水中のギャング!ピラニア 前編

ワニ!ジャガー!グンタイアリ!デンキウナギ!……と、おそろしい生きものがたくさんひそんでいるアマゾンのジャングル。

その中でもいちばん有名な危険生物は、なんといってもあの「ピラニア」だろう。

僕はこの魚がどれほどおっかないか、どれほど危ないかを知るべくブラジルへむかった。


<いろんなピラニアがいるぞ!>

飛行機を何度ものりかえて、何十時間もかけてたどりついたのは、むこう岸すら見えない海のように大きな川。

漁師さんたちに話を聞くと「ピラニア?どこでもとれるよ。いくらでもとれるよ。」というたのもしいセリフが返ってきた。

その言葉どおり、水面へつりざおを伸ばすとヤツらはつぎつぎと針にかかった!


でましたピラニア!歯がするどいので、釣り糸のかわりに針金を使って釣り上げる。
手のひらサイズの平べったい魚たち。これがピラニアだ!

しかし、そのすがたは黄色いものから銀色のもの、丸っこいものからひし形のものまでさまざま。

じつは、ピラニアと一口に言っても、たくさんの種類があるのだ。
(左上)通称ダイヤモンドイエローピラニア。肉厚で力が強い。そのうえ、大きな群れで獲物をおそう。ブラジル北部にて撮影。
(右下)ホワイトピラニアとよばれる、顔が小さな銀色のピラニア。ブラジル北部にて撮影。
「ブラックピラニア」ガイアナ共和国にて撮影。
そしてピラニアの王様、巨大なブラックピラニア!黒い体にまっ赤な眼が特徴。群れを作らず、一匹でえものを狩る。


<能あるピラニアは歯をかくす?>

やった、やった!あっさり釣れたぞピラニア軍団!

子どものころからの夢がかなったぞ!

それじゃあさっそく、「かまれたら指がちぎれる!!」とウワサに聞くピラニアの歯を観察してみよう。

そーっと口の中をのぞきこむと……。あれ?

思ったよりもずっと小さくて目立たない……。これならかまれても平気なんじゃない?
意外としょぼい……。

もっと大きな歯がたくさん生えているものだと思っていたのに。

これならかみつかれてもたいしたケガもせずにすむのでは?

そう思いながら、何気なくペンチで歯をいじってみたらびっくり!!

なんとくちびるの下に人食いザメのようなするどい歯がびっしりならんでいたのだ。

ピラニアたちにとって歯は狩りや食事、戦いにもつかう大事な道具。

だからこそ、ふだんは刃こぼれしないよう大事にしまっているのかもしれない。
うわっ!ピラニアはくちびるの下におそろしいキバをかくしていた!
こんなヤツらにかみつかれたら……たいへんだ!!


後編につづく。


〜「水中のギャング!ピラニア 前編」おわり〜

後編では、ピラニアのするどい歯とあごの力をくわしく解説します。
お楽しみに!
平坂寛さんが編集長を努めるウェブサイト