兵庫県で見つかった新恐竜が揃った!『ひょうごの恐竜展』を中学生研究員がレポート!

古生物が大好きな大阪在住のMOVEラボ研究員・はるきが行ってきました!

恐竜やワニ好きなMOVEラボ研究員・はるきが、特に大好きな恐竜の展示会をレポート!(※背後にある恐竜化石はアフリカ産の恐竜デルタドロメウス)

『ひょうごの恐竜展~タンバティタニスとヤマトサウルス~』は2023年1月9日まで開催中!

『ひょうごの恐竜展~タンバティタニスとヤマトサウルス~』
「兵庫県立人と自然の博物館」で開催中の30周年記念企画展『ひょうごの恐竜展~タンバティタニスとヤマトサウルス~』。兵庫県で発見された「タンバティタニス」と「ヤマトサウルス」の2大恐竜をはじめ、恐竜の歯や卵殻等に注目した展覧会です。恐竜の調査研究や普及教育の紹介のほか、3D映像やクイズなどのデジタルコンテンツも楽しめる内容になっています。

今回は、大阪在住のMOVEラボ研究員・はるきが、大好きな小林快次先生の講演会にも参加し、その様子をレポートします!
MOVEラボ研究員・はるき(中1)
<MOVEラボ研究員とは?>
MOVEラボ研究員は、厳正な選考によって選ばれた、生きものや自然科学に興味のあるMOVE読者の代表です。研究員は、MOVEラボの活動に参加し、フィールドや博物館、動物園などをリアルに楽しみます。また、ラボの研究員は、自分たちの研究レポートをMOVEラボのサイト上で発表します。

メンバーは現在16名! 中学生以上は「助手」として活動しているよ!
https://lab.zukan-move.kodansha.co.jp/

兵庫県で発見された貴重な化石の展示が多数!

「人と自然の博物館」は兵庫県にあります。
今回の30周年記念企画展は、兵庫県丹波市で発見されたタンバティタニスと、淡路島で発見されたヤマトサウルスの展示がメインでした。

僕はどうやって発見されたのかの説明や、研究・論文などを見てきました。論文は英語だったのであまり読めなかったけど、できる限り読んでみました。

タンバティタニス・アミキティアエ

【タンバティタニス・アミキティアエ】の展示
タンバティタニスは日本で見つかっている中では最大級の恐竜で、肋骨や尻尾の骨が多数見つかっています。常設展示「丹波の恐竜化石」のコーナーには、タンバティタニスの一部の骨のレプリカを持って重さを体験する展示がありました。

30センチほどしかないのにとても重たかったです。軽いだろと思って片手で持ち上げようとしたら最初は上がりませんでした。この骨を周りの石と共にジャケットで固めて持って帰るのはとても大変だなと感じました。
骨の標本をじっくり観察してみました
今回は貴重なホロタイプ全てを並べて展示していて、圧巻でした。骨をよく見ると小さな穴のようなものがあり、呼吸のためであったり、骨の軽量化に役立ったとのことでした。

ヤマトサウルス・イザナギイ

ヤマトサウルスの骨格標本
ハドロサウルス科で全長約7〜8m。

ヤマトサウルスはハドロサウルス の仲間で、歯はデンタルバッテリー構造です。サメやワニのように何度でも歯が生えかわる構造のことです。一つ一つの歯の間に隙間がなかったのが化石を見ると確認できます。

ヤマトサウルスと北海道で発見されたカムイサウルスは白亜紀の同じ時代に生きていて、海の地層から発見されたという共通点があります。

ヤマトサウルスもホロタイプが展示されていて、人だかりができていました。

小林快次先生による特別講演にも参加してきました!

