古代湖・琵琶湖の神秘に魅了される「琵琶湖博物館」を中学生研究員がレポート!

古生物が大好きな大阪在住のMOVEラボ研究員・はるきが行ってきました!

初の滋賀県立琵琶湖博物館へ!

日本最大の湖・琵琶湖は2000種以上の生きものが暮らす古代湖!

琵琶湖は、滋賀県にある日本最大の湖。約400万年という長い歴史をもつ、日本では唯一の古代湖とよばれる湖。琵琶湖には、長い歴史の中で独自に進化した、ここにしか生息しない固有種をはじめ、2000種以上の生きものが暮らしています。

今回は、そんな琵琶湖に位置する「滋賀県立琵琶湖博物館」に大阪在住のMOVEラボ研究員・はるきが行ってきました。湖の生い立ち、人々の歴史、自然とヒトの暮らし、湖の生きものの展示など、全国的にもめずらしい総合博物館への初訪問の様子をレポートします。
MOVEラボ研究員・はるき(中1)
<MOVEラボ研究員とは?>
MOVEラボ研究員は、厳正な選考によって選ばれた、生きものや自然科学に興味のあるMOVE読者の代表です。研究員は、MOVEラボの活動に参加し、フィールドや博物館、動物園などをリアルに楽しみます。また、ラボの研究員は、自分たちの研究レポートをMOVEラボのサイト上で発表します。

メンバーは現在16名! 新メンバー2月17日より募集スタート!(2023年3月12日締切)
https://lab.zukan-move.kodansha.co.jp/

初の滋賀県立琵琶湖博物館は驚きの連続!

以前からずっと行きたいと思っていた、滋賀県立琵琶湖博物館へ行ってきました。

琵琶湖の周りを車で通ると、大きすぎて海かなと思ってしまいました。水面の色が場所によって薄かったり濃かったりしていて水質が全然違うことに驚きました。

琵琶湖博物館は琵琶湖の歴史を学べる展示や、化石や地層の標本展示があったり、琵琶湖に生息する淡水生物の生体展示がたくさんあり、とても魅力的でした。

琵琶湖ってどんな湖?

丸子船を再現したもの
琵琶湖は世界で188番目に広い湖で、面積は670平方メートル。東京23区よりも淡路島よりも広く、外周を道路沿いに進むと一周190キロメートルあり、歩くと5日かかるそうです。弁天様が持っている琵琶の形に似ていることから琵琶湖と名付けられました。

琵琶湖には約60種類の固有種がいて、歴史が古く固有種がいる湖のことを「古代湖」と呼び、琵琶湖の歴史は400万年前まで遡るそうです。現在の形が出来上がった40万年前まで、湖の場所が北へ移動してきたそうです。多くの丸子船が物資を運び、湖を行き交っていました。当時の丸子船を再現したものが展示されていて、とても大きく立派でした。

ゾウ化石の展示も!

琵琶湖の周辺ではたくさんのゾウの化石が見つかっているのだそう。

ツダンスキーゾウは、1973年に中国の黄河付近で発見され、黄河象とも呼ばれています。この復元展示は半身半骨で、肩の高さが4mもあります。あまりの大きさに驚きました。
巨大なゾウ化石の展示の前で。
動物園で見る現生のゾウも近くで見たらかなり大きいですが、ツダンスキーゾウは比べものにならないほどの大きさでした。大腿骨の展示がありましたが、恐竜の骨かと思うほどの大きさでした。ツダンスキーゾウの展示は半分が骨格、半分が本物のように作られていて、ゾウの骨格についても勉強できて、ぼくはとても興味津々でしばらく見入ってしまいました。
ツダンスキーゾウの化石。骨格側から。
琵琶湖の地層から発見されたミエゾウは日本列島に渡ってきたツダンスキーゾウが進化したものと考えられています。
ミエゾウの骨格標本
ミエゾウは340万年〜430万年前に日本列島で生息していたゾウで、琵琶湖の周りからは臼歯、牙、上腕骨が発見されています。ツダンスキーゾウに比べるとかなり小さく感じます。

ミエゾウのいた時代からはワニの化石も発見されていて、ミエゾウの足跡とワニの足跡が一緒に並んで発見されているそうです。
ワニの足跡化石
それからさらに小型化したのが120万年〜180万年前のアケボノゾウと考えらています。
アケボノゾウの骨格標本前で。
3つの種類のゾウが見比べられるように展示されていて、それについての解説動画がとてもわかりやすく、おすすめなので是非見てほしいです。(2022年11月の展示)

