小型着陸機「フィラエ」が世界で初めて彗星に着陸!

10年の長い旅を経て目的の彗星にたどり着いた、欧州宇宙機関(ESA)の探査機「ロゼッタ」。
切り離された小型着陸機「フィラエ」が11月13日、世界ではじめて彗星に着陸しました!
(上図はイメージ図)

着陸した彗星の名前は「チュリュモフ・ゲラシメンコ彗星」。つっかえずに言える自信がありません。
彗星は、太陽系が誕生したころの物質がそのまま残っていると考えられていて、「太陽系の化石」とも呼ばれます。
現在の彗星の物質を調べることで、地球や生命の起源にせまれるかもしれないのです!

彗星への着陸が難しいひとつの理由は「重力が小さい」からです。
チュリュモフ・ゲラシメンコ彗星の大きさはおよそ長さ4㎞、幅3㎞。
とても小さいので、彗星の重力も小さく、重力によって、探査機をつかまえてもらうことができません。
簡単に飛ばされてしまいます。
なので、機体が跳ね上がらないようにガスジェットを噴射しながら、先が尖った銛(もり)を打ち込んで固定する予定でした。
しかし、ガスは噴かず、銛も刺さりませんでした。機体は大きくバウンドして、目標から1㎞ほど離れましたが、なんとか着地しました。
そして、フィラエが見た彗星の表面の景色がこちらです。
しかし、喜びを噛みしめるのもつかの間。新たな壁が立ちはだかりました。
当初の計画では、太陽電池で発電した電力を使って探索する予定でした。
太陽の光を7時間浴びる予定でしたが、着陸したポイントが悪くて1時間半しか浴びられず、十分なエネルギーを得られなかったのです!

内蔵電池の寿命は64時間。フィラエは電池が尽きるまでの時間とたたかいながら、地表の物質やガスのデータを集めました。
そして、調べた結果を地球に届けた後、11月15日に通信が途絶え、フィラエは休眠状態となってしまいました。
今後は、ロゼッタが彗星の上空を周りながら、わずかな充電を繰り返すフィラエを見守ります。

予定通りにはいきませんでしたが、失敗は付きものです。しかし、これで探査が完全に終わってしまったわけではありません。来年8月には彗星が太陽に近づくため、太陽の充電効率が上がり、フィラエが復活できるかもしれないのです。

フィラエは彗星に着陸するという世界初の偉業(いぎょう)をなしとげました。今はゆっくり休ませてあげましょう。
おやすみ、フィラエ。元気に復活してくれる日を夢見ながら、静かに待ちましょう。

写真提供:欧州宇宙機関提供

■関連:MOVE「宇宙」4ページ,71ページ