子どものゲームで「課金総額10万円」! 「無料ゲーム」の罠から身を守る方法をFP夫婦が伝授
著者累計120万部突破のFP夫婦が教える「お金の教科書」 第3回
2023.09.15
ファイナンシャルプランナー:高山 一恵
子どもたちが夢中になって遊ぶ、無料のオンラインゲーム。もし子どもに「どうしてタダで遊べるの?」と聞かれたら、あなたはどのようにこたえますか。
11歳のヒロくんも無料のゲームが大好き。FPであるパパとママは、無料ゲームは「広告収入」と「課金」の2つの仕組みで成り立っていることを、ヒロくんに伝えます。3人の会話を、ちょっとのぞいてみましょう。
タダほど怖いものはない!? ゲーム内課金の積み重ねに注意
ヒロ:「ロブロックス」だよ。これって、ホントに楽しいよねー♪
ママ:ロブロックスってなに?
パパ:お、ママは知らないのか。ロブロックスは世界的に人気のゲームだよ。ユーザー数は6000万人以上(2022年12月現在)。これはすごい数字だよ! ロブロックスの特徴は、主なプレイヤーが13歳以下だっていうところ。小学生が多いらしいね。
ママ:それで、小学生のヒロがハマっているってわけね。なにがそんなに楽しいの?
パパ:ロブロックスはいわばプラットフォームなんだよね。ロブロックスのなかにはいろんなミニゲームがたくさんあるんだ。しかも、どれも基本的に無料なんだ。
ヒロ:パパは詳しいよねー♪ パパも遊んでいるから!
ママ:うちはパパもゲーマーだからね♪
ヒロ:ロブロックスのなかでは、アバターを作っておしゃれもできるし、Wi‐Fiで友だちとつながることもできるんだよ。こんなに楽しいのに「無料」ってすごいよね!
パパ:でも、ヒロが最近、遊んでいるゲームは、無料ばっかりだよね。
ヒロ:確かにそうだね……。ロブロックスだけじゃなくね、パズドラもフォートナイトも無料だもんね。無料はうれしいけど、ゲーム会社はどうやって儲けているんだろう?
パパ:おっ! いい視点だね。無料ゲームで稼ぐ方法はいろいろあるけど、代表的なのは、広告収入だね。
ヒロ:そうだよね。ユーチューバーもそうだし、なんとなく広告かなって思ったけど。
パパ:オンラインゲームだと「リワード広告」をよく見るよね。「リワード」は「報酬」っていう意味の英語なんだけど、動画を視聴することでユーザーが、ポイントやアイテムといった報酬を受け取ることができる仕組みだ。
ヒロ:知ってる! 無料ゲームをしているとよく見るよ。画面をクリックして広告の動画を見るんだよね。最後まで見るとアイテムがもらえるから、つい、見ちゃうんだよね。
パパ:そうそう。パパもそういうとき、あるよ。ユーチューブの仕事をしているパパの友だちによると、リワード広告の場合、1回の広告再生で1.5〜3円くらいになるらしいよ。
1.5円といったら小さいと思うかもしれないけど、ユーザー数が数百万人、数千万人といれば結構な金額になるね。
ヒロ:正直、広告はちょっとジャマだけど……。でもアイテムは欲しいもんね。
パパ:わかる、わかる! 無料ゲームの広告はストレスだよね。
ママ:なんだか意気投合しているわね。
ヒロ:あ? でも……ロブロックスでは、そういう広告って見ないよね?
パパ:そうだね。ロブロックスはきっと、別の方法で稼ごうとしているんだね。
ヒロ:別の方法?
パパ:ほら、パパもヒロも新しいアイテムが欲しいわけだよね。でも、広告はジャマで、できれば見たくない。とにかく、サクサク、スムーズにゲームがしたい。なんなら、もっと便利で強くなれるアイテムをゲットしたい。そんなときに使いたくなるのは……?
