アンモナイトの生きのこり?生きた化石オウムガイ 後編

つかまえたオウムガイを水そうに入れて観察してみよう。

ふだんオウムガイがくらしている深海の水温はとても冷たい。

だから水そうの水は氷でひやしておかないとすぐに元気がなくなってしまう。
「オウムガイ」
水の冷たい深海でくらすオウムガイは暑さにとても弱い。氷で冷やしながら観察する。

オウムガイは、からだを貝がらの中にひっこめているあいだは、巻き貝のような姿をしている。

しかし、じっさいはイカやタコのなかまで、あしをたくさんのばして水中をスイスイ泳ぐ。
(左)オウムガイはイカやタコに近いいきもの。たくさんのほそながいあしの間に口がある。
(右)とてもかたいおでこは貝がらの入り口をふさぐふたになる。
あしは、まわりのものにベタベタとくっつく。これでエサをつかまえておよぎながら食べる。










目はイカやタコにくらべて小さい。あまりものを見るのが得意ではないようだ。そのかわり、においにびんかんになったのだろう。
イカのめだま。オウムガイよりずっと大きく、発達しているのがわかる。
(左)オウムのくちばしににている貝がらの形(黒い部分)
(右)オウムガイのあしのあいだにかくれた口
オウムのくちばしが2つ?


オウムガイという名前は、貝がらの形(黒い部分)が、オウムのくちばしににていることからつけられたものだという。

しかし、おもしろいことにオウムガイは貝がらのほかにももう1つ「オウムのくちばし」をもっている。

あしのあいだにかくれた口にもオウムによくにたくちばしがあるぞ。
これでかみつかれるととてもいたい。

口もとにあるエサをかみちぎるためのキバもオウムのくちばしに、よく似ているのだ。


オウムガイの肉は漁師さんたちのごちそう。
オウムガイを食べてみた。

ボホール島ではオウムガイは高級な食べものなのだという。

村の人たちは貝がらから肉をとりだし、炒めものにして食べるそうだ。

僕もつかまえたオウムガイを食べてみることにした。

味や歯ごたえはイカに似ていてとてもおいしかった。

ごちそうあつかいされるのも、よくわかる。

しかも、肉をとりだした後の貝がらは、洋服のボタンやランプなどの材料になる。

オウムガイには捨てるところなんてないのだ。

イカによく似た味とはごたえでとてもおいしい。

けれど、最近ではオウムガイがめっきり減ってしまい、昔とくらべて捕まえるのがむずかしくなってしまったという。

貝がらをよその国へ持ちだすことも禁止されてしまった。

いつかまた、この素敵な、生きた化石たちがたくさんとれる日がくることを、ボホール島の漁師さんたちといっしょにいのろうと思う。























































〜「アンモナイトの生きのこり?生きた化石オウムガイ 後編」おわり〜

次回は「タコか? 貝か? アオイガイ!」お楽しみに!!
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