ゾウが小型化し進化してきたのは地球環境の変化に深く関係があると思うので、他の哺乳類の進化と合わせて調べてみようと思います。

特におもしろかったのは「龍骨図」

龍骨図
1800年くらいの江戸時代に、琵琶湖近くからバラバラに発見されたトウヨウゾウの化石を組み合わせて龍を想像して描かれた図のようです。

ゾウの牙や腕の骨、髄骨や手の骨を組み合わせて龍の頭を作り上げて描かれてて、今は研究が進んでいるのでどの骨がどこの部分かすぐわかりますが、昔は骨が出てきたら想像して架空の存在のものを創り出していたのはとても興味深く、すごいなと感心して絵を見ていました。
龍は水を司る水神
龍は水を司る水神で、近江地方では寺や神社で伝説として龍が祀られていることが多いのだとか。

生体展示も見逃せない!

ビワコオオナマズ/提供:滋賀県立琵琶湖博物館
「MOVE 魚」図鑑にも載っているとおり、かなり大きいナマズの仲間です。見たかったビワコオオナマズは想像していたよりも大きく、初めて見たときには「うわ、でっか!」と思わず声に出てしまいました。岩と岩の間に潜んでいる様子は正に琵琶湖の主といった存在感で、かっこよかったです。
ビワコオオナマズの写真の前で!
ちなみに、世界最大のナマズであるメコンオオナマズはビワコオオナマズの体長1mに対して3倍の大きさの3mもあります。ビワコオオナマズでこんな存在感があるならメコンオオナマズは一体どんな大きさなんだろう世界はすごいなとも思いました。

他にも、ギギの仲間や、ビワマス、イワトコナマズ、オイカワ、アユ、ドジョウもいました。
水族展示室にはさまざまな魚が!
ただ、外来種のブラックバス、ブルーギルが多いことで在来種が絶滅したり、絶滅危惧種になったり、琵琶湖はとても残念なことになっています。琵琶湖博物館には他にも誰かが放流したと考えられるチョウザメが発見されたそうで、そのチョウザメも展示されていました。

琵琶湖の生態系を守っていこう!

大きな魚や外国の魚は格好良くて飼いたいけれど、最後まで責任を持って飼い続けなければいけません。途中で飼えなくなり放流してしまうようなことにならないよう、自分で飼うときには飼い続けられるものか、しっかり調べてから飼うことが大切だと改めて思いました。生態系を守り美しい琵琶湖を守っていきましょう。

琵琶湖のすべてがわかる展示がおもしろい!

マイクロアクアリウムにて。
琵琶湖博物館では、他では見られないビワコオオナマズやたくさんの固有種が見られて、とても勉強になりました。

世界の古代湖であるバイカル湖に生息するバイカルアザラシもいてたり、外来種ではありますが雷魚の仲間であるカムルチーもいたり、ここでは紹介しきれないほどの魅力的な生き物がたくさんいました。

琵琶湖には固有種がいることは知っていましたが、大昔にはゾウやワニが近くに生きていたこと、琵琶湖は長い年月をかけて動いていたこと等は知りませんでした。地球の長い歴史にはいろんな事が起こって今があるんだなと改めて感じました。

レストランでブラックバスを調理したランチがあると聞いていたのですが、大人気でとても混んでいたため、食べれなかったのがとても残念でした。次に行った時はぜひ食べてみたいです。

取材・文・写真提供/MOVEラボ研究員・横井 晴輝、写真提供:滋賀県立琵琶湖博物館(ビワコオオナマズ)

トピック展示「トンボ100大作戦〜滋賀のトンボを救え!」開催中!

提供:滋賀県立琵琶湖博物館
絶滅危惧種の希少なトンボの展示も!

豊富な水辺環境がある滋賀県では、約 100 種ものトンボが記録されています。しかし、最近ではその生息数が減少し、絶滅が危惧されている種類も少なくありません。希少なトンボを次世代に残すために滋賀県内の7つの企業が連携して行なっている、トンボの保全活動や調査活動の展示を開催中。

昨年も実施したこのトピック展示には、今回も一般の方々からトンボに関わる写真を募集したフォトコンテストの入選作品の展示も。詳しくは公式サイトでチェック!