ヒロ:あーっ、「課金」だ!
パパ:そうだね。「ゲーム内課金」も無料ゲームの会社の大きな収益になっているぞ。
ママ:小学生のあいだは、課金はダメだからね。約束したわよね?
ヒロ:わかってるよ。だから課金なんてやったことないじゃん。
パパ:課金したくなる気持ちもわかるけどね。強い敵が出てくると無料アイテムでは歯が立たなくて、パパも「課金で敵を倒して先に進みたい!」って思うよ。
ヒロ:パパとはわかりあえるなー。
パパ:パパは大人だから正直、無料ゲームで遊んでいて課金をするときもあるよ。
ヒロ:えーっ! 大人はいいなあ。
パパ:だけど、あらかじめ自分のなかで「課金はいくらまで」とルールを決めて守っているよ。アイテムは1個100円とか300円程度のものが多いから、大人はつい「これくらいの金額ならいいかな」なんて思ってしまいがちだけど、ゲームに没頭しちゃって、あっという間に何万円、何十万円に膨れあがってしまった、みたいな話も聞くからね。小さな課金の積み重ねが怖いんだ。
ママ:タダほど怖いものはないっていうでしょ。無料には必ずワケがあるってこと! ママ友から聞いたんだけど、息子さんが知らないあいだに課金を繰り返していて、あるとき、ママのクレジットカードから10万円も引き落とされていてびっくりしたんだって。
ヒロ:10万円! それはすごいね。でも、どうして、その子はクレジットカードを使えたの?
ママ:ママのお財布からクレジットカードをこっそり抜きだして、番号や有効期限などをメモしておいたみたいなの。その番号を使って課金を繰り返していたってわけ。
ヒロ:そっか。クレジットカードそのものがなくても、ネットでは使えちゃうんだね……。
ママ:感心している場合じゃないわよ。でも、うちだって、ヒロのことをママやパパがずっと監視しているわけじゃないじゃない。
ヒロ:ずっと監視なんて、そんなのイヤだよ。
パパ:そうだね。でも、オンラインの世界は広くて、いろんなことが起こるからね。不安なことは課金だけじゃない。親としては正直、ちょっと心配なんだ。
ゲーム端末やスマホには、子どもがオンラインで変なことをしないように、あらかじめ利用できる機能に制限をかける「ペアレンタルコントロール」の設定ができるものも多いけど、うちはそこまでしていないしね。
ママ:さっきの10万円の話を聞いたときには「うちも、クレジットカードの置き場所に気をつけないと!」って、ママも思っちゃったわけ。ヒロにはちょっと悪いけど……。
ヒロ:大丈夫だよ! 僕は、課金の誘惑に打ち勝つよ。
「無料ゲーム」の儲けの仕組みを解説!
