馬をもたおす!? アマゾン最強・最恐の魚『デンキウナギ』<後編>
2019.02.01
<感電!>
さあ、いよいよ触るぞ!触るぞ!?
アマゾン最強はどんなもんだ!?
おそるおそる手をふれた次の瞬間、「ブブブンン!」と手のひらから肩と首へ衝撃が走った!
痛い! ……すごい威力だ。
手をひっこめてしまったが、次はもっとしっかり触ってみよう。
そしてやはり、ひっこめようとは思っていないのに、腕が勝手に曲がってひっこむ。筋肉というのは強い電気が流れるとギュッとちぢんで動いてしまうものなのだ。
たしかにデンキウナギは敵に対して電気をはなつ。本で読んで知ってはいたことだったが、こうして自分の身をもってたしかめることができた。……しかし捕まえられた直後でいくらか弱っていただろうとはいえ、馬を倒せるほど強い電撃とも思えない。まあそれでもめっちゃ痛かったけどな。涙出そうなくらい。
<電撃は水中だとより強力に!>
デンキウナギにくわしいアマゾンの漁師さんに話を聞いてみると
「陸上でさわればものすごく痛いけれど、たいへんなことにはなりにくい。キケンなのは水中で感電したときだ。」
という。
水中では電気がつたわりやすく、しびれが強くなる。そうなると痛みもさることながら、うまく体を動かすことができずにおぼれてしまうことがあるのだそうだ。また、デンキウナギは同じ場所にたくさん群れることがある。そいう場所だとうっかり1匹を発電させてしまうと、それにおどろいたほかのデンキウナギたちが次から次に放電してしまうという非常事態が起きるらしい。川で泳いでいるときにそんなことになったら……。うーん、考えたくもない。
でも、やっぱりちょっとだけその感覚も味わっておきたい。浅く安全な水辺にデンキウナギを泳がせ、自分も飛び込む。ここならおぼれはしないし、ほかのデンキウナギたちもいない。じゃあ触ってみようかな~、と思うが早いか、
「ビビビビビビビビビッ!!」
うおおお!
まだ触ってもいないのに手の先から足の先までしびれたっ!!
なるほど……よーくわかった。こりゃたしかにめちゃアブないな!3発の電撃を食らったあたりで怖くなって水から飛び出た。見ていた漁師さんに「水中はアブないってさっき言ったばっかりだろ!?」と怒られた。
しかし、体をはったおかげでデンキウナギの電流の真実はたしかめられた。……だからよい子は真似しないでください!
<おしりの穴がそんなところに!? 電気味のさしみ!?>
ところで、なぜデンキウナギはこんなにも強力な電気を生み出すことができるのか。
その秘密をとくカギは意外にも彼らのおしりの穴にある。
デンキウナギのおしりの穴は口のすぐ後ろ、ヒトでいうところののど元に空いている。
デンキウナギの発電器は進化の過程で筋肉が変化してできたもので、白くブヨブヨしたアブラ身のような見た目をしている。このブヨブヨからあんなすさまじいビリビリが生まれるのか……。
やっぱりデンキウナギ最高!そして最強!!
ちなみに、おさしみで食べるとなんと電気の味がするぞ!
ん?電気の味ってどんな味かって?うーん、そうだなー。アルミホイルをかじった時の味かな!
……つまり、あんまりおいしくはないってことです。