢44歳のオスの「アンガリフ」で、高齢のため自然に亡くなったとされています。

アフリカに生息するシロサイはアフリカゾウにつづいて地上で2番目に大きな哺乳類で、キタとミナミの2種がいます。
サイの角は中国で漢方薬の材料として、大量に密猟(みつりょう)されていました。
野生のキタシロサイは2006年に絶滅しています。

12月14日に死んだアンガリフは1980年代後半に北アフリカのスーダンから輸入されました。
その死によって、いま生きているキタシロサイは同じ動物園にいる40歳のメス「ノラ」のほか、ケニアのオルペジェタ自然保護区にいる41歳のオス「スーダン」、25歳のメス「ナジン」、14歳のメス「ファツ」の3頭、そしてチェコのドゥブール・クラローベ動物園にいる高齢のメス1頭の計5頭になりました。オスは1頭だけです。

アンガリフとノラは動物園で何度も人工授精で繁殖(はんしょく)させようとしましたが、うまくいきませんでした。
オルペジェタ自然保護区のリチャード・ヴィーニュ最高経営責任者(CEO)は、
「人工授精が成功しなければ、キタシロサイはこれから、数年間で絶滅にむかう」
と語りました。

のこされた5頭の寿命とともに滅ぶしかないとの危機感が高まっています。
ミナミシロサイも準絶滅危惧種に指定されているほか、アフリカでの生息がおよそ5000頭以上に増えたとされるクロサイも密猟がなお続いており、おなじ運命をたどりかねません。


ケニアのメス「ファツ」から、人工的にiPS細胞(※)が作り出されたことが、2011年に、科学雑誌ネイチャーメソッズ電子版に発表されています。
ファツの数百万個のiPS細胞は今、カリフォルニア州の冷凍庫に保存されています。
そのiPS細胞から生殖細胞を作り出すなど、いつの日かキタシロサイを増やすのに役立つかもしれないのです!
 

※iPS細胞:人口多能性肝細胞…臓器や組織を作り出せる万能細胞として再生医療に役立つと期待されている。



■関連「動物」 サイ 100-101ページ