無料ゲームでゲーム会社が儲ける方法は、主に「広告」と「ゲーム内課金」です。
オンライン広告にはさまざまな手法がありますが、FP夫婦がヒロに説明したのは、無料ゲームで頻繁に出てくる「リワード広告」です。広告動画を視聴することでユーザーがなんらかの報酬(ポイントやアイテム)を受け取ることができる広告のことです。ユーチューブで好きな動画を見る前に、広告を視聴しなれけばならないのと似ていますね。
そして親としては気になる「ゲーム内課金」。子どもにねだられて困った経験がある方もいらっしゃるでしょう。より楽しく快適にゲームを遊ぶために使えるアイテムなどを売ることも、無料ゲームを運営する会社の大きな収益になっています。
課金されるアイテムなどの単価は数百円程度ですが、課金を繰り返しているうちに数万円、数十万円と高額になってしまうことも少なくありません。消費者センターにも相談事例が多く寄せられています。
無料ゲームをプレイした経験がある方はおわかりになると思いますが、ゲーム内には、プレイヤーを課金に誘導するさまざまな仕組みがちりばめられています。あたかも入園無料の遊園地のようなもので、園内でいろいろ遊ぼうとすると有料の魅力的なオプションがたくさんあって、ムダづかいしやすいというわけです。
「課金はダメ」というルールにしているご家庭は多いと思いますが、それでも子どもが「課金したい」と思ってしまうのには、無理もないところがあります。それなら「課金をしたくなってしまったときには、必ず相談して」と声をかけておくというのも、いいかもしれませんね。
子どもが遊んでいるゲームの内容は、親もだいたい把握しておきたいもの。基本的な仕組みや、どこまでが無料でどこからが有料なのか、有料の部分の支払い方法なども確認することが大切です。
「タダほど怖いものはない」。親子で肝に銘じましょう。
ポイント 無料ゲームには「課金」の誘惑がつきまとう。
・無料ゲームを運営する会社は、主に「広告」と「課金」で収益を得ている。
・無料ゲームにはだいたい、ユーザーを課金に誘導する仕組みがちりばめられていて、誘惑が多い。
もっとお金の仕組みを知りたい人は『11歳から親子で考えるお金の教科書』で学ぼう!
お金の疑問をFP家族の会話を通して、楽しく学ぶことができます。各章にわかりやすいイラストや図解、そして大人向けの解説つき。親子で楽しくお金のことを学びましょう。
頼藤太希(よりふじたいき)
株式会社Money&You代表取締役。中央大学商学部客員教授。慶應義塾大学経済学部卒業後、外資系生保にて資産運用リスク管理業務に従事。2015年に株式会社Money&Youを創業し、現職。月間400万PV超の女性向けWebメディア「Mocha」やYouTube「Money&YouTV」を運営。『会社も役所も銀行もまともに教えてくれない定年後ずっと困らないお金の話』(大和書房)など著書多数。日本証券アナリスト協会検定会員。ファイナンシャルプランナー(AFP)。
高山一恵(たかやまかずえ)
株式会社Money&You取締役。慶應義塾大学文学部卒業後。2005年に女性向けFPオフィス、株式会社エフピーウーマンを創業、10年間代表取締役を務め退任。その後、株式会社Money&Youの取締役に就任。講演活動、執筆活動、相談業務を行い、女性の人生に不可欠なお金の話を伝えている。『はじめてのNISA&iDeCo』(共著、成美堂出版)など著書多数。一般社団法人不動産投資コンサルティング協会理事。ファイナンシャルプランナー(CFP)。
高山 一恵
慶應義塾大学文学部卒業。2005年に女性による女性のためのファイナンシャルプランニングオフィス、株式会社エフピーウーマンの設立に参画し、10年間取締役を務め、退任。その後、2015年に株式会社Money&Youの取締役として参画。結婚、出産、夫の転勤、親の介護など人生の多くの転機が訪れる女性にこそお金の知識が必要不可欠という信念のもと、公演、執筆、個人相談等さまざまなチャネルを通して、「女性」にお金の知識を伝えるべく精力的に活動を展開している。明るく、親しみやすい性格を活かした解説や講演には定評がある。 『Mocha』 『マネラジ。』 『1日5分でお金持ちラジオ』 『Money&You TV』
慶應義塾大学文学部卒業。2005年に女性による女性のためのファイナンシャルプランニングオフィス、株式会社エフピーウーマンの設立に参画し、10年間取締役を務め、退任。その後、2015年に株式会社Money&Youの取締役として参画。結婚、出産、夫の転勤、親の介護など人生の多くの転機が訪れる女性にこそお金の知識が必要不可欠という信念のもと、公演、執筆、個人相談等さまざまなチャネルを通して、「女性」にお金の知識を伝えるべく精力的に活動を展開している。明るく、親しみやすい性格を活かした解説や講演には定評がある。 『Mocha』 『マネラジ。』 『1日5分でお金持ちラジオ』 『Money&You TV』