水中のギャング!ピラニア 後編

人気のブラジルみやげであるピラニアのはくせい。
迫力を出すためにくちびるを切りとって歯をむき出しにしてある。

ふだんは人をおそったりしない。だけど…

これはおっかない……!

やっぱりこの川で泳いだりしたら、あっという間にピラニアたちのえじきになってしまうんだろうか。

……そう思っていたら、目の前で子どもたちがバシャバシャと水浴びをはじめた。

あれ?平気なの?

どうやら、ピラニアはふつう人間をおそうことはないらしい。

むしろ、自分よりずっと大きな生きものからは怖がって逃げてしまうくらいだ。

ただし、群れでエサをむさぼっている時に近づくと、食べものとまがえてかみついてくることがごくたまにあるという。

その証拠に、水のなかにはヒレのちぎれた巨大な魚や、脚をなくしたワニたちがたくさんいるのだ。
(左上)ピラニアに食べられてヒレがほとんどなくなってしまった大型魚。
(右下)水辺には脚の欠けているワニ(メガネカイマン)がたくさん。
ワニ同士のケンカかな?と思いきや、じつはこれもピラニアのしわざらしい。……おそるべし!!
釣り上がるたびにエサの小魚はまっぷたつ!
ルアーはボロボロ!
ピラニアの怖さは歯のするどさだけではない。あごを閉じる力もすさまじいのだ。その力は魚の太い背骨をまっぷたつにし、釣りばりをかんたんに曲げてしまうほど。

ナイフのようにするどい歯とペンチのように強いかみつき。
この二つの能力をあわせ持っているからこそ、かれらは小さい体でありながら「アマゾン川最強」の存在になれたのだ。


<ピラニアを食べてみよう>

そうそう、じつを言うとピラニアは食べられる。

生息地では危険な魚としておそれられるというより、かんたんに採れるおいしい魚として人々に親しまれているのだ。

味はさっぱりとしていて、塩焼きでも刺身でもスープでも、どんな料理にしてもおいしい。

いつかアマゾンへ行くことがあれば、ぜひ釣って食べてみてほしい。ただし、料理するときはぜったいにかみつかれないよう十分に気をつけよう。

ピラニアのおさしみはアマゾンでも人気のメニュー。
でも、寄生虫がいるかもしれないのであまりオススメはしない。

〜「水中のギャング!ピラニア 後編」おわり〜
平坂寛さんが編集長を努めるウェブサイト