事前に予約をして10月30日に開催された特別講演に参加しました。
特別講演会「ひょうごの恐竜」 (兵庫県立人と自然の博物館 久保田克博先生による講演、北海道大学総合博物館 小林快次教授による講演)にも参加してきました。

まずは久保田先生からは、丹波地域で発見された恐竜のお話がありました。恐竜化石が見つかったのは、日本で19道県41市町村で、10種類学名がついているそうです。兵庫県の丹波から発見された丹波竜(タンバティタニス・アミキティアエ)は全身の約3割・68点の化石が発見されていて、他にも角竜類も発見されているそうです。
ギネスの認定証も!(※現在は展示場所、展示形態が異なります)
また、ギネスにも掲載された世界最小の恐竜の卵化石「ヒメウーリサス・ムラカミイ」の他に5種類の卵化石が発見されていて、白亜紀前期の中では、それまで5種類が発見されていたスペインを超えて、6種類発見されて世界一になっているとのこと!
ヒメウーリサス、スフェロウーリサス、エロンガトウーリサス、プリズマトウーリサス、サブティオリサス、ニッポノウーリサスの6種類の展示(※現在は、展示場所・展示形態が異なります)
2020年にヒメウーリサスの卵化石が初めて展示されたときに、「人と自然の博物館」に展示を見にきました。親指ほどの大きさの卵化石と聞いていましたが、実際見てみると驚くほど小さかったのを覚えています。

北陸地方から発見されている恐竜は、陸や川の地層から、北海道は海の地層から、兵庫県は川と海の地層から発見されている特徴があるそうです。今もずっと発掘調査が行われていて、もっといろんな化石が見つかるのではと期待されています。中学生の僕でも発掘調査に参加できるものがあれば是非参加したいです。

憧れの小林先生の講演に大興奮!

「MOVEはじめてのずかん きょうりゅう」(小林快次先生監修)より
久保田先生の次は、僕が小さいころからずっと憧れている小林快次教授のお話でした。実際に目の前で講演を聞けることが嬉しすぎました。もう何回も講演会に行かせてもらっていますが、何度聞いても小林先生の講演は面白くて、大興奮します。小林先生と一緒に発掘に行かせてもらうのが僕の目標です!

小林先生からは、淡路島で発見された、ヤマトサウルス・イザナギイや、北海道で発見されたカムイサウルス・ジャポニクスやパラリテリジノサウルス ・ジャポニクスの話、つい先日帰国されたばかりというウズベキスタンでの発掘調査のことなど、内容が盛りだくさんでした。
※この展示は「臨時展示」の際のものです。現在は展示場所・展示形態が異なります。
ヤマトサウルスの特徴として、「プレウロキネシス(横方向運動)」でむしゃむしゃ咀嚼できる顎、歯の隙間がまったくなく、詰まっているデンタルバッテリー構造について説明してくださいました。食べることが上手だったからヤマトサウルスのようなハドロサウルス が大繁栄できたそうです。
ヤマトサウルスの歯骨の復元化石
また、ヤマトサウルスとカムイサウルスが同じ時代に生きていたとわかるのは、両方とも海だった地層から発見されていて、示準化石であるアンモナイトが同じ場所から一緒に発見されているからだと聞きました。

僕は、示準化石のことも少し調べてみました。
・示準化石とは…地層が堆積した地質年代を推定できる化石のこと。
・示準化石になる生物は、すでに絶滅していて生息した年代が限られており、地球上の広い範囲に生息し、個体数が多いことが条件となっている。
とのことでした。

恐竜だけじゃない、大充実の展示が楽しい!

「人と自然の博物館」は、僕はもう何度も行ったことがあるくらい大好きな博物館です。「ひとはく恐竜ラボ」では化石発掘体験を行っていて、以前父が炭化した植物の化石を見つけました。

タンバティタニスやヤマトサウルスなどの恐竜はもちろん、ナガスクジラの骨格標本や兵庫県に関係する動物や昆虫の標本など、何時間でも見て回れるほどの充実した展示です。僕のお気に入りは、タンバティタニスの化石展示がある「丹波の恐竜化石」コーナーと、アオザメの剝製がある「水生生物の世界」コーナーです。さまざまなセミナーも開催されていて、僕は以前アンモナイトのセミナーにも参加して、いろいろ教えてもらいました。

『ひょうごの恐竜展』は2023年1月9日まで開催されています。
ぜひ「ひとはく」へ足を運んでみてください。とても楽しい博物館です。
『ひょうごの恐竜展~タンバティタニスとヤマトサウルス~』
会期:開催中〜2023 年1月9日(月)
会場:兵庫県立人と自然の博物館(兵庫県三田市)
公式サイト:https://www.hitohaku